1陸特免許取得は楽勝
第1級陸上特殊無線技士は旧名を特殊無線技士(多重無線設備)といい、他の特殊無線技士免許と比べると比較的に歴史も浅いために旧名に甲乙丙の名前が付いていないのは第1級海上特殊無線技士の場合と同様です。技術系免許として第2級陸上無線技術士の下位の位置に属するマイクロウエーブのスペシャリストの資格です。そのために操作範囲に多重無線設備の操作および技術的操作の一部が含まれており、TVの中継、衛星通信を始め携帯基地局の点検業務等の第三種認定点検業者における陸上の無線設備の点検業務なども行える点が他の特殊無線技士免許と一線を隔してます。
合格率は20%前後で、他の特殊無線技士試験の無線工学の試験の範囲が「各種無線装置の取扱い」程度に過ぎないのに、1陸特だけは「各種無線工学の概要」となって、これだけは1アマと同じで、4海通や航空通よりも一段上ということになります。したがって試験の範囲に2アマには出てこない複素数によるRLC回路の計算、キルヒホッフの法則による閉回路の計算、デシベル絡みの電力、電界強度の計算などが含まれてきます。他の特殊無線技士試験が4択なのにも関わらず、1陸特試験は5択で、これだけを見ても他の特殊無線技士と差別化されているのがわかると思います。無線工学だけで見ると2陸特と1陸特の間のレベル差は4アマと1アマくらい離れているので、上級アマ程度の知識なしに2陸特から1陸特にいきなりステップアップするのは無謀とも言えますが、それを知らずに就職にやや有利ということだけで受験に来る資格欄を埋めたい高校生も相変わらず多いようですが。
4月期で1アマ受験に失敗したと思ったので、すぐに6月の1陸特試験の受験申請を出して1陸特試験の受験勉強に入りました。2月の1海特試験のあとに東京電機大出版局の「一陸特集中ゼミ」は買ってあったので、あと4月の1アマ試験の後に1陸特養成課程教科書の工学と、1陸特国家試験問題集を購入。1陸特は通信術試験がないため通信術ですべてが御破産になることがないので気が楽です。さらに1アマ試験の延長ですぐに受験のために、多重無線の基礎と中継方式、マイクロ波の基礎、デジタル変調の基礎、導波管とモードの問題等覚えるだけで基礎はすでに出来ているので、1陸特特有の分野だけをまとめ、ノートを作り、また問題集をパソコンに打ち込んで解答用紙も独自に作って反復して練習出来るようにしました。最初はマイクロ波とか中継方式に戸惑っていたのですが、この1陸特独自の部分に関しては、過去の問題はさほど意地悪く捻って出題されている問題はないようで、基礎さえしっかりおさえれば十分点数が取れるような感触です。しかし計算問題だけは2アマの「整数で割り切れる問題」というのは見あたらず、しっかり計算力を問われる問題が多いようです。それで例によって重要暗記事項と公式は壁紙作戦です。A4サイズの紙に13枚ほどにまとめていつもの場所に張り付け、いつでも目に付くようにしました。そして4月の末に思いがけなく1アマの合格を拾ってそれが弾みになり、あとは6月の試験に向かって勉強するのみでした。
6月試験は平日です。そして再選挙になった札幌市長選の真っ最中にぶつかりますが、今度は通信術がないので何の問題もありません。受験者数が特殊無線技士試験中で一番多いために他の特殊無線技士とは別な場所で行われると聞いていましたが、受験票が届くと「NTT北海道セミナーセンター」になっています。南22条なので、札幌駅から地下鉄で薄野に出てそこから路面電車で15分ほど揺られる計算になります。いつもの2番電車に乗って札幌に向かいますが、平日のために途中からすし詰めの通勤電車になりました。地下鉄で薄野で降り、路面電車に乗ろうと交差点で信号を待っていたら信号が変わる前に電車が出てゆきました。次の電車がすぐ来ましたがすぐには発車しません。同じ試験を受ける受験者が5人くらい電車に乗っているようで、1陸特養成教科書を必死で読んでいる男も見かけましたが、あの教科書を丸暗記しても試験範囲としてぜんぜん足りないんだよなぁ(^_^;)9時5分前くらいに会場に入るとすでに25人くらいが前から順番に着席させられていて、何とわたくしは折り返し1番前の席に着席させられてしまいました。2アマ1アマに引き続き一番前とは縁起の良い(笑)本日の受験者は125人で、他のエリアみたいに午前と午後に2回に分けて試験が行われることはありません。最初の教室に詰め込めるだけ詰めて、後からやって来た人間は隣の教室で試験を受けることになります。しかし制服を着た工業高校の生徒が半分近くを占めているくらい高校生が目に付きました。女子高生もちらほら目に付きます。悪いけど分数の計算も怪しいような彼らに負けるわけにはいきません。資格欄を埋めたい気持ちは分かるけど、基礎知識なしに答え丸暗記で1陸特試験にやってくるのは無謀じゃないの?(^_^;)作業服来たまま現場から直行してきたようなオヤジたちもちらちら目に付きますが、皆一様に養成教科書しか勉強していないようでした。型どおり試験の説明が9時20分から始まり、法規12問の問題用紙と工学24問の問題用紙、それぞれの解答用紙が一度に配られます。試験時間は法規の12問があるので2時間半が制限時間だったかな?9時30分から試験が開始になりますが、最初に法規の12問を3分ほどで片付け、工学の試験に取りかかりますが、デシベル絡みの問題は出ないことはないくらいですから驚きませんが、今回もキルヒホッフの法則絡みの問題が出てきませんでした。せっかく得意種目になったというのに皮肉なものです。他に論理回路の問題も出てこないし、全般的な難易度としては近年希なサービス問題の山という感じでした。ただし、これは出ないとヤマを張った絶対温度の絡む雑音計数の問題が出てきて、公式を忘れてしまってたぶんこれくらいという近似値をはじき出して選択肢と合わせてみましたがしっかり間違えてしまいましたが。退出可能時間は試験開始から1時間後です。約40分ほどで一通り解答を書き上げて10分くらいで更にチェックを加えて退出時間を待ちました。退出可能のコールがかかると女子高生を含めた高校生たちが一斉に解答用紙を持って立ち上がったので交通整理のために出口に近い場所から順番に退出ですが、彼らは解答用紙だけ提出すると誰1人として免許申請書を購入せずに廊下に直行です。24問中15問正解だったら合格なんだから、考えようによっては計算問題を全部捨てても他が合っていれば合格なんだけどなぁ。こちらは1アマ試験のときと違って確かな感触を得て免許申請書を購入しての帰還になりました。そして路面電車に飛び乗って薄野の三味線屋さんで糸を買い足し、さらに昼になる前に菊水のメディアミックスの電気通信振興会北海道支部に直接出掛けて、8月受験予定の4海通試験申請書と免許申請書、4海通養成課程教科書の工学と法規ならびに概出問題集を購入して4海通の試験に備えます。
試験翌日くらいに解答速報サイトが更新されてそれにより答え合わせをすると工学21/24、法規11/12で楽勝でした。試験の結果通知は6月の末くらいに到着し、即日で免許申請して2週間ほどで免許が到着しました。しかし、難易度の割には1陸特の免許は他の特殊無線技士免許と同じく白地で地方総合通信局長名で発行されるのが、実に物足りないんですけどねぇ。1アマ2アマ免許くらいに差別化してほしいと思っているのはわたくしだけじゃないでしょうねぇ(笑)
1陸特資格取得費用
受験料 4,930円(当時)
工学教科書 1,700円
法規教科書 (2陸特流用)
問題集 2,200円
解説本 3,000円(1陸特集中ゼミ)
免許申請料 1,650円
郵送料・その他 570円
合 計 14,050円
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