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July 03, 2004

国際免許の1級海上特殊無線技士

 第1級海上特殊無線技士資格は元の名称を特殊無線技士(国際無線電話)といい、昭和50年代になってから新しく加えられた資格のために特殊無線技士の旧区分である甲乙丙丁が末尾に付かない資格でした。この資格では2海特以下の操作範囲を含むと共に、主に港湾無線などで使用されるVHF帯の無線で外国の港などで国際通信を行うことができる資格で、現在では外航船舶その他では甲板員以上の職務担当者は全員取得するように定められております。さらに航海士は3級以上の海上通信士免許を取るように定められており。最近ではモールス通信が特殊なケース以外では使われなくなり、衛星通信、GMDSSが稼働した現在では、航海士が通信士を兼業してしまって専門職の通信士が船に乗らないのが一般的になり、たとえ第一級総合無線通信士の免許を持っていても仕事がないという状況になっています。というわけで第一級海上特殊無線技士は最低限の船舶国際通信のための資格ですので、工学、法規の試験のほかに英語の試験とさらに、無線電話の送受話試験の通信術試験を科せられます。
 用意した教材は養成課程教科書の無線工学、法規、英語の3冊と、特殊無線技士共通問題集。さらに英語練習用テープと無線電話受話練習用テープです。これは最初に2陸特のものと一緒に7月頭に揃えたものでしたが、この1海特の部分だけで1万円に近い価格となりました。1海特の養成課程講習などでは英語の占める分量が非常に多いんですが、試験の内容を調べると、テープから流れてくる5題の英語を聴いて、1分以内にその答えの正しい選択肢をマークシートに印を付けるというものでした。無線工学と法規は過去問題が繰り返し出題される方式らしく、2アマを取得した後にはレーダーや衛星通信等のアマチュアには出てこない分野さえ押さえればあとはよく考えればわかると思ってさほど身を入れてやりませんでした。法規はアマの部分と共通な部分以外にかなりの部分を遭難通信の取り扱いが占めているので、必要な部分はまた紙に書き出して要点整理を行いました。国際通信条約の問題はさらっと流した程度です。英語の教科書並びに英語のテープは実践的な通信に関するものが重点におかれており、試験を受ける練習にはなりませんでした。ただしヒアリングでは海事英語が結構出てきてその意味がわからないと正しい答えの選択肢が導き出せないので、わからない専門用語はノートに書き出して調べることは怠りませんでした。通信術試験でフォネティックコードを聴いて受信用紙に書く練習はテープを使ってやりましたが、すぐに慣れて2分の時間中に誤字脱字を出すことはありませんでした。送話は逆にアルファベットを見てフォネティックコードに直して口で言うんですけど、アマチュア的なインチキなフォネティックコードに汚染されているわけではないので(JA#OSZをジャパン・アメリカ・#・オンターリオ・サンチャゴ・ザンジバルなんて言いませんって)すんなり口から出てくるようになりましたが、実際に声を立てて言う練習をしないと本番でなめらかに声になって出ない可能性があります。またBとV、LとRは間違えやすいのでそれは何回も声を出して練習することですね。
 2月の特殊無線技士試験は平日の開催でした。今まで試験では土日の電車にしか乗ったことがないので、途中から都会の通勤電車並に混雑する電車がちょっと懐かしくもあり新鮮でした(笑)試験会場はおなじみの札幌卸しセンター共同会館です。今回は国内電信級特殊無線技士という本当に特殊な和文電信の受験者と一緒です。少々早く来すぎたのか試験場にはまだ誰もいません。ほどなく何人かが現れ、しばらく経ってからもう顔なじみの無線協会の試験官2人が現れました。本日の1海特受験者は12名中欠席1名、国内電信級特殊無線技士の受験者が8名もいたのには驚きました、そのなかに若いおねーちゃんが2人も混じっていたのにも更に驚かされ、和文好きとは物好きなYL(女性ハム)もいるもんだと思ったら、それは大きな勘違いでした。1海特受験者はやはり履歴書の資格欄を少しでも埋めたいと思う高校生が殆どでした。
 お定まりの試験の注意事項説明があったのち、問題用紙解答用紙が配られて試験開始なります。一つ前の席の同年輩の人が無線工学免除で法規と英語、通信術のみの受験で制限時間30分ということを告げられていました。そして程なく試験開始。4アマ同様工学12問、法規12問の試験なので、一カ所法規でうろ覚えの箇所がありましたが3分で答案を書き上げ、一通りチェックして5分ほどで終了。そのとき1人の遅刻者が飛び込んできました。そして受験票を出して問題用紙を貰って書き始めたころに試験官が一言「キミ、キミの試験は一陸特試験で明日だし、会場もここじゃないぞ」っと。そのときの遅刻者の表情はばつが悪そうで正に「穴があったら入りたい」という感じでした。そして試験官に「丁度欠席者が1人居たからこっちもおかしいと思わなかったよ。あんまり試験内容が簡単だったから驚いたろう」と言われて退出しました。受験票を忘れて慌てる受験者には2陸特試験の時に1人いましたけど、試験日を間違えて別な試験に飛び込んでくる、しかも遅刻者に遭遇したのは後にも先にもこれ1回限りです(笑)そし30分過ぎたところでまだ問題と格闘している受験者も皆無となったため、試験時間を繰り上げて終了となりました。ここで国内電信級の受験者と別れて英語の試験に入ります。英語試験の説明が始まり、解答の選択肢と解答のマークシートが配られます。解答の選択肢をそれぞれ読んで行くと、明らかに他の選択肢と異なっておかしな文章がありますからそいつを目でチェックしてゆきます。そして解答の選択肢からどんな問題が読み上げられるか予想を付けてテープが流れるのを待ちます。問題は3回読み上げられ、1回目は遅く、2回目は普通に、3回目は早く読み上げられます。1回目にゆっくり読み上げられるときに書き取る余裕があるくらいで、2回目でそれを確かめるというような感じでしょうか。3回目に素早く読み上げられるときには人にもよるでしょうが、何と言っているかわからないくらい早いと感じる人もいるでしょうから、2回目を読み上げられたときには何を尋ねられているかを把握している必要があります。3回目が読み上げられてから1分間のインターバルがあり、この間に正解の選択肢を選んでマークシートに記入します。1分が経過すると有無を言わさず次の問題が読み上げられます。問題は5問で3問以上正解をしないと不合格です。いくら学科と通信術の成績が良くとも英語を落とすと不合格です。科目合格はありません。このとき、5問目の質問が水先案内人をどこで乗せるのか、どこで降ろすのかが判然としなくなり、降ろす方の選択肢の解答を選んだら逆でした。これで英語を1問落としてしまいましたが、後ろから回収されたマークシートが目に入りましたが、マークの位置が後ろの人間とぜんぜん違ってました。急に不安になりましたけど、5問目以外は文書も正確に書き取るくらいの余裕があったし、間違えるわけはないだろうと思いましたが、無線協会のホームページから正式な回答が出てくるまで安心できませんでした。次は通信術試験で、モールス試験でおなじみの赤い罫線の恐怖の受信用紙が配られますが、今度は英語電話受話なんで余裕です。テープが回り始めてAからZまで一通り送話されてから「始めます、本文」に続いて5文字単位ひとかたまりのアルファベットの暗文が読み上げられます。英語試験はネイティブな人の読み上げでしたが、電話受話の試験は日本人の読み上げだったので、いまいち聞き取りにくい感じでしたが、2分間の送話がおわり「終わり」のコールで送話終了となり。すぐさま受信用紙の回収となります。このあとは一旦廊下に全員退出して受験番号順に順番に呼ばれて、試験官に渡されたアルファベットの文章を2分間で読み上げる送話試験にうつります。このとき、受験番号が2桁だったので、1人5分くらいとして1時間は掛かると思ってその待ち時間がつらくて、後日航空無線通信士を受ける前に、通信術の免除を受ける目的だけのために航空特殊無線技士試験を受験するきっかけになるのですが。
 廊下での待ち時間の間、隣の部屋で電信の送信試験を受けるのを待っているくだんのYLさんを観察したら、エレキーじゃなくて縦振れのHK-808なんかを持っていていて、さらにノブの前端に紙テープなどで滑り止めを付けている。これはただ者ではないなぁと電鍵をさらに観察したら「○○士長」とネームが貼ってありました。自衛隊員だったのね(笑)ほかすべての受験者が自衛隊員のようでした。しかも千歳からも旭川からも…。やっと通信術の順番が回り、試験官の前の椅子に座らされて文章を渡され「いつでも自分のタイミングで始めてください」と言われて「始めます、本文」に続いてフォネティックコードでアルファベットを読み上げると同時に試験官がストップウオッチを押します。最後の方で読み上げのリズムがちょっと乱れて採点表にチェックが入ったので、一点減点されたようですけど無事に2分以内に送話が終わり「終わり」のコールでストップウオッチが止まりました。この時点で試験はすべて終了なので荷物をすべて持って退出し、試験場を後にしました。本屋で一陸特の東京電機大出版「1陸特集中ゼミ」を購入して帰りました。結果通知書が届いたのは月末になりました。事前に説明を受けていましたが、2,3陸特とアマ以外に必要だった診断書が不要になる総務省令の改正が3月中に行なわれる予定で、それを待ってから免許申請したほうがムダがないと言われて、保留にしておきましたが、ネットで官報の目次を見ても一向に省令の発行が行われる気配がありません。4月の1アマ試験の時に試験官にエレベータの中で聞いたら3月12日に省令が発行したとのことで、翌日免許申請したら新年度の番号になって番号も7番という受験人数と合格率から考えたら殆どラストの番号を貰ってしましました。この1海特の免許状は唯一黄色の台紙になっており、国際免許ということで裏は英語表記です。更に一般の従免裏のただし書きが黄色の別な紙になって添付されており、このただし書きを含めて免許一式なのか、ただし書きは捨ててもいいのか判然としません(笑)でも従事者免許の束のなかで上級アマ同様色違いで異彩を放ってます。写真が転写になった現在も黄色の台紙かどうかはわかりませんので最近取得された方は誰か教えて下さい。

 1海特資格取得費用
 受験料     4,930円(当時)
 工学教科書   1,300円
 法規教科書   1,460円
 英語教科書   1,260円
 英会話テープ  2,625円
 電報受話テープ 1,680円
 免許申請料   1,650円
 郵送料・その他  570円
 合   計   15,475円

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