今さらのバグキーBK-100入手!
室蘭のOMさんからハイモンドのバグキー(電信用半自動電鍵)を譲っていただきました。まあ、現在のアマチュアのCWの世界ではエレキー全盛時代で、普通の縦振り電鍵を普段使いする人も珍しい時代に、いまさらバグキーでもないだろうと思いますが、このハイモンドのBK-100というバグキーには特別の思い入れがあるので、迷わず入手いたしました。バグキーというのはレバーを左右に動かして符号を送出する横振り電鍵の一種なんですが、バネ仕掛けによって、短点のみ連続で打てるようになっている電鍵のために「半自動電鍵」などと呼ばれたりします。エレキーのように短点も長点も自動的にキーを操作しているときに連続して送出できるのではなくて、長点のみ人差し指の接触の断続で送ってやらねばならず、そのために短点と長点がきちんと揃ったきれいな符号を送出するためには、ある程度の訓練が必要です。
使用されたのが主に遠洋漁船や海岸局なので、ほとんど40年位もモデルチェンジせずに製造され続けてきましたが、GMDSSの普及で漁船の世界からもモールス交信が殆どなくなってしまい、業務用からの需要がなくなったためか、惜しくも3年前に製造中止になってしまって店頭では入手できなくなってしまいました。最終的な価格は17,900円(税別)だったような気がしますから、この金額じゃカツミの外付けエレキーが買えるような金額なんで、わざわざこれを買う人間はCWを行うという行為だけのためとしては、相当な変わり者か頑固者でしょう。買ったはいいけどバグキー独特のキーイングがマスターできずに、シャックの飾りとなってしまった人が相当数いそうです。
横振りのバグキーは船の動揺に影響されずにオペレートできる点や、空電がかぶっても短点長点を識別できるように長点の割合の長い符号などが自由に打てる(アマチュアでこういう符号を打たれると交信を遠慮したくなりますが)自由度などが好まれて、漁船や中型外航船などで数多く使われたものですが、どうしても短点を打つときにチャタリング(波形のバタツキ)が多くて符号が汚くなり、また短点から長点に移るとき、又その逆でも符号間の間隔が狭くなりがちで、正確なスペースの短点長点を打ったり、長点の長さなどを正確に送出するにはけっこうな練習が必要です。コールサインはけっこうなOMさんなのに、打ち出す符号がコールサインに似合わずビギナーみたいな人ってよくいますよね?(^_^;)
ということで、初心者はエレキーを使って正確な符号間隔を掴んで、正確な短点、長点を送り出せるようになってから縦振り、バグキーなどの手動電鍵、半自動電鍵に手をだしたほうがいいでしょう。またバグキーは基本的に短点長点連続で符号の長い和文符号に適したものとされ、BK-100に関しても和文符号を送出するための業務用なので、錘を一番遅いスピードにセットしても欧文に換算すると70文字/分くらいの速度以下には出来ないので、1アマの試験よりも早いスピードでしか打てない計算になりますので、これを考えても初心者向きの電鍵ではないことが確かです。
ところで、なんで今更バグキーなのかというと、アマチュアの本分はそもそも自己訓練であり、通信術として縦振り電鍵と、バグキーのキーイングをマスターするのは、自己訓練の一つとして悪くないと思ったからなんですねぇ(笑)それに、正確な短点、長点間隔を送出するスキルというのは楽器の演奏に似ていて、楽器ならなんでもやってみたいわたくしに取っては、それほど難しくないと思ったからなんです。OMコールなのにも関わらず、独りよがりの半ばデタラメな記号を送り出すことしか出来ない人って言うのは、どうもリズム感に欠けているんじゃないかという節があるように思いますが、あたくしの感触として楽器を囓ったことのある人間はCWのマスターも早いような気がします。(これは電鍵操作のみにかかわらず、楽譜を見て音を出すという作業が、文章を見てそれを符号にして送り出すという作業にも通じているような気がしますが)。そーいや高校時代、我が吹奏楽部にもアマ資格所持者で電信級以上が何人か居たようで、後輩の女の子が1人、確か2アマでした。
わたくしと、このハイモンドBK-100というバグキーの最初の遭遇は、今からちょうど30年前の昭和49年ころの話です。電話級を取ってHFで開局した中学の同級生が、電信級免許取得のために素人目から見てもあまり高そうでないハイモンドのモールド台電鍵と発信器を学校に持ち込んで、送信練習をしておりました。本来ならば勉強のために関係ないモノをヘタに学校に持ち込むと没収されることがあるんですが、中学の無線部(JA8YHP)の部員だったためにお咎めなしだったんですね。そいつは家ではその当時の学生のスタンダートHF機であるトリオTS-311を使っていたらしいですが、本当はヤエスのFT−101が欲しかったとのこと。そいつがあるとき、見慣れない長方形で横に動かすレバーの付いた電鍵を学校に持参してきて、いじらせてくれました。錘とバネの反発により短点が自動的に送り出せる電鍵で、それが今回入手したバグキーのBK-100だったのです。そいつの話だと船舶局とかそういうところで使われるプロ用の電鍵だということでしたが、当時アマチュア無線の免許は欲しかったものの、高価なトランシーバを買わせて開局するほど親にお金は使わせることは出来ないし、第一4アマ問題の複数の抵抗の組合せによる合成抵抗の計算がからっきしわからなかったものだったので、当時の自分にはまったく縁のない物でした。それが、30年後の今になって自分の机の上に置かれるようになるとは(^_^;)。
しかし、当時の電信級アマの試験とて、送信の試験があったにせよ、25文字/分のスピードの符号を送り出すのに、最低70文字くらいの早い文字しか送り出せないバグキーを持ち込んで試験を受けたのかな?E君。高校卒業以来顔を見ていないけど、あのときのバグキーをどうしたか聞いてみたいな。
そういえば去年の年末、ちょうどクリスマスイブの日に妻への感謝のメッセージとかいう特集番組をTVでやっていましたが、その中で八戸漁業無線局勤務の通信士さんが出てきて、モールスで電報を扱うシーン(いまだに電信で電報のなんてやりとりするんでしょうか?)をやっていましたが、使っていた電鍵がこのBK-100でした。電鍵が動かないように英語の辞書を上に乗せて重量を稼いでいましたが、さっそくマネをさせていただき、電鍵が動かない状態でキーイングの練習をしております(笑)
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Comments
私も使ってました。懐かしい・・ 今も、生家のどこかに眠っているはずです。
確か、底に大きな吸盤が付いていて、ツルツルの机に張り付いたような・・・
松下のRJX-661という無線機は、電鍵入力のインピーダンスが高く、チャタリングよりもクリックが出てしまいました。電鍵のプラスチックカバーに、両面テープでリレーを貼り付けて使っていました。カチカチ音が、カバーに共鳴して大きな音でした。
私は右利きですが、複式電鍵は左手で打っていました。電信はもっぱらコンテストだけだったので、その方が、ログを書くペンを持ったまま運用できて便利なのです。ただ、右手と同じく「短点は親指」でなければ打てなかったので、バグキーを前後逆さまにして、変な打ち方をしていました。
Posted by: dohi | May 29, 2005 08:15 AM
バグキーBK-100をオークションに出品しようかと思っていますが・・・・
オークションの出品価格をどうしようかと迷っています。
Posted by: ロルフ | March 04, 2005 02:50 PM
私は、いまBK-100を欲しくて、値段、調べてます、大体、いくら位でしょうか、お知らせください、DE,JA7BSB/2,佐藤
Posted by: 佐藤肇(サトウハジメ) | January 21, 2005 06:15 AM
たまたまバグキーなる単語を発見、思わず書き込んでます。
ネジの調整具合でトロロツ~の感触が変わるんですよね。
打ってる人見てて、格好良かったですし当時欲しかったですね。一応遊びで電信級は取りましたので・・。
「交信の話のネタ」も同感です。ログ書かなあかんのにね。
因みに小生トリオのなんやったけ?終段807を買ってもらえなかったので、自作してTVIを出して、よく怒られました。
なお、コールはどっか行きましたけどJA3H**です。
Posted by: Weekend Farmer | August 26, 2004 10:19 PM