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August 08, 2004

1アマ2アマ資格統合の噂

  何かJARLの九州支部から漏れたアマチュア無線資格試験のモールスによる通信術廃止要請に伴う資格統合問題によって、某掲示板を始めとして賛成派、反対派を含めて大騒動になっているようです。事の発端は、国際通信連合がアマチュア無線のHF帯運用資格について、必ずしもモールス試験を課すことを求めないというようになり、いままでの日本における第4級アマチュア無線でHF帯(8メガヘルツ以下、21メガヘルツ以上30メガヘルツ未満)は45年もの間、国際的にはルール違反の資格だったものが、やっと国際通信連合条約に合致することになったのですが、これを機会に日本アマチュア無線連盟(JARLと略す)は会員の意志の確認もなしに、幹部の独断で総務省に「モールスによる通信術試験の廃止は国際趨勢なので、日本でもモールス試験をアマチュア試験から廃止するようにされたい」という申し入れを行ったのは事実です。今、大論争に発展しているのはモールス廃止に伴って、JARLが「1級2級の資格を統合、さらに3級4級も統合してそれぞれ上位の免許とみなす」という私案がJARLの九州支部の掲示板からリークしたということなんですが。その掲示に対して全国の上級アマから批判その他の書き込みが集中してしまったために、九州支部がその掲示と批判書き込みのBBSを一方的に削除してしまって、騒ぎがまた大きくなりました。また、1アマと統合されて棚ぼたの資格が欲しい人間、3アマと2アマが統合されれば晴れて上級になれることを歓迎する人間、それから単なる煽り、野次馬までがそれをネタに某掲示板で賛成、反対、怪情報など繰り広げて入り乱れ、ほぼ1日でスレッドが埋まってしまうような状態です。
試験におけるモールス通信術廃止に関しては、まあ時代の趨勢としてしょうがないことなので、1アマには残したとしても(米国の最上級では残すことをARRLが要望しています)2アマ以下は廃止しても構わないでしょう。ただし、モールス無資格者に試験抜きでモールスによる運用を認めるためには、電波法及び電波法施行規則の改定が必要です。法律改正なくしてモールスの試験ナシにCWを自由に運用することは、アマチュアだからといって特例で認められるわけにはいかないようです。
 資格統合に関しては3級4級資格は通信術試験がなくなればさほど変わらないのは認めますが、どうも他のプロ資格(特殊無線技士等)の試験範囲と比べるとHF帯50ワットまでの操作範囲に格上げするのは逸脱行為でしょう。現4アマの操作範囲とすればHF10W、VHF,UHF20Wは妥当で、今の試験のままで50Wを認めたり、まして100Wの固定局の出力を認めることは無いと断言できます。最近50W超の局の新規開局に求められることがある「電波防護基準」を満たしているかどうかの書類を4アマ試験合格者に求めるのは無理だからです。この電波防護基準は移動する無線局を除いてすべての無線局に摘要され、アマチュア無線局のみを例外にするわけにはいきません。
 2アマの1アマへの統合ですが、2アマの試験範囲「(各種)無線工学の基礎」レベルの試験では、電波防護基準を満たすかどうかの電界強度・磁界強度の計算は含まれておりません。同様の試験範囲である4海通・航空通のHF操作出力範囲は250Wとなりますが、4海通・航空通の操作範囲における○○局と名の付く無線局はすべて総合通信局による落成検査の対象です。200Wを超える無線局の開局はアマチュアと言えども落成検査の対象であり、アマチュア局だけを400W、500Wまで技適の対象にして、落成検査の対象外にするというのは無理な話です。以上を考えると現行2アマの試験合格者の能力で、1アマ、2海通、2総通並の操作範囲を獲得するということは、できない相談で、無理にモノクラスに統合しようとすると、現2アマの操作範囲のままで名前が1アマになるだけということでは統合の意味がありません。結論として「1アマと2アマが統合されて2アマは1アマに昇格し、1アマの操作範囲を認められる」ことなど考えられないわけです。もし、それが行われるとすれば、試験制度の根本を否定することになり、百歩譲って統合が現実的になるのだとすると「名前だけ1アマになっただけで操作範囲はそのまんま」という可能性が強いでしょう。まして現2アマの操作範囲が1アマに格上げされて、操作範囲に出力の制限がなくなり、1kW局の開局が可能になるなんていうことは、他の無線資格試験とのバランスがとれませんから1%の可能性もないでしょう。
 3、4アマの取り扱いですが、モールス試験が廃止されるとすれば、統合が一番考えられるのがこの初級免許で、たぶん3アマが廃止となり、名前はどうあれ4アマに統合されて、操作範囲がHF10W、VHF以上20Wでモールスによる交信は認められないということになるんじゃないでしょうか。3アマ所持者の操作範囲はもとのままで、制度的に資格は消滅しても旧来の免許と操作範囲はそのまま、という統合案だったら十分考えられます。ここでも4アマの操作範囲が3アマの操作範囲に格上げされることはまず考えられません。モールスによる通信術試験がなくなっても4アマの資格自体にはなんの関係もないことで、3アマが制度として消滅しても、4アマが3アマの操作範囲に昇格となる理由がまずないからです。
まあ、個人的な感触としては、3アマ廃止で初級アマたる4アマ、モールス試験が無くなり中級になった2アマ、モールス試験がそのままの上級1アマで、それぞれの操作範囲は今まで通りという3本立ての試験にに再編されて、それぞれ上位の資格に格上げ統合はナシというような感じになってゆくのではないでしょうか。そして1アマ試験は今まで通り年3回でも、2アマ資格は地方総通局の発行にしてほぼ毎月試験を行うというようにすれば、モールスの無くなった2アマは敷居が低くなるでしょう。モールスのやりたい人間はどうしても試験を受けなければいけませんが、国内電信級特殊無線技士のように法規と通信術試験で特別なモールス資格でも作りましょうか。「電信級アマチュア特殊無線技士」という名前でも作って(笑)

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