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October 15, 2004

火の入らないFT-101ZSD

 FT-101ZDのWARCバンド送信禁止改造を行ったことのついでに、終段管にヒーター電流が流れなかった部品取り用と思って保管して置いたFT-101ZDSのほうの不具合の原因を探ろうと、一年ぶりくらいで蓋を開け、通電してみました。ZDとZSDの違いは、ZDのほうは終段管が6146Bのパラレルで100Wの出力を絞り出す2アマ以上の対象機ですけど、ZSDのほうは終段管が4146Bが1本で10Wの出力がある4アマ対象機です。この当時は電話級、電信級という名前で呼ばれていた4級3級資格ですけど、今の4級3級資格と違って出力は両方とも10Wが限度でした。さらに電信級は電信のみ、電話級は電話のみの運用に限定されたために、電話級と電信級の試験を同時期に受けて、電信級には合格したが、電話級に不合格になって電信しか運用出来ないというような悲喜劇まであったようです。ということで、今の3級のように当時は電信級が電話級の上位資格ではなく、同列でジャンル違いの資格だったんですね。それで、現在の3級みたいに50Wで運用出来る初級資格は無く、移動を認められる局も10W以下に限定されたために、50Wで発売された無線機はその当時には、上級資格でも50W運用しか認められなかった30メガを超えるVHFの無線機にしか存在しなかったような気がします。そのために当時のHF機には50Wの無線機は市販品にはなく、現在移動しない免許を取得するために保証認定を取るには、100W機を50Wに出力ダウンさせる改造を施すしか方法はありません。当時10Wを超える移動しない無線局はすべて電波管理局の落成検査の対象だったために、正規の局は今のキロワット局なみのステイタスでしたが、今も昔も資格も法律も関係なく4アマ無制限局は後を絶たなかったようですね。それに今と違って免許情報は公開されていませんし、JARLのコールブックには自己申告で上級資格持ちのふりをして掲載させている4アマ無制限局も多かったようです(笑)
 さて、終段管にヒータ電流が流れなかったFT-101ZSDですが、11ピンACCプラグが欠落していたために、1ピンと2ピンの間を1.6mmのIV線の先端を折り曲げて潰し、ジャンパーにしました。これで回路が正常ならばヒーター電流が流れるはずです。上下のケースを分解するためにネジを外しますが、あいかわらずネジの数が多くて大変ですが、前作FT-101と違ってケースさえ上下に外せばシャシーが取り外せるのでそれよりは分解が楽ですけどね。そして終段部分のシールドを外しておきます。この状態でパワーとヒータースイッチを入れますが、ドライバの12BY7Aに火は点れども(ここが真空管的な表現ですねぇ)ファイナルの6146Bには相変わらず火が入りません。6146Bのプレートで感電しないように電源を切ってコードを抜き、しばらくしてから念のためシャシーとプレートの間をドライバで短絡させてみてからジェネラルエレクトリック製6146Bをソケットから抜きます。それからヒータが断線していないかどうかピンにテスターを当てようとしましたが、あれ?ヒーターでどのピンとどのピンだっけ?(^_^;) 確か1と最後のピンがヒータだったような気がするけど、真空管規格表が手元になっかったので、それよりも手っ取り早い手持ちのRCA製箱入り新品の6146Bを勿体ないが通電テストに使用するだけのために一個用意します。さすが新品球はガラスがピカピカで見事にきれいだけど、このテストだけで中古にしてしまうのはいかにも惜しい。んで、ちょっとだけRCAの6146Bに登場願ったらあっさりヒータに火がともりました。原因さえわかればいいのでここでRCA球には退場願います。ということで、原因は単にGE球のヒーター断線でした。普段使わないリグに数少ない新品の6146Bをおごる気もないので、今度中古の6146Bの出物を捜しておきましょう。
 次に受信部分のチェックを行います。このZSDは初期型でAMポジションもないタイプのために、バンドスイッチの接点もプリセレの表示も込み入っていないせいか、もう1台のZDとはまったく違う無線機のような気がしますが、かえって全FT-101ESの直系というような雰囲気がしますし、WARCバンドがないだけ「70年代」の無線機という感じです。問題は去年から表示がおかしかったカウンター部分です。通電してバンドを切り替えてみると、一番左の10メガヘルツ代の表示が消えっぱなしで、あと左から5桁目のキロヘルツ代の表示の数字が正常に表示できません。たぶん典型的なカウンタIC不良でしょう。でも受信は正常に出来ています。このICは八重洲の特注品で、経年変化での不良率が高く、八重洲でもすでに在庫がないために、正常なカウンタアッセンブリを入手するしか修理する手がありませんでした。ところが1アマチュア無線家である林氏(JA2SVZ)がPICを使用してICチップにプログラムを書き込み、不良カウンタICのリプレースメントパーツとして分けてくださるようになり、今ではカウンタの不良だけでジャンク入りするFT-101ZDやFT-107などの表示不良を修理することが可能になりました。まあ、まったく表示がデタラメというわけではないので、いつかヒマが出来たら交換に挑戦することにして、今回はそのままにしておきます。そして受信の具合を調べてゆきますが、何か全バンドにわたってこもったような音調で、S/Nが悪いような感じがします。WIDTHのスイッチを入れると正常な音調になりますので、WIDTHのスイッチ回りの配線が外れているか接触不良を起こしているかもしれません。その他は正常で、各ボリウムにガリさえありません。特に周波数の微調整、USBとLSBの調整、メーターなどはそのままぴたりと合っていました。おそらくメーカー出荷時そのまま使用して、内部をいじらずにさほど使わないままQRTしてしまって長い間押入の中にしまい込まれていたというような感じでしょうか。以前に落札したFT-101ZDに比べれば素性がよい機械のような気がします。ということで、カウンターさえ気にせず、程度の良い終段管さえ用意してやればすぐにも使えそうな状態なんですけど、28メガ帯の水晶をZDのほうに移植してしまって、28メガにQRV出来ないのと、電源コードが無いのが困りものですけどね。
 まあ、誰か知り合いでまだHFをやっていない人間がいれば希望周波数の自作ダイポールアンテナとともに下げ渡してもいいとは思っていますが、はたしてチューニングに手間の掛かる真空管10W機をわざわざ使ってみたいという酔狂な人間はいるかな?(^_^;)
 勉強熱心な人ならともかく普通の4アマさんには、電波出すだけなのになんでこんな「同調を取る」という儀式をしなければ電波が出ないのかと、煩わしがられるでしょうけどね。
 そういえば、このZSDは昨年、IC-551の保証認定を取るついでに第6送信機として保証認定を取り、総通局変更届が受理されておりますので、終段管さえ交換すればこちらからいつでも電波は出せるようになっているんですが、10W機はTS-830Vがアンテナに繋がっている為に、果たしてこれから電波を出すことがあるのでしょうか?(笑)

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