電波利用料のからくり
今年も一番最初に取得した免許に対して「電波利用料」の請求が回ってきました。開局から3年経ちましたので4回目の請求ということになりますか。当電波研究所は「移動するアマチュア局」と「移動しないアマチュア局」の2種類の局免を貰っていますので、年に2度電波利用料の請求が回ってきます。普通の人に電波利用料なんてまったく馴染みがないでしょうから、アマチュア無線で開局していると、一年に一度こういうものの請求がくるなどということは知らないと思います。電波というものは公共の財産ですから、国家がこういうものを徴収するのは本来なら根拠がないということになるのでしょうけど、この電波利用料に関しては、その使用目的が電波の公平かつ適正な利用を進めるための財源として利用されるということになっており、アマチュアに限らず、総務省から免許状を受けている無線局や放送局はすべて電波利用料を払う義務が生じます。電波利用料聴取の目的として、電波監視業務の充実(違法無線局の探査や混信等の障害の調査等)、電波適正利用のための事務処理サービスの向上(総合無線局管理システム構築)、周波数ひっ迫対策のための技術試験事務、特定周波数変更対策(TVデジタル地上波切換のための工事費等)特定周波数終了対策業務(周波数再配分により使用できなくなった設備への補償)、その他などとなっており、最近サービス地域が多くなってきた地上波デジタル放送サービス開始によるアナログTV周波数移行によるチャンネル再設定やアンテナの取り替えなどのアナログ周波数変更工事などの代金がこの電波利用料から支出されているとは知りませんでしたが。
まあ、アマチュア局に関しては年間500円の支出とはいえ、その支出がこちらの地域ではしばらく恩恵も受けそうにない地上波デジタルTV放送のための周波数変更工事の代金としていつの間にか知らないうちに支出されているというのは、あんまりいい気分ではありません。その電波利用料の支出に関しても総務省の一方的な予算配分によって支出の割合が決められるわけですから、電波利用料を払う側は、お上のマツリゴトに従ってただ年間500円を払っておれば無線局免許状を有効にしてやるのだ、という上意下達の収奪システムに乗ってしまうのはあんまり面白い話ではありません。昔は局免さえ取れば、あとは費用の掛からなかったアマチュア無線ですが、平成5年にスタートした電波利用料徴収は、当初違法無縁局の監視システムの充実と無線局監視事務システムの効率化への投資のための利用料だったはずなのに、いつの間にか特定地域のデジタルTV放送への移行のための設備費、工事費として多くの支出が行われるようになったのは、何となく特定周波数対策という言葉にダマされた形になってしまって、「聞いてないよ〜」状態です。
さあ、1アマ試験の法規に「電波利用料によって支出される目的として正しいものを選べ」という問題が出てきた場合、「デジタル地上波TV放送による個人聴取者宅のアナログ地上波周波数移行工事費とアンテナ等の設備費に支出される」という選択肢が、正しいと選ぶことの出来る受験者は何人いるでしょ〜か?(^_^;)
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