接触不良二題
1か月少々前に上げた自作の7メガ用ダイポールアンテナが、ある時突然SWRが急上昇して、受信感度もマルチバンドの垂直アンテナより低下してしまい、あきらかに接触不良を起こしているような感じでした。リグにつないで受信してみるとざざっという雑音とともに受信感度が上がったり下がったりを繰り返したりし、なんかAGCの故障というような感じもしましたが、まずバランの部分に雨が入り込んでバラン収納部が水没してショートしていることを疑い、とりあえず屋根に登ることにしました。でも、バランを納めているケースはコーキング材まで使って、大雨が吹き込もうともケースの中の防水性は完璧なはずです。但し、エレメントとバランの接続部分の圧着端子とナット部分に自己融着テープでの防水対策をしていなかったんで、ここでの接触不良が一番考えられる箇所でした。
屋根に登ってみると、バランを納めたケースの防水は完璧で、雨はまったく吹き込んでいません。エレメントとバランの接続部分は外から見る分には何も変化はないので、CRC5-56を吹き込んで、一旦アンテナにリグを接続して受信してみますけど、やはり状況は改善しません。そこで、このネジ部分を分解してCRCを吹き込んで接触状況を改善して組み立て直し、再度リグを接続してみますと嘘のように元の状態に戻ってしまいました。そこで今度は自己融着テープで接続部分を防水処理して終わりです。
接触不良は外見で見てもわからないので、目で見て何でもないと思っても導通していないこともあるようです。今回は接触不良の怖さと防水処理の大切さを学びました。
接触不良でもう一題。3アマに合格して用意したTS-830Vですけど、最近、使っているとどうも受信感度が極端に落ちてしまうことがあり、机をゴンと叩くと戻ってしまうことが多いんですけど、最近はすぐに感度落ちしてしまうために、どこか機械的に接触が悪いことが考えられました。この場合にこの時期の真空管無線機で考えられる送受信接触不良の原因の代表は、何と言ってもリレーの接点接触不良です。この時代には送受信切換リレーとしてヤエスでもトリオでもオムロンのMX2Pというリレーを使っていまして、このリレーがあんまり耐久性が良くないために色々とトラブルを起こすということは、いろいろな所でさんざん聞かされてきましたので、とりあえずこのリレーを取り出して接点の接触改善をしてみることにしました。本当は新しいリレーか、代替品に変えたい所なんですが、MX2Pは廃番品で在庫も代替品もないんですよね。ということで、ヤフオクでジャンクパーツを買う以外には、自分で取り外して頑張って接点を磨くしかないようです。
TS-830V本体を裏返して裏蓋を外します。リレーの位置がわからなかったためにファイナル部分をむき出しにしてアンテナジャックに繋がっているリレー部分を捜したので、上蓋も外して本体むき出しの状態にしましましたが、リレー取り出しは裏蓋を外すだけでOKです。裏蓋を外すとファイナルユニットの真裏に鉄板の四角いシールドケースが着いていて、このネジを2カ所緩めるとシールドケースが外れてリレーMX2Pが現れます。このリレーはソケットに刺さっているだけですから、これをソケットから引き抜くことによって無線機本体からリレーを取り外すことが出来ます。リレーの透明カバーを外し、リレーをむき出しの状態にします。ここで取り出します新兵器は、適当な名刺が一枚とCRC5-56一本のみ(笑)
まず、名刺の縁にCRC5-56を十分しみ込ませて、リレーの接点に名刺をあてがい、何度が左右に押したり引いたりしながら接点を磨きます。接点は送信側も受信側も同じように磨きます。そうして十分に接点接触状況が改善されたと判断されたら、カバーを戻して本体にはめ直し、シールドカバーをネジ止めして接点接触不良改善作業終了です。しかし、接点から放電することもあるんでしょうが、シールドケースなんて本当に必要なのでしょうか?ヤエスのリグなんかMX2Pはむき出しですよね?
こうしてリレーの接点を磨いてアンテナにつないでみると、嘘のように受信感度が戻っていました。戻ったはおろか、元よりSメーターが良く振るようになってしまい元からリレーが原因で受信感度が下がっていたものをそれが当たり前だと思って使っていたようなんですね(^_^;)
リレーの接点はアルミ缶を切り取った切片でがりがり削るという人の話を見ましたが、代替品がない以上サンドペーパーで擦ったりこんな事をしてはいけません。名刺にCRCを含ませて擦るという方法は、ヤエスのサービスマンがリレーの接触不良で入ってくるリグの修理に使う手段だということを何かで読みました。
やはりこういう昔の旧式無線機は、リレーなんかの機械的接触部分の不良によって、以前の性能を保っていない場合が多いので、何か受信感度が落ちていると感じる無線機は受信段の高周波増幅段を疑ってみるより、まず各部の接触不良を当たってみる方が順当な手段かもしれません。
ファイナル部分のカバーを戻すとき、不用意にコイルに手が触れてしまい、びりびりっと軽く電撃をくらいました。ヒーターに通電していなくとも電気が流れているのがわかりませんでした(^_^;) 幸いにもコンセントは抜いてあったのでコンデンサに溜まっていた電流をくらっただけで済みましたが、おかげで肩こりが治ったような。転んでもただでは起きませんって(笑)
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