接触不良再び
バランとエレメント接続部分を潤滑して接触不良が直ったはずの7メガ1/2λダイポールアンテナでしたが、2日をおかないうちに再度接触不良と思われる事態にみまわれました。それも朝にVSWRがほぼ無限大という状況になっても午後には正常になっていたりします。このまま落ち着いたと思ったら夜にはVSWRが再び無限大になってしまうということを繰り返しています。どこかの接触不良でエレメントまで導通しないことがあることは確かなので、再度屋根に登って各部の導通を確かめることとしますが、今回は前回にCRC5-56の潤滑と自己融着テープで防水処理した部分がそれだけでは心配なので、今度は新兵器「導電コンパウンド」というものを購入するために自転車をHAMショップまで走らせました。これ、ホームセンターあたりでは置いていないと思いますが、主にアンテナエレメントの調整部分で金属と金属の接触する部分の導通を保つために使用するペースト状のグリスみたいなもので、おそらくカーボン系の電気を通す顔料が加えてあるためにどす黒いグリスのようなものですが、同じ黒いリチウムグリスでは高周波導通用には代用は効かないので注意が必要です。HAMショップではアンテナメーカーのナガラが「ペネトロクス」という商標で販売しているものを置いてあり、30グラムのチューブ入りで600円でした。
さっそくエレメント接続部分に導電コンパウンドを薄く塗って、再度ネジを締め自己融着テープで防水処理。これで完璧だとたかを括り、このときはVSWRも限りなく1.1に落ちていたので、原因はすべてこの部分にありと判断して安堵し、翌日にまた調子が悪いのでVSWR見るとこれがまた無限大になってます(^_^;)
こうなったらバランの部分から分解して徹底的に導通不良の原因究明です。エレメント部分からバランを切り離し、同軸が付いたまま屋根から降ろし、部屋の窓からシャックにバランを引き込み、導通をチェックします。その際、エレメント接続部分のネジに50Ωのダミーロードを接続し、VSWRを見てみると1.5あります。ダイポールつないだら限りなく1.1に近いのにおっかしいなぁと思っても、とりあえず1.5に収まっているからバランの接触不良はないと判断しましたが、けっこうこれは笑い話(笑)約75Ωの平衡アンテナに50Ωの不平衡給電線で給電するためインピーダンス変換高周波トランスがバランなのに、そのバランに50ΩのダミーロードつないでVSWR1.5なら当たり前。ここでエセ1アマのマヌケな無線工学の理解度が暴露されてしまいました(^_^;)
ということは、あとはエレメント側の問題だけです。ひとつ気になっていたのは、銅針金をバランに接続する部分に丸形の圧着端子を使いましたが、その際に屋内配線でやっているとおり圧着ペンチで潰して折り返しただけだったんですね。どうもこの圧着部分が面じゃなくて一本の線で接触していて、気温変化の熱収縮によって接触状態が変わってきた(制作時は20度を超えるような陽気の季節)ようで、第一にこの部分の接触が怪しいことが考えられました。そうなったらがっちり半田付けするのが一番の対策法です。屋根に延長コードのリールを上げて半田ごてを使い、半田付けしようと思いますが、風が強くて半田ごてが空冷状態になり、温度が上がりません。仕方が無く庭の樹木にクレモナロープで結んである片方のエレメントを外して引き上げ、エレメント部分を屋根から降ろし、窓から室内に左右のエレメント同士の接続部分を取り込みました。そしてがっちりと半田付けし、再度屋根の上でバラン部分と導電コンパウンドでしっかり接触と保った上で接続し、エレメントを庭の樹木に展開します。もうこれ以上は接触不良個所が考えられませんので、あとダメだったら最初からもっと良い素材で作り直しだと思ってVSWRを計ってみると限りなく1.1に近いくらいに落ち着いていました。
やっぱり扱うのが低周波と違って高周波ですから、最初から接続部は「たぶん大丈夫だろう」で済ませてしまったところは、最初は良くてもしばらくして耐候性の問題や気温変化などの原因により、ことごとくダメになるケースが多いので、「絶対に大丈夫」レベルに上げないとトラブルの原因になることが実感させられました。最近の日本のロケットや人工衛星が何度もトラブルに見舞われるのは、その見極めが甘いということが言えるのかもしれませんね(笑)
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