国際電気通信連合無線通信規則改正点
本年1月1日から発効した国際電気通信連合憲章に規定される無線通信規則の一部改訂部分に関しては、すでに昨年12月20日付官報号外第281号でその日本語訳が告示されていたことを知りました。今回の4月期1級アマチュア無線技士国家試験では、法規試験のうち国際条約関係分2問が古い無線通信規則にしたがって問題が作成されていたために、この部分の計10点がすべての受験者に加点される異例の措置となりましたが、そうなるとその前に実施されていた通信士試験あたりの国際条約絡みの問題もすでに合否の判定は終わっているとはいえ、精査する必要があるかもしれません。
国際条約に規定するアマチュア業務に関する規定第25条は次のように一部改訂されました。
第1節 アマチュア業務
25.1 §1 異なる国のアマチュア局相互間の無線通信は、関係国の一の主管庁がこの無線通信に反対する旨を通知しない限り、認められる。
25.1 2 1) 異なる国のアマチュア局相互間の伝送は、第1.56号に規定されているアマチュア業務の目的及び私的事項に付随する通信に限らなければならない。
25.2A 1A) 異なる国のアマチュア相互間の伝送は、地上コマンド局とアマチュア衛星業務の宇宙局との間で交わされる制御信号を除き、意味を隠すために暗号化されたものであってはならない。
25.3 2) アマチュア局は、緊急時及び災害救助時に限って、第三者のために国際通信の伝送を行うことができる。主管庁は、その管轄下にあるアマチュア局への本条項の適用について決定することができる。
25.4 削除
25.5 §3 1)主管庁は、アマチュア局を運用するための免許を得ようとするためにモールス信号によって文を送信及び受信する能力を実施すべきかどうか判断する。
25.6 2) 主管庁は、アマチュア局の操作を希望する者の運用及び技術上の資格を検証するために必要と認める措置を執る。能力に関する指針は、最新版の勧告ITU-R.M.1544に示されている。
25.7 §4 アマチュア局の最大電力は、関係主管庁が定める
25.8 §5 1) 憲章、条約及び無線通信規則のすべての一般規定は、アマチュア局に適用する。
25.9A §5A 主管庁は、災害救助時にアマチュア局が準備できるよう、また通信の必要性を満たせるよう、必要な措置をとることが奨励される。
25.9B §5B 主管庁は、ほかの主管庁がアマチュア局を運用する免許を与えた者が、その管轄内に一時的にいる間に、主管庁が課した当該条件または制限事項に従うことを条件として、アマチュア局を運用する許可を与えるかどうか、決定することできる。
第2節 アマチュア衛星業務
25.11 §7 アマチュア衛星業務の宇宙局を許可する主管庁は、アマチュア衛星業務の局からの放射に起因する有害な混信を直ちに除外することができることを確保するため、打ち上げ前に十分な地球指令局を設置する。
まあ、意味を深く考えなければ無味乾燥な法律条文の羅列ですけど、以前と変わった点というとアマチュア無線の許可関係にモールス試験を条件としないことばかり強調されてきましたが、その他にも非常時の第三者のための伝送や伝送内容の制限緩和、伝送中の短い間隔でのコールサイン送付義務化削除、使用できる最大電力は主管庁の宰領に任されることなども変更点となっておりますので、1アマ試験には必ず2問含まれる国際条約ですから、この条文は丸暗記しておきたいものです。
しかし「25.7 §4 アマチュア局の最大電力は、関係主管庁が定める」という規定に改正され、「通信士の技術上の資格、および運用条件を考慮」という要件を問わないように変わりましたので、国際条約上ではその国が定める限り、初級免許でどんな高出力を出せるように規定しても、それを制限しないというようになったわけです。ということは、「国内法である無線従事者規則さえ改正すれば、アマチュアの従事者免許はモノクラス化が可能で、現4アマであろうとも1kW局許可は国際条約上では制限されなくなった」ということなんですね。本年1月1日以前はモールス試験なしに取得した4アマ資格でHFの運用をすることに関しては、ずっと国際通信条約のアマチュアに関する規定に違反していた状態が45年間継続していたのに、なんという出世でしょう(^_^;)
さあ、資格統合は足音を立てて目前に迫っている?(笑)
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