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May 08, 2005

第1回目のアマチュア無線技士国試問題

 戦後、アマチュア無線局に対する許可の見通しがたたないまま、とりあえず再開を見越して昭和26年6月に第1回目のアマチュア無線技士国家試験が行われました。そのあたりの経緯はアマチュア無線の歴史関係著述物等でさんざん繰り返されてきましたのでここでは触れませんが、第1回国家試験のアマチュア無線技士1級2級の試験問題が入手出来たのでまとめてみたいと思います。
 当時のアマチュア無線技士の資格は、第1級アマチュア無線技士と第2級アマチュア無線技士の2種類で、操作範囲は第1級アマチュア無線技士(以下1アマと略)が「アマチュア無線局の無線設備の通信操作及び技術操作」で出力・運用周波数に制限がなかった(実質500W以下)のに比べ、第2級アマチュア無線技士(以下2アマと略)は「空中線電力100W以下で50メガサイクル以上又は8メガサイクル以下の周波数を使用するアマチュア無線局の無線電話の通信操作及び技術操作」というようになっており、14,21,28の各バンドが運用できず、CWによる通信操作も認められない初級免許とでも言うべき存在でした。
 当時の試験は1次試験(記述式法規・工学、通信術)合格者が1ヶ月後に2次試験として更に学科(択一式法規・工学)を受験し、すべて合格してアマチュア無線技士の従免を取得するという2本立てになっていたようです。試験の内容は双方ともにさほど差があるわけではなく、2アマが無線学(工学)・法規試験にCW関係の事が省かれているような感じですから。おそらく通信術「欧文60文字/分の速度で5分間の受信及び送信、和文50文字/分の速度で5分間の速度での受信及び送信」が明確な差となって受験の難易度を決定づけていたような感じです。試験は6月,10月及び翌年2月の年3回に地方電波監理局所在地で行われ、受験料が1アマ300円、2アマ250円でした。当時ラーメン一杯30円くらいですから現在ラーメン1杯600円とすると1アマ6,000円、2アマ5,000円くらいの受験料に値するんじゃないでしょうか?
 次に第1回目の1アマ試験を転載しますが「こんなものが出題された」という参考程度にご覧下さい。
 第1級アマチュア無線技士試験(昭和26年6月26日実施)
1. 交流を電源とする無線電信送信装置において、送信中下記の故障を生じたときはどうなるか。
 1)陽極回路の断線(3極真空管、4極真空管又は5極真空管)
 2)平滑蓄電器の短絡
2. 下記のものに適当な配線を施して、水晶発振器のピアーズGF回路を作りたい。配線を引け。又この発信を動作させたときの陽極同調蓄電器の変化に対する陽極電流の変化を図示せよ。
 1amat2
3. 下記のものを用いて、モールス符号練習用低周波発信器を組み立てるための配線図(回路図)を描け。なお組立に当たり、低周波変成器の接続を誤るとどうなるか。UY-76真空管:1個、KX-12F真空管:1個、2μF紙蓄電器:2個、1000pF雲母蓄電器:1個、50kΩ固定抵抗:1個、30H,50mA低周波塞流線輪:1個、0.01μF雲母蓄電器:1個、電源変圧器(並四用):1個、マグネチック・スピーカー:1個、1:3低周波トランス:1個、電鍵:1個
4. ある受信真空管があり、それが抑制格子が内部で陰極に接続されている5極真空管かあるいは遮蔽格子4極真空管かわからない場合に、その種別を知るためにはどのような電気的試験を行えばよいか、その方法を列挙せよ。
5. 電球比較法による無線送信装置の出力測定の回路図を描き、その測定要領を箇条書きにして示せ。

 以上が1アマ1次試験の「無線学(無線工学)」になりますが、第一回目の試験と言うことで「過去、こんな問題が出題された」という情報もないまま記述式試験5問の問題に向かわれた受験者は苦労したと思います。しかし大体においてラジオの基本知識と簡単な送受信装置の取扱経験者だったら合格できそうな問題ですね。更に当時市販のアマチュア無線機など米国製はあっても国産など無かった時代で、送信機・受信機は部品を組み立てて自作しなければいけない時代ですから、現代のように市販の無線機しか使われず、故障したらメーカーに修理に出す訳にはいかないので、故障対策等の技術的操作に関する問題に重点が置かれていた印象です。また、鬼畜米英で敵性語がことごとく排除された時代をまだまだ色濃く引きずって「蓄電器」はまだしも「低周波塞流線輪」なんて何のことかわかります?(^_^;) 問題2で取り上げられている「真空管と水晶発振子を使用した発振回路」の実例は電波新聞社の本年1月末に発行された「実用真空管ものしり百科」に各種掲載されておりますので、興味のある方は本屋でご覧下さい。その他「この時代、自作する際に参考とされた各種真空管回路」が満載です。
 そういや当時の旧2アマが何のCW試験も課されていなかったということは、当時の国際通信連合憲章における国際通信規則上ではHFを運用するに当たって「違法」だったんじゃないでしょうか?

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Comments

突然、eメールを差し上げます。さぞ、驚かれておられましょう。私は神戸在住のハムで太田裕久と申します。識別信号はJA3BUNです。
ところで、あなたのブログを興味持ち拝見していましたところ、26年国試の1アマ試験問題が掲載されていました。
「第1回国家試験のアマチュア無線技士1級2級の試験問題が入手出来たのでまとめてみたいと思います」と話されています。
申し訳ありませんがブログ上で省略されました「図」を電送していただけませんでしょうか。
猛暑の折、厚かましいお願い申します。データ量は大きい方がFBです。
では  失礼します。  73   deJA3BUN   太田

Posted by: 太田裕久 | July 22, 2005 10:32 AM

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