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May 10, 2005

ボイラー実技講習受講

 ボイラー技士という資格に関する勉強は無線工学とはまったく異なる分野の勉強ですのでこのブログの主旨に反しますけど、無線関係の資格はいくら上位の通信系・技術系資格を取得しても、今ではまったく金銭にはかかわってこない資格ですから、航空無線通信士資格を取得することで一つの区切りをつけ、その後は他の分野の資格に挑戦する一環としてボイラー技士試験を選択しました。実はわたくし管理人が子供時分に将来の夢と聞かれると「蒸気機関車の機関士」と答えたもので、その夢は蒸気機関車全廃によって脆くも砕け去りましたが、石炭焚きボイラーの操作には漠然としたあこがれが存在しました。しかし、いざこの歳になってボイラーの勉強を始めてわかったのは、ボイラー技士試験を受けるためには一定の条件の受験資格が必要だということと、蒸気機関車辺りの伝熱面積200平方メートルクラスのボイラーは2級ボイラー技士資格単独では扱えず、1級ボイラー技士の資格が必要で、1級ボイラー技士の資格を取得するためには2級ボイラー技士の実務経験が2年以上必要だということでした。どうやら安全衛生系資格の国家試験は無線従事者国家試験などと違って実務経験なんかの受験資格が付き物のようです。幸いにも2級ボイラー技士の受験資格は「ボイラー実技講習」という講習会に3日参加してボイラーの構造と取扱の基礎を学ぶとともに、実際に稼働しているボイラーを見学することによって修了証が発行され、その修了証を国家試験申請書に添付することによって晴れて2級ボイラー技士国家試験の受験がかなうというシステムです。
 実はボイラーはその形式・構造なんかによって伝熱面積の算出の仕方がいろいろ定められており、一定伝熱面積以下のボイラーだと2級ボイラー技士の資格さえ必要としない場合がありますが、この資格不要ボイラーを何台も並べて結果的に合計伝熱面積がいくら大きくなろうともボイラー技士の資格を必要としないことになっています。そのために法定検査とか定期点検とかそういうことがうるさいボイラーを設置するよりも、資格不要ボイラーを複数設置したほうが得策ということで、2級ボイラー技士の資格も最近は所持していることがストレートに就職に繋がらない資格になり果てた感があります。さらに資格不要ボイラーを扱わせる場合でも雇用者側は有資格者を求める傾向があり、ここで実務経験を何年積んでも1級ボイラー技士の受験資格になりませんので注意が必要です。現在では2級ボイラー技士、危険物取扱者乙四類、第二種電気工事士、高圧ガス製造保安責任者(第3種冷凍機械)の4つが揃って初めて何となくビル管理あたりで仕事が出来そうな資格の組合せとなる感触でしょうか。さらに消防設備士の乙種を全部と電験3種を持っていると定年後でも食いっぱぐれる心配はなさそうです。
 2級ボイラー技士の受験資格を得るために地元で開催される一番近いボイラー実技講習の日程をウエブで検索し、申込書をFAXで送ってもらいました。そして3日間の講習代金18,300円を講習会主催の地元労働安全衛生協会に振り込み、申込書に必要事項を記入してFAXで申し込みます。そして3週間余り後の12月も10日を過ぎてからボイラー実技講習が地元の軽金属製造会社の会議室で開催されました。2日間は朝の9時から夕方16時過ぎまで学科を。3日目は半日が学科で午後からは軽金属製造会社の構内に入って実際に使われているボイラーの見学が予定されていました。初日にボイラー実技テキストとボイラー図鑑なるものが配られましたが、アマチュア無線の養成会用教科書並に薄い本でした。今回の講習受講メンバーは32名、そして講習会講師は地元製紙会社の火力発電部門OBで特級ボイラー技士の人でした。講習内容は時間の半分が講義。時間の半分はその部分を解説したビデオを見るというものでした。しかし、そのフジテレビ製作というビデオの内容が古いこと古いこと(^_^;)昭和49年の製作となっていたようですが、使われていたボイラーは重油焚きとはいえ機関車型の炉筒煙管ボイラーで、さらに給水ポンプが蒸気機関車のような蒸気動力の往復式ポンプでした。現代でこんな熱効率の悪そうなボイラーなんか使っている会社があるんでしょうか(笑)講習でわかったことですが、現在産業安全系では使用する単位がすべて国際単位(SI)に変わって、圧力の表示はすべてパスカル、熱量単位はジュール、力の大きさはニュートンなんですね。キログラム・カロリーの単位が頭に染みついているので、いちいち頭で換算して理解する有様。そういえば、この単位の換算は計算尺の得意種目です。SI単位換算専用計算尺の製作してくれませんかね?ヘンミ計算尺さん(笑)
 この講習会には修了試験というものが無いので、各自それほど緊張して参加しているわけではありませんが、講習会の雰囲気は4アマ養成講習会とさほど変わらないものでした。しかし、修了試験がないとはいえ、しっかり勉強しないと本番の試験で何回もの受験を繰り返すことになりかねません。講師が古いテキストを使っていたのでページが合わずに判明したことですが、最新のテキストは石炭関係の記述が殆どカットされ、昔は焚火の方法から石炭の貯蔵までかなりの部分を占めていたのに、殆ど省略されてしまい、石炭焚きボイラーに興味のある当方としては寂しい思いをしました。そのために石炭ボイラーの煙管掃除にはつきものの「スートブロー時の注意」に関する問題が実際の試験に出てきて、テキストにも参考書にもスートブローが出てこなくて未だに答えがわかりません(^_^;)たぶん蒸気機関車時代にまだ熱い火室にもぐり込み、機関車の圧搾空気で煙管の煤掃除をしたという話の事だと思って、想像で答えを選びましたが。さらにリンゲルマンスモークチャートに関してはもう試験には出てくることはないでしょうが、図書館で15年くらい前の2級ボイラー教本を見て、初めて何かということを知りました(笑)九州の蒸気機関車にはつきものでしたが、どういうものかと解説した鉄道書がなかったもので(^_^;)そういえばボイラー実技講習ではボイラー関係法規のことについては触れられませんので、何かしらの参考書を買って独習する必要があります。ボイラー実技講習の修了証をもらったからといってその足ですぐに2級ボイラー技士国家試験に臨んでも合格の可能性は低いでしょう。
 昼間は軽金属会社の社員食堂で食べました。最近は単純労働力の殆どをアウトソーシングで賄っているようで、10代後半から20代前半のおねえちゃんたちが作業服着て昼食を取っていましたが、相次ぐリストラで正社員が最盛期の1/5以下になったからか、「食堂は12/26で閉店します」という張り紙が寂しげでした。3日目午前はパソコンを使用してボイラー操作のシミュレーションを行い、全員が操作できないので代表してかなり長い間シミュレーションソフトの操作にお付き合いし、昼食後の午後に、工場の構内入場許可書というのをもらって、工場構内を自分の車でボイラー上屋に向かいます。ここには貫流ボイラー3機が設置されていてここで工場に必要な蒸気を賄っているとのこと。しかし、ボイラー作動中の音がうるさいのに驚きました。こんなボイラー室に一日中いたら、耳が悪くなって微細なCW信号なんか取れなくなりそうです(^_^;)そして一通り説明を聞いた後、その場でボイラー実技講習修了証をもらって3日間のボイラー実技講習が終わりました。国家試験受験の申請にはこのボイラー実技講習修了証を添付しなければいけないそうで、これは手元に帰ってきません。国家試験結果通知書が送られてきて合格していれば免状の申請が出来るので必要なく、万が一不合格の通知をもらうと再受験の際にこの不合格通知を添付することによって受験資格証明の代わりとするそうです。不合格通知を添付したくなければボイラー実技講習を受けた先で実技講習修了証を再発行してもらうことも可能だそうですけどね(笑)

 ※平成24年4月1日以降はボイラー実技講習修了書添付が2級ボイラー技士国家試験の受験資格とはならず、ボイラー実技講習修了証が2級ボイラー技士免許証交付の条件に変わりました。すなわちボイラー実技講習は国家試験の前に受講しても、試験合格後に受講してもかまわないことになります。実務経験証明などが無い場合には2級ボイラー技士免許証の交付を受けるためにボイラー実技講習を受講し、実技講習修了証を得て免許申請書に添付しなくては免許証が交付されません。

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