HFでのローカルラグチュー
昔、友人達がアマチュア無線に目覚めて電話級免許を取り始めた中学生時代でしたから、今から30年以上前の話になります。平日に学校を休んで札幌まで電話級アマチュア無線技士試験を受験しに行った同級生2人は無事に国家試験に合格し、その頃入門用として初心者にはポピュラーになり始めていたVHFの6mや2mに見向きもせずに日本中どことでも交信できるHFの無線機で開局することになりました。2人ともHFだったらぜったいに八重洲の無線機が良いなどと言っていたのに、なぜか2人とも同じトリオの無線機で、初心者向きのTS−311というリグを購入し、開局に至ったと思いました。なにせこちらはリグの機種など全くわからなく、ただトリオだということはわかっただけなのですが、それでも遠くと交信するためになぜこれだけ大きな筐体のトランシーバが必要なのか理解が出来ませんでした。なにせ普段我々が使う機会のあったトランシーバというと学研のラジホーンの類のおもちゃ屋で手に入るくらいのハンディトーキしか知りませんでしたから(笑)
彼らは本格的なアンテナを建てるわけにもいかず、垂直系の7/21に出られるようなアンテナでQRVしていたと思いますが、いつも遠くの局と交信できるとは限らないので、学校から帰ってくると一方から電話で「そろそろ無線やろうぜ」などとスケジュールQSOというかラグチューの約束をし、お互いに電話代わりに何十分でもしゃべり合うことを繰り返すのが常でした。お互いの家は歩いて5分も掛からない距離にあるのに21メガでのラグチューというのも、電波がどこかとんでもない所に届いているとすると、今にして考えれば迷惑な話ですが。それでもそのラグチューが部外者のこちらが聞くと妙にかしこまった無線調なのが「ライセンスの必要なアマチュア無線」を強く感じさせました。ある日一方のE君宅(JA8VZO)に遊びに行っていたときに電話が掛かってきて、これからスケジュールQSOをするというので、その無線での会話を聞いていると、相手のK君(JA8VUG)に「バックグラウンドノイズとしてだったら後ろで声を出しても構わないから一度声をだしてごらん」なんて言われたんですけど遠慮しときました。正規の免許を取って無線で声を出すまでそれから30年かかりましたけどね(^_^;)
そうやって21メガでラグチューを繰り返している彼らにある日、割り込んできた局があったそうです。それで「いつまでもくだらない会話で同じ周波数を何十分も塞ぐな」とどなられたらしく、けっこう彼らは憤慨していたんですけど、その声の主というのが他校でしたが中学の恐い先生で、そこは一家はXさん含めてすべて免許持ちであり、2級下の同じ中学の女の子は電信級(のち2アマ)のコールサイン持ちだったのです。ちなみにその恐い先生はもう70歳をとうに越えられましたが、あいかわらず無線界では我が町の現役長老の1人です。そういうことがあったからかどうか、2人とも急に電鍵を買い込んで電信級免許取得の準備に入りましたから、今度はCWラグチューにでも移行しようとでも思ったのでしょうか?(笑)
まあ、日本中で聞こえる3エリア局同士の3.529のコールサインも言い合わない大電力ローカルラグチューなんかと比べれば、21メガ10Wの中学生同士のローカルラグチューなんかかわいいものでしたけどね。そういやこちらの無線封鎖時代に21メガで沖縄にラグチューのことを「ラブチュー」って本気で言っていたおじさんがいて、タヌキしていて思わず大笑いしたことがありましたが、こちらも晴れて電波を出せる状況になり、その愉快な沖縄ラブチューおじさんと一度交信したいと思っているのですけど、未だに果たせません(^_^;)
さて、VHF・UHFであれば、何となくローカル専用という感じで、スタックの大アンテナを高いタワーに建てて遠くを狙っている人以外だったらローカルからのコールバックを嫌う人はいないと思います。というより、普通の設備であればローカル以外と会話することの方が困難ですが、HFに限ってみるとローカルからのコールバックを嫌ったり、ローカルからのCQにコールバックすることを遠慮するような風潮があるのではないでしょうか?まあ、確かにHFが開いていて盛んにそちらと交信しているときに、いつでも交信できるローカル局が声を掛けるのは不作法ですが、いくらCQかけても空振りしているような局には積極的に声を掛けて、コンディションその他の情報交換をすることは悪くないと思います。特にコンテストの時なんかはローカルといえども1点ですからね。ところが、ここ2年ほど無線を続けてきてローカル局にHFでコールバックをしたのは1度だけ、コールバックをもらったのは3回ほどでした。それもなぜが全部14メガだけなんですよね。記念局の運用に対して21メガで2回ほどコールバックをしたことがありましたが、これは別です。実はローカルというか8エリアとしても交信履歴のない周波数帯が10メガ・18メガ・24メガ・28メガの4バンドもあって、こんなのスケジュールQSOを誰かにお願いすれば1発で済むんですけど、それで済ませるのも何となくつまりませんものね(^_^;)
まあ、こちらとしてはHFのローカル局コールバックはエニィタイム・ウエルカムなんですけど、みんな気を遣って声を掛けてくれないのかな?(おまえがローカルの嫌われ者だというツッコミは却下)おかげで昨シーズンだけで少ない24メガの交信は8エリアのQSLカードがないためにAJDアワードの24メガ特記が取得できませんでしたし、今年も8エリアの交信だけ出来そうにありません(笑)
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