HEMMI No.266電子工学用計算尺入手
厚木の某OMさんのご厚意によりまして、ついに「HEMMI No.266 電子工学用計算尺」を入手しました。なにせこのNo.266はLC回路の計算が一目でわかるだけではなくその誘導性・容量性リアクタンス、波動インピーダンス時定数、限界周波数、並列抵抗、合成インピーダンス、ベクトルの絶対値、デシベル計算が瞬時に目で見てわかるという優れものです。我々の世代だったらそういう計算はプログラム電卓で任意の数字を入力すれば答えが出てくるようにプログラムを組むのが普通なんでしょうが、1つの数値だけ読むのではなく、その数値の組合せが連続的に量として目で見えるのが計算尺の優れたところです。ここまで電子工学用に特化した計算尺は日本ではこのヘンミのNo.266しかなく、その特殊性ゆえに「本数の少ない計算尺」の一つで、電子工学にまったく縁のない計算尺ヲタクの間でも「あったらとにかく押さえておけ」という感じで、金額に糸目を付けずにさらわれていかれますから、実際に無線工学の興味により必要としている自分のところには縁のない計算尺でした。その特殊性ゆえに「無線従事者試験で使用できない唯一の計算尺」のようですが、そりゃ「任意のLとCに値を取れば共振周波数が1発で出てくる」ような道具を試験に持ち込んだら試験になりませんって(笑)
でもマルチバンドアンテナのトラップなんかを作るにはこれくらい便利な道具はありません。通信機メーカーでも設計者には会社からこのNo.266か支給されたらしく、「JRC(日本無線)」の刻印が入ったHEMMI No.266もあったようです。一度お目に掛かってみたいですね。もしかしたら三鷹・吉祥寺界隈の古道具屋にないかしら?吉祥寺界隈には岩通の刻印入りのNo.266も、どこかに眠っているかもしれません(^_^;)
ところで、オークションでもなかなか出てこなく、出てきたとしても高額で計算尺コレクターにさらわれるNo.266をどうやって入手したかというと、実は「求む」の広告を出したのでした。もちろんこんなものでNo.266が手に入るとは思いませんでしたが、ダメで元々と思った「求む」広告の熱意が通じたのか、ご丁寧な往復ハガキをいただき、こちらの指し値でお譲りいただいた次第です。No.266電子工学用のオファーはこの一件だけでしたが、電話で「FUJIの両面計算尺」の連絡をいただきました。FUJIには電子工学用が無かったために、その申し入れは辞退しましたが、考えてみればFUJIの両面計算尺自体、そんなに数があるわけではなかったので、お譲りいただいた方がよかったかなぁ、なんてちょっと後悔しました。しかしまあ、No.266は1アマ以上の無線工学の知識、いわゆる「各種無線工学の概要」レベルの無線工学でなければ必要のないものです。初級アマレベルの知識だと、ちょっと書かれている目盛の意味することもわからないかも。
このNo.266が加わって、当方には計算尺が用途別に4本集まりました。そのうち2本はタダでもらったものです(笑)リッツシステムのNo.64は某鋼材メーカー勤務の友人が職場で確保して送ってくれたもの。No.2634は親父の持ち物だったもの。No.45Kは古道具屋さん。そしてNo.266は厚木のOMさんからです。
30日の交信は1局だけ。それも2mでも電波が届く壮瞥町のオロフレ峠からの21メガ運用局との交信です。21メガだと隣の町との交信も怪しいのですが、さすが高い地点からの交信なので、グランドウエーブというか直接波でもお互いに59というレポートでした。しかしまあ、市内ならまだしも隣接地と21メガで交信できたなんてけっこう珍しい。もちろん近距離Eスポじゃありませんよ(^_^;)
#266と#2664Sのサブセットである#2634との大きさ比較。まるで超弩級戦艦と駆逐艦ほどの大きさの違いがあります(笑)#266にはKTA-12939という刻印が彫られており、もしかしたら米軍通信隊か通信機メーカーの備品だった可能性があります。箱は30年代によくある深緑の皮もどき紙の貼り箱でした。40年代の#266と比較するとLL固定尺の右側部分に桁読み換えのための換算刻印らしきものがありません。製造年月略号が見あたらなかったので、どうしたものかと思ったら下固定尺左側にうっすらと「PK」を確認。昭和40年11月の製造ということになりますね。わたくしゃまだ小学校にも上がっていないころで、ちょうど「ウルトラQ」なんて特撮物をやっていた頃でしょうか?
HEMMI No.266電子用の表面拡大画像はこちら
HEMMI No.266電子用の裏面拡大画像はこちら
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