計算尺末期のHEMMI No.P45D
5月に入手したヘンミの中学生用計算尺No.45Kは、上級無線従事者試験における計算尺の有用性の話に感化されて、とりあえず使ってみたいというローカル無線家のところへ下げ渡されてしましました。以前書いたように「計算機は持ち込みできないが計算尺は持ち込むことが出来る」試験は無線従事者試験だけのようです。他の試験では計算ツールはまったく不可か、計算機も計算尺も持ち込み可というようになっているのが普通で、未だに「計算尺だけ使用可」という無線従事者試験だけがちょっと変わっているというか、おかしいだけなんですよね(笑)まあ、いままで1アマ試験でも通信士試験でもいまだに一度も計算尺を持ち込んだ人間にお目に掛かっていませんが(^_^;)
8インチの中学生用計算尺を下げ渡してしまい、日常使うのに10インチの計算尺は机の上で邪魔くさいし、5インチの計算尺は目盛の読みとりが、ちときついために、日常用に8インチの中学生用計算尺が欲しいと思っていたところに、さる文房具屋よりデッドストックで定価1200円のHEMMI No.P45Dというオールプラスチックの計算尺を1,000円で入手してきました。本体の刻印を捜しましたがどこにもみつかりません。説明書の印刷が昭和49年5月になってますから、それ以降に市場に出されたものであることは確かです。49年というと、ほとんどヘンミ計算尺が生産を止めてしまったころの製品と言うことになるのではないでしょうか?当方、ちょうど中学3年のころですから学校では実際に計算尺の授業をまったく止めてしまったころに生産された計算尺ということになりますね。以前のNo.45Kは昭和38年製ということもあり、まだまだ計算尺が実社会でも使われていた時代の製品ですが、昭和49年というと電卓も関数電卓が出始めたころでもあり、実社会では計算尺が急速に廃れていった時代の製品ということになるでしょう。
No.45Kは中学生用といえども工作精度も優秀で、見事な竹の細工物だったのですが、No.P45Dはプラスチックの板を切削加工したもので、妙に安っぽく、裏面のカーソルと換算表が省略され、三角関数は滑尺を裏返して計算しなければならず、換算表は別添えのカードが附属してました。今だったら裏のプラスチック面には保護シートを貼ったままで、キズが入れば製品として刎ねられるんでしょうが、このころはそういうキズにクレームをつける人間もいなかった為か裏のプラスチックは未開封品なのにも係わらず、けっこう擦り傷が入ってました。滑尺の滑りもなんか少しカジるような感じがして、やっぱり竹の方がスムースに動くような感じです。でもまあ、滑尺が薄いブルーのプラスチック素材を使用しており、白とこのブルーの対比が新しい感じがしますね。また、カーソルの入る溝が両端で塞いであるために、カーソルが抜け落ちて無くしてしまう心配がありません。そういえば計算尺本体はHEMMIのロゴが赤く入ったビニール袋に入れられているのが普通だとおもいましたが、このP45Dはただの透明なビニール袋に入っていました。末期ではビニール袋のコストまで惜しんだのでしょうか?
ヘンミ計算尺は和光市の白子に竹製計算尺の一貫生産工場を持っていたようですが、手作業による部分が多くて竹製計算尺は年を追うごとにたびたび値上げされ、大量に消費される学生用計算尺のコストを押さえるためにプラスチックの計算尺を開発したのでしょう。現在ヘンミ計算尺では竹製の計算尺は再生産出来ないが、このプラスチック製計算尺に関してのみ、数がまとまれば生産可能なようです。最近よく使われるSI単位と以前の単位との換算用計算尺なんか作ることが出来ると、ジュールだニュートンだパスカルだとかの単位は頭の中でいちいち換算しないと理解できない私なんかにとっては便利なツールなんですけどね(笑)
17日、朝から6mの宮崎ビーコンが久しぶりに聞こえています。午前中から昼にかけてまで、8エリアでは6mがよく開いたようですが、こちら試験勉強中のために交信自粛中です。誘惑に乗らず、6mで声を出さなかったのは3年半も酒を飲まないような「辛抱・我慢」が得意だから(笑)
そういえば21メガニューカマー局の正体は、何と地元の小学6年生だそうです。講習でなくて自分で4アマ免許を取りに行き、FT-857と南向き固定バンザイダイポールでの開局ということで、願わくば「交信の相手がおじいさんしかいなくてつまらないからもう止めた」ということにならないように祈ってますけど(^_^;)
HEMMI No.P45Dの表面拡大画像はこちら
HEMMI No.P45Dの裏面拡大画像はこちら
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