ヤシカ35の巻止め不良修理
お盆休暇シーズン中はどこかしらの移動局がかならず声を出してくれていましたので、朝方と夕方に6mで交信チャンスが巡ってきて、昨日14日の夕方にも何局かと交信出来ましたが、さすがにシーズン末期らしく、2エリアから北とは交信できるチャンスに恵まれないようです。本日15日は昨日14日よりさらにコンディションが落ちましたが、朝方6mで佐賀県内のみ開け、2局ほど移動局と交信しましたが、8エリアからは夕方はコンディションが戻らず、クラスタの方にも交信報告が上がっていなかったようです。
さて、このカメラは2眼レフメーカーとして発展した「諏訪の風雲児」牛島社長のヤシカが始めて作った35mmフイルムを使うカメラで、当時のカメラが主にそうであったように外貨を稼ぐために海外に多く販売されたカメラです。外観がコンタックスに似ておりまして、これでライカマウントのレンズ交換式でフォーカルプレーンシャッター付きのカメラだったら、吸収したニッカで作ったYFよりは、現代ではよっぽど人気があったと思うのですが、残念ながら普及機というべきレンズシャッター機にすぎません。でもこの「ヤシカ35」はボディの出来に似合わず、当時のテストからして「レンズの描写が抜群」と評されていて、おそらく新種のガラスを使用した富岡工学あたりのレンズを使用したのではないかと。「レンズを外してライカマウントの鏡胴に移植してしまいたい」などと言われるほどで、その描写は「少し絞り込むと中心部から周囲に掛けても非常にシャープでコントラストも高い均一な像を結ぶ」といわれるようです。一時期2万円を超えるような値段で取引されるようなことがあったようですが、ヤシカのレンズシャッター付きカメラとしては一番相場が高かったんじゃないかしら?レンズは45mm/f2.8と2.0の2種類あったようですが、輸出用としては圧倒的に2.8付きのカメラが多かったようです。このカメラの入手経緯は、もう15年ほど前、松阪屋カメラでアメリカから届いたカメラを店内に並べ始めた木曜の午後に立ち寄り、確保してきたもので、アメリカ帰りということもあり、ファインダー内の曇りもレンズのカビも見あたりませんでした。値段はたったの3,000円。当時、ライカもどきの国産レンジファインダーカメラを集めていたわたくしが、なぜこんな物を持ち帰ったのかわかりませんが、多分コンタックス風で見栄えが良かったから飾りにでも使おうと思って買ったのだと思います。そんで、一度もフィルムを入れる機会がなく、防湿庫が一杯の時はタンスの中に収められたりして数年経って動かしてみると、フイルムを巻いてシャッターチャージしても巻止めが効かないんですね。購入した当初はちゃんと効いていた物が何もしないうちに巻止めが効かなくなるのも釈然としない感じがしましたが、中学生の時に叔父のミノルタA3というレンズシャッター機が巻止め不良になるのを経験しましたので、おそらくシャッターがチャージしたときに巻き上げ軸を止める爪かなにかのスプリングが外れたのではないかと思って、いつか自分でなおしてやろうと思い、そのまま8年ぐらい経過し、2年前にカメラの分解トレーニングついでに軍艦部を取り外し、爪らしきものを発見したのにも係わらず、バネが掛かっている様子もなく、そのまま組立直してガラスケースのオブジェになってました。今回JETの部品交換をしたついでに、この巻止めの効かないヤシカ35をもう一度分解し、巻止めの作用をする爪をもう一度観察すると、髪の毛ほどの細いねじりバネが下部に装着されていて、そのテンションで爪をラッチに押し付けるものが、そのバネの材質不良の為に40年以上という経年劣化ですでにテンションを失って、爪をラッチに押しつけられなくなってしまっているのが巻止め不良の原因だと判明しました。こうなったらテンションを掛けるためのねじりバネを自分で作るしかありません。家の中で手に入るねじりバネの材料といえば、使い古しのノック式ボールペンのコイルスプリングを延ばして使うくらいしか見あたりません。それで細いドライバーの軸にバネ材を巻き付けて、似たような形のスプリングを作りました。いざ装着してみると、テンションが強すぎて、常にギアをがりがり擦ってしまい、とてもフィルムをスムースに巻き上げられるようなものではありません。また、シャッターを切ったら巻き上げをフリーにするための爪の規制梃子のスプリングとのバランスを欠いてしまって、全くダメでした。この爪は常にラッチに対してテンションは掛かるようにしなければいけないが、梃子を押しのけるようなテンションの強さではいけないということで、ここいらのバランスが非常に微妙でこれは明らかに設計ミスというか、ずぼらな設計なんでしょう。それで爪を押しつけるという動きではなく、バネが微妙に元に戻ろうとする寸前のテンションを見つけるのに試行錯誤で何回もバネを作り、結局半日仕事で何とかシャッターを押さなければ確実に巻き上げ軸を止めるところまで持って行き。ついでにファインダーを掃除して元通りに組み立てました。まあバネ一本でけっこうな暇つぶしでしたけど。なんか自分で部品を作ってやっとカメラを修理して完動品に仕上げたというと、なんとなく偉そうに聞こえますね(^_^;)
15年間一度もフイルムを入れたことがないので、せっかくだから1本くらい撮ってみましょうか?
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