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August 14, 2005

オートボーイJETの修理

 巷では民族大移動の様相を呈して、このガソリンの高い時代に高速道路や観光地周辺も大渋滞のようですが、こちらお金の掛からない趣味としてお盆の休み中は、ちょうど部品取りのためのカメラが入手できたりしたために、一気に2台のカメラを分解し、修理などをする暇の潰し方をしてました。このオートボーイJETというカメラは、今から14年ほど前に、会社の社長の息子である専務から「オートボーイJETを買ってくれるんだったらGSW-690と交換してもいい」ということで、2つ返事で承諾したバーター取引のために自分がお金を出して購入したカメラでした。相場を知らないと言うことは恐ろしいことですが、相手は6万円くらいする最新機種の新品カメラと交換したと思ってましたが、そのころすでにオートボーイJETは不人気機種として場所によっては19,800円で売られていたことを相手は知らなかったようです(^_^;)
 そのオートボーイJETで専務が土木の院生時代に論文のスライド作りに親に購入させた、フィルム20本も撮っていないフジの4年落ち位のGSW-690を巻き上げたのですから、正に「エビでタイを釣った」ようなものでした。そのGSW-690は中判のメインカメラとして北海道から九州まで持って歩きましたが、その後エビであったはずのオートボーイJETも「壊れたから捨てる」の一言を聞いて、タダでもらってきたカメラなんです(笑)
 このオートボーイJETが発売された1990年当時、オリンパスを皮切りに「ブリッジカメラ」というコンパクトでズームレンズ固定のSLRが流行したことがありましたが、そのブリッジカメラとも明らかに違う形態で、ズームレンズの本体をそのままカメラにしたような形態の、おおよそカメラの形態とは思えないような、当時としてもかなりエキセントリックなカメラがオートボーイJETでした。確か広告はJETがミサイルよろしく空間を飛んでいるイメージ広告だったと思います。そのカメラとしては常識破りの姿・形のためか日本では全くと言っていいほど受け入れられず、早々に在庫を投げ売りされる状況でしたが、アメリカ方面ではかなり目を引いたらしく、その前持ち主もアメリカに持参したらよくこのJETを売ってくれと言われたとのこと。後継機種としてズームレンズが135mmまで拡大されたオートボーイJET135が出ましたが、その後の後継機種はありませんでした。今は似たような形態のデジタルカメラがありますのでカメラとしての形態の抵抗感はないとは思いますが、15年前ではまだまだカメラの形態としては日本の市場に受け入れられる物ではありませんでした。出現が10年早すぎたカメラと言えるでしょう。本体がこのままでデジタル化してほしいカメラではありますが、その意に反してあまりにも売れなかったカメラのために、この金型が使われてデジタル化されることはありませんでした。このカメラが普通のコンパクトカメラと違って優秀な点は、レンズ部分の収納寸法に余裕があったために、口径比が多く取れ、35mm側でコンパクトカメラには出来ないF2.8という明るさにあります。さらに広角側では並のSLRレンズに匹敵する解像力ですが、ズーム105mm側では35mm側よりかなり解像力が落ちるのはいたしかたがないでしょう。距離に連動してズームする大容量ガイドナンバー25のストロボがヒンジで開くレンズの蓋にビルドインされていて、レンズ近くで発光するためにあまり影を心配することがありません。そのために赤目に陥りやすいのでプレ発光システムが着いています。露出はプログラムのみ。そのため動きのある物を静止させるような撮り方は不適当で、高感度のフイルムを使用するしかありません。往年のキャノネットのようにシャッター速度優先モードが欲しいところです。
 この「壊れたから捨てる」の原因は、電池室の爪が折れて、そこにスペーサーで詰め物をしてあり、フイルム交換の度に電池が外れて年月日のメモリーがクリアになってしまうというもので、それに目をつぶれば使用可能な状態なんですが、入手した当初は何回かオフ会などで使ったものの、いつか修理しようと思って10年間そのままになっていたものです。部品代としては100円そこそこの部品でしょうが、けっこうな工賃を取られそうな気がしてついにそのままでした。ところが先日、部品取りジャンクのオートボーイJETを入手して、電池室爪を交換することを企てました。昔のカメラと違って、プラスチックのパズルである現代のカメラは、ネジを外せば部品が外れるというものではなく、プラスチックの弾性を利用してはめ込んである部品がありますので、それを読みとって時計裏蓋分解用のハガシなどを使って慎重に分解。けっこう隠しネジ的なものもあるので、設計者の意図を読みとりながらの分解になりました。ジャンクカメラの部品取りから修理カメラの分解と部品移植、再組立まで30分程度で済ませ、見事10年ぶりでオートボーイJETがよみがえりました。
 プログラムシャッターのみということで、一般のスナップ写真撮影以上には用途の限られるカメラですけど、普通のコンパクトカメラとは比べ物にならないストロボの容量を生かせばストロボ外付けのカメラ以上に使い物になるはずです。さらに忘れていましたがファインダーは実像式ケプラーファインダーでズームに連動し、さらにウエストレベルで使えるように上からも切換で覗けるようになっており、ローアングルから変わったアングルで写真が撮れそうですが、実像ファインダーゆえか光路上のゴミが拡大されて気になるのが欠点でしょうか。フォーカスも赤外線3点アクティブ式評価測距で、今のカメラと比べては芸がありませんが、当時の安いオートフォーカスカメラと比べて中抜けもなく優秀な部類でしょう。もちろん動体予測機能なんかありませんけどね(笑)
 ただ、マニュアルフォーカス機械式カメラしか使わないこちらとしてはあのタイムラグの大きいシャッターは我慢できません。飲み会なんかのスナップに特化した使い方しかしないと思いますが、意外とモノクロフイルムを詰めて町の風景を切り取るのもいいかもしれません。
 もう一台の暇つぶし用修理カメラはヤシカの35mm第一号「ヤシカ35」の巻止め不良修理です。このカメラは部品を作らないといけないためにたっぶり修理・調整に半日かかりました(^_^;)
ABJET


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