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August 24, 2005

Moogシンセとアマチュア無線の関わり

 ロバート・モーグ氏の訃報が流れました。彼が世の中に送り出したモーグ・シンセサイザーは初期のアナログシンセサイザーの傑作として、音楽に革命を起こしたことのみならず、現代のデジタルシンセサイザーをしても絶対にあの太い音が出せないという電子楽器の傑作、というよりテルミン同様に「人間の血の通ったアナログの楽器」を感じさせる最後のものだったように感じます。惜しむべくは、コルピッツ発振回路か何かわかりませんがアナログ発振回路であるVCOの発振周波数が安定しないためにチューニングが不安定ということで、その点では後発のARPオデュッセイに負けていましたが、ARP以上に多くのミュージシャンに愛されたのは、その欠点を押してあまりある独創的な音が自分で作ることができるということではないでしょうか。作曲家富田勲氏がミニムーグ以前の巨大なモジュラー型ムーグシンセサイザー(楽器の方はモーグというより昔からのムーグという言い方じゃないと気分が出ません)をアメリカから個人輸入する際、税関で楽器である事を信じて貰えず、ウォルターカルロス(性同一障害を克服してウエンディーという女性になりましたが)のスイッチト・オン・バッハというレコードを持っていって、やっと楽器として通関してもらったなどという話もありました。
 アナログシンセサイザーというのは、実はVCOで発信させた波をオペアンプで増幅し、色々なモジュレーションを掛けたりフィルターを通したりして波形を加工し、それで色々な音を出すのが基本なんですが、始めにこの構造を見て、なんか単純に無線機みたいだと考えました。それでどうやらロバート・モーグのシンセサイザー発想の基礎になったのは、どうも無線工学の素養があったからだと考え、実は彼はアマチュア無線家だったのではないかという一つの妄想があったのです。まあ、こういうつまらないことから大胆な仮説まで展開するのはわたくしの悪い癖ですが、そんなことは忘れ去っていて10年以上経った今になって、ロバート・モーグ氏の訃報が流れ、そういえば「モーグ氏はコールサイン持ちだったか否か」という疑問を思い出したというわけです。いままで出てきたシンセサイザー関係の文献には氏と無線工学を結びつける記述はなかったと思いますが、10年前と違って、今ではネットでキーワード検索すると、大抵の疑問に答えてくれる世の中になりました。それで英語で「ロバート・モーグ アマチュア無線」の2語で検索すると1997年にロバート・モーグ氏が受けたインタビューが掲載されてあるものがヒットし、それによると、「父親がアマチュア無線無線家で、子供の時に無線機の構造とかそういう無線工学を父親からたたき込まれた」という記述に行き当たりました。やっぱり当たらずとも外れてはいなかったようで、これで昔年の「アナログシンセと無線機の関係」の疑問が氷解しましたが、「ロバート・モーグ氏自信はコールサイン持ちでなかったのにも係わらず、子供の時からアマチュア無線家の父親に無線工学をたたき込まれて、後年それがアナログシンセの開発に繋がった」ということは疑いのない事実でした。後に無線機もシンセサイザーもアナログを脱してPLLを使用したデジタルシンセの時代になって行きますが、なかなかチューニングの安定しないアナログシンセや無線機もその存在価値は未だに失われていないようです。アマチュア無線界に「TS-520サウンド」が存在するように、やっぱり音楽業界には「ミニムーグの音」「プロフェット5の音」っていう定番サウンドが未だに存在するんですから。

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