資格による周波数制限
実はアマチュア無線の資格を満たす要件に関しては国際通信連合の条約によって定められておりますが、その中でも改正されたITU-R M.1544という条項によって各国がアマチュア無線の免許を与えるための最低限の知識の確認を行うべき条件が定められております。この最低限の知識を問う条件のなかに以前はCWの技能を確認するべきことが入っておりましたが、このM.1544の修正条項によってCW技能確認の条件が削除されたために、国際条約上ではHFを運用する最低条件を満たしていなかった4アマ・電話級が晴れて国際条約的に要件を満たすようになってからまだ9ヶ月あまりしか経っていないんですが、よくよく見ると国内法のほかに国際法規も知識として確認する最低要件に入っていますから、相変わらず4アマはグローバルスタンダード外ですか(^_^;)
しかし、アマチュア無線局に許可する最大電力に関してはその主管庁が定めることとするということになりましたので、国際条約的にはCWの技能の確認をしない4アマ免許に1kWの許可を与えることだって可能なのです。
昨日、2アマが養成講習で取得できるようになって、14メガが新2アマで溢れ現在の7メガ化し「道の駅○○番」という声にコールバックする声でQRMの嵐になったら面白いと書きましたが、考えてみると現代にあって14メガが上級所持者しか出ることが出来ないというのも時代に合わなくなってきているかもしれません。そもそもわたくしが上級を取得し、1アマまで取得したのは資格によって周波数と出力の制限をうける呪縛から逃れたかったというのがその理由です。もちろん1kW局を運用することなど、いまのところは非現実的で、1アマを持っていたとしても使いようのない資格なんですけど、アマチュア無線的には運用に対する制限がなくなったことで精神的に楽になりました。
それでなぜ初級アマチュア資格に14メガを使わせないかということに関しては、こないだの4アマ講習会でN講師が「DXのメインストリームで、少ない電力でとんでもない遠くに電波が届いて混信することがあるため」と説明しておりましたが、おそらく以前は商用短波国際通信のメインストリームが10メガから20メガ近辺だったために、アマチュアに制限無く使わせると商用通信に妨害をあたえる可能性が高いので、少ない上級者のみに許可したものと思われます。
ところが現在では放送以外では、ほぼこのあたりの短波周波数の通信利用も無くなってしまい、通信は専ら衛星利用になってしまいましたので、14メガを上級以外には使わせないという理由がなくなってきているのかもしれません。特に3級は国際条約に関しても試験範囲に入っているし、18メガは使わせるのに14メガと10メガがダメという理由が見あたらないような気がしますが。
アマチュア無線資格制度がスタートし、第一回目の無線従事者国家試験が開かれた当初は、1級と2級のみの資格しか無く、1級は資格的には現在同様なのですが、2級は現在の4アマより周波数の制限が厳しく、出力は100W以下とありながら、周波数は50メガサイクル(時代を感じますね)以上または8メガサイクル以下ということでした。この時点ではWARCバンドはもちろんアマチュアに許可されていませんし、1.9メガはおろか、3.5メガはアマチュア無線再開後1年を経過してからの許可になり、3.5と7メガはスポット的な周波数の割当だったようです。この2波がスポット的周波数許可からバンド開放になったのは昭和29年5月を待たなくてはいけなかったようです。そして電波法改正で電信級・電話級免許新設が施行された昭和33年11月になっても2アマの操作範囲は28メガ以上8メガ以下で、14メガ21メガの操作は出来ず、電信級・電話級にあっては50メガ以上8メガ以下で空中線電力10W以下と定められておりました。当時はまだまだ短波の国際通信が重要な通信手段で、これに対して極力妨害を与える可能性を最低にするための周波数制限だったように感じますね。そして2級に周波数制限が削除されて14メガも21メガも使用できるようになり、同時に電信級・電話級に21メガおよび28メガが開放されたのが昭和36年の4月10日のことでした。このころすでに通信衛星も実用化の段階に入り、短波商用通信の重要度も下がったことに加えて、スプリアスも少ない市販の無線機を使う例が増えたってことでしょうか。
ということで、そろそろアマチュア的にも3アマ以上だったら全バンドが使えるようにしてもいいような気がしますが、3アマで全バンドが使えるようになったら、上級免許に挑戦する人がいなくなるかもしれません。何せ、出ることの出来ないバンドに出没してきた場合にはすぐにわかりますが、出力に関しては「いいアンテナを使っている」「場所がいい」「最上級機種の10W機」で話を濁すことが出来ますからね(^_^;)
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