リッツ2兄弟、HEMMI#64と#74
札幌のリサイクル店からヘンミの5インチポケット計算尺のNo.74を入手しました。これ、品番が上げられていなかったからか、誰も注目していなかったために350円という値段で入手しましたが、単なる中古の2634でなくて延長尺の存在でリッツかダルムスタットのポケット尺であることに気が付いたのはわたくしだけだったのでしょうか?なかなか出てくるような計算尺じゃありません。こないだシステムリッツのヘンミ64Tがオークションにでていたようですが、落札価格が1万円でした(@_@)
届いた計算尺は刻印がTLでしたから昭和44年の12月製でした。うちの計算尺は昭和38年前後のものが多かったので比較的新しい部類に入ります。この計算尺は鋼線メーカーの研究室に勤めている友人が会社に転がっていたのを確保して送ってくれた10インチ尺No.64のサブセットで、リッツシステムによる計算尺です。カーソル線が3本刻まれていて更に赤く延長尺が刻まれているのが特徴ですが、この延長尺と3本のカーソル線をどう使って良いのか未だに良くわからないので「SYSTEM RIETZ」の意味が無いんですけど、2664Sとそのサブセットである2634と比べると表にL尺があるためにデシベル計算なんかが多いわたくしには使いやすい計算尺です。またこのNo.74はNo.64同様に尺の種別がまったく入っていませんので、何となく「職人の道具」という感じがして粋な感じがします(笑)
この計算尺もNo.64同様にかなり昔から作られているようで、戦前の機械工学をやった人はリッツでなければどうも使い手が悪いという人が多かったために昭和40年代の計算尺末期まで作られていたようですが、一般的なNO.2634なんかに比べると数は少なかったでしょう。昭和30年代までのNo.74はカーソルが金属枠にガラスがはまったものでしたが、このNo.74は40年代中期の製品なのでNo.30シリーズ同様に一体のプラスチック製です。しかし、3本線の専用カーソルなのでカーソルを無くしたらまず入手出来ないでしょう。気をつけなければ。まあ、どういう人が使っていたのかはわかりませんが、40年代中期の製品故に電卓に取って換わってさほど使用しないうちにしまい込まれたようで、殆ど使われていないようでした。その証拠にプラスチックカーソルには擦り傷も殆どありません。30年代のポケット尺の皮ケースは豚皮のようでしたが、40年代のこの尺のケースは牛革のような茶色いケースです。何となく電工ペンチの吊りサックみたいなチープなクォリティです。とは言えやっぱり家で使う分には10インチのNo.64ですね。持ち歩いたところで「リッツの5インチポケット尺だぞ」なんて粋がってもわかる人間はいませんし。でも尺の種別がまったくない技術用計算尺でさっと計算をこなすっていうのが格好良いと思うのはわたくしだけ?(^_^;) まあ、D尺C尺CI尺の種別の刻印があろうがなかろうが、電卓と違って使い方のわからない人にはいきなり2×4の計算も出来ないんでしょうが。それがいまだに無線従事者国家試験で電卓は持ち込めないが計算尺は物によっては持ち込み可である理由でしょうか?さあ、12月期1アマ受験者の皆様、まだ時間がありますから計算尺をマスターして有効に試験時間を使いましょう(笑)
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Comments
やっぱり1に主カーソルを合わせると右の補助カーソルはCマークの1.128に一致しますねぇ。とするとやっぱり左の補助カーソルはHPとkWの換算に使うのかな?やっぱり機械屋じゃなくて電気オタのわたくしには縁がありませんね(^_^;)
Posted by: じぇいかん | October 15, 2005 06:27 PM
円の面積は普通は"C"マーク:1.128を基線に合わせてC尺に直径を取るとA尺に面積が出てきますし、換算は一般的にC尺D尺で比例計算すれば一目同然ですし、やっぱりRIETZの説明書を見ないとわかりませんね(^_^;) 感触的にはノギスのように目盛があっているところで最終桁の値を読みとるんじゃないかと思ったのですが、それならなぜ左右に補助線があるのかと言われるとどうも…。
Posted by: じぇいかん | October 13, 2005 08:03 PM
カーソルの補助線は円の面積を計算したり、馬力換算の時に使う、と聞いたことはあります。が、手元には補助線つきカーソルの計算尺がないので検証できないですX-)
Posted by: 秋山 | October 13, 2005 06:40 PM