HEMMI No.250
ヘンミの両面計算尺のスタンダードであるNo.250を入手しました。皮シース(鞘)付きですが、最近どうも250のみが何本もオークションに出回ったからか、中古の2664Sよりも安い値段で競争相手が全くなくあっさりゲットできました。表は近代的な√10切断系で裏は伝統的なA,B尺配置ということで、一般用の新しい片面尺をひっくり返せば古いタイプの片面尺とでも言うとよくわかるでしょうか。LL尺や特殊な関数の配置がありませんので妙にあっさりしていますが、No.266なんか尺が込み入りすぎてどこの目盛を見ているのかわからなくなることもあり、その点は日常で使用するならこちらのほうが圧倒的に使いやすい感じです。No.266が特殊な関数電卓だとすると、No.250は一般的な電卓とでもいうようなもののようです。まあ普段使うのにこんな両面計算尺を持ち出さなくても良いような気もしますが、どうやら計算尺検定でも1級は片面計算尺ではなくて両面計算尺が必須だったとか。40年前の日商計算尺検定の問題がたまたま入手できたのですが、まだそこまでこなす段階ではなくじっくり内容を検討していませんので、なぜ両面計算尺が必須だったのか理解していません。
(^_^;) 計算尺検定1級取得のためだけに需要があったわけではないのでしょうが、両面計算尺の中では世の中に出回っている数が一番多いみたいで、珍しい物ではなく中古で出回っている数も多いので、さほど人気のある計算尺ではありませんが、両面計算尺の入門用として1個は押さえておいたほうがいいような気がします。といいつつ、当方は実用に供するばかりでコレクションする気はさらさらなく、計算尺のスタンダードアイテムNo.2664Sは未だに持っていませんしNo.250も今回の入手が初めてです。無線工学は電界強度や電界強度のデシベルの計算が多いので、L尺が表にあったほうが都合が良く、L尺が滑尺裏面配置のNo.2664は使いにくく、No.2662のほうがいいのですが、2662を持っていないので同一尺配置のリコーNo.116Dを使っています。その点ではL尺が表にあるNo.250は合格ですし、特殊な関数が無いので無線従事者国家試験でもOKでしょう。計算尺を使わずに鑑賞してその精密度を楽しむという妙な趣味の人にはNo.250は不満足でしょうけど(笑)
更にリコーNo.116Dは滑尺を裏返せばA尺B尺を持つ計算尺に早変わりします。片面計算尺ながら機能はNO.250と同じということで、どっちが好きかといわれれば、片面計算尺ながらリコーNo.116Dのほうですね。但し尺の目盛が込み入りすぎて多少見にくいのが欠点ですが(^_^;)
入手したNo.250の刻印はTCでしたから製造は昭和44年の3月のようです。アポロ11号の月面着陸直前、大学紛争末期で大学は荒れ、国会は日米安保10年延長に向かって突き進み、大阪万博に向かって国内では建設ラッシュを迎えるというような時代に作られた、ほぼ計算尺末期に差し掛かる時期の製品だけにさほど酷使されたような計算尺ではなく、学校で使ったきりそのまましまい込まれたというような状態でした。皮のシース付きでしたが、これ、10インチ両面計算尺は全部共用らしく幅のわずかに広いNo.266もしっかり収まります。10インチの両面計算尺も紙箱から皮のシースに収まると戦闘用の武器に変わるような気がするのは「白鞘の日本刀と軍刀拵に収まった日本刀の違い」みたいなものでしょうか?(^_^;)
そういえば、「計算尺で無線従事者試験を突破する事」のエバンジェリストとして、実際に1アマ試験を受けようとする方にNo.45K中学生用計算尺を1本提供いたしました。これで半年も経たないうちに手元に来た45K2本は全て人手に渡ったことになりますが、わたくしはコレクターでも何でもないので、必要とする人の手に渡って実際に使われることが最善のことだと思っているからです。かつてNo.266を惜しげもなく譲ってくださった厚木在住のJA1コールのOMさんのように。といってもわざわざNo.45のシリーズを市場で買い集めて1アマ受験者にタダで配るほど酔狂な茶人じゃありませんので、1アマ受験者で計算尺を試験で使ってみたい人は自力でお探し下さい(笑)前から書いているように1アマ程度の計算は8インチの中学生用で十分ですし、かえって複雑な関数がある両面尺は試験官によって使用できないと判定される可能性があります。これはどの尺がよくてどの尺が悪いという明確なガイドラインがないようだからですが、言えることはNo.266を試験場に持ち込んだら確実に使用できないということでしょうか(^_^;) それに試験を受けるのに10インチの両面計算尺は邪魔です。筆入れサイズの8インチ中学生用計算尺が机の上に転がしておくにも最適というわけです。
HEMMI No.250の表面拡大画像はこちら
HEMMI No.250の裏面拡大画像はこちら
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