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October 12, 2005

電離層にはなぜA〜C層が無いのか?

 電離層はその高さによってD層、E層、F層におおまかに別れることは4アマ養成講習の電波の伝わり方という項目でも教える事柄なので、その時間に居眠りでもしていなければアマチュア無線の従事者免許持ちならたとえ4級でも当然知っていなければいけないことです。さらに上級試験に挑戦するともなると、臨界周波数や最適使用周波数の計算や正割の法則などの計算もマスターしていなければいけないし、知っていなければ恥ずかしい事柄なんですが、意外に「それではなぜ電離層にはA〜C層が無いのか?」といわれると答えに窮する人が多いのではないでしょうか?わたくしもマックスウェルによる電波の存在の予言からヘルツの実験によって電波の存在が実証され、マルコーニによって実用化されていく歴史の課程に関してはいろいろな本を読んでいて知識としてはあるのですが、A〜C層がなぜ存在しないのかに触れられた本がまったくなく、もしかしたら、以前は周波数別にそれを反射する電離層が細かく別れていると仮説が立てられていて、その後の研究でA〜C層の存在が否定されて現在のようにD層E層F層の3つが残ったのだと思ってました。マルコーニによる電波の実用化以降何年かは商用通信といえば長波や超長波の大電力無線局がメインストリームで、短波は長距離が飛ばないものとされ、そのころから盛んになってきた私的な無線実験局(アマチュア無線)は混信の可能性から国際通信会議で長波・超長波から追い出されて短波帯に封じ込められました。ところが熱心な私的無線実験局によって、飛ばないとされた短波帯の電波が大陸を超えて伝搬することが証明され、短波帯の商業利用が長波帯通信に変わって加速してゆきましたが、その短波帯の電波がなぜ大陸間を超えて伝搬するかを電離層というものの存在で証明し、その基本構造を解明したのがイギリスの物理学者であるアップルトンなのです。アップルトンは近代物理学の父であるラザフォードの弟子で、のちに電離層の基本構造を証明したことで1948年にノーベル物理学賞を受賞しますが、そのアップルトンが最初にその存在を証明した電離層を「E層」と名付けたかに関して、同じ物理学者のデリンジャー(デリンジャー現象の発見者)に宛てた手紙の中で、電離層の存在を実験で確かめ、数式をいろいろ書いている中で「E=」という電界強度を表す数式をたくさん使ったために、最初の電離層にE層と名付けたと書き送っております。そのために最初にE層があって、以後それより上層に見つかった電離層をF層、下に見つかった電離層をD層と呼ぶようになってのがごく自然な成り行きで、そのためにA〜C層は最初から無かったというわけなんですね(笑)さあ、経験何十年という物知りのOMさんに「なぜ電離層A〜C層が存在しないのか?」の素朴な疑問を投げかけてみましょう。しっかり答えてくれれば信頼感も高まるというわけですが、いい加減な答えが返ってきたり、はぐらかすようなOMさんはいけませんねぇ(^_^;) 知らない事は正直に知らないと言い、即答できなくても後でしっかり調べて教えてくれるような態度の人のほうがよっぽどアマチュア無線界の指導者たるOMさんと言えるでしょう。まわりにこういうOMさんが残念ながらいません(T_T)

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