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December 02, 2005

HEMMI No.2664S-S

 先週、また畑違いな試験を受験してきましたが、10月から11月にかけてかなりの忙しさにかまけて受験準備が遅れ、今回はテキスト抜きの問題集だけさらっと流しての受験でしたから結果はけっこう悲惨なものかも知れません。とくに基礎的な電子工学の問題はいままでの蓄積で頭に入っていることを前提にまったくやりませんでしたから、けっこうRLC回路のインピーダンス計算でさえ、なかなか答えが出てこなかったりして、電気関係の筆記試験は1年半ぶりということで、頭が半分ボケかかってました。また普段から計算尺で連続計算ばかりしていると、いざ計算機も計算尺も持ち込めない試験(こっちのほうが多いでしょうが)になると筆算能力が落ちているのがよくわかります。普段はあまり計算尺に頼らずに暗算もしくは筆算能力を高めないといけませんな(^_^;)
 さて、なぜかいままで入手していなかったHEMMIの偉大なるスタンダードモデルNo.2664Sに続いて、今週入手したのはHEMMIのNo.2664S-Sという10インチ片面計算尺です。どうやら2664SにDI尺が加わったことによるSPECIALという意味合いらしく、古いものでは裏面にモデルナンバーNo.2664S-SPECIALと書かれたものもあるようで。後にはDI尺が加わったモデルは255にしても259にしても「D」を加えるのがルールになったようですが、このモデルはそれ以前から存在するのでそのルールには合致しないのでしょう。2664Sは母体となった2664から始まって兄弟尺がこの2664S-SのほかにNO.2662、NO.651があります。NO.2662はNO.2664S-SのDI尺の他にL尺が表に出てきて10尺、No.651はさらに表面にB尺が加わって11尺になるも、2664Sの幅では納まりきらず、わずかに幅広の計算尺です。どの尺も若干の尺配置に差はあっても操作方法に関しては殆ど同じですが、No.651は見たことないなぁ。しかし、ちまちまと尺を1尺ずつ増やすだけの違いでよくもまあ4種類のモデルも発売したもんですねぇ(^_^;) 数としては圧倒的にNo.2664Sが多くて他のモデルは少ないようです。普通の片面計算尺の用途では、1尺2尺増えたことによる他モデルの存在意義はさほど感じられなかったということでしょう。なんか、後の世の計算尺コレクターを喜ばせる戦略でしかなかったような気がしますが(笑)実際にDI尺がなければ困る人って言うのはどういう用途に計算尺を使う人なんでしょうか?電子工学系でデシベルと真数の変換が多いようなわたくしみたいな用途にはNo.2662のように表にL尺があったほうが便利っていう人はいるとは思うんですが…。
 入手先は以前のNo.257と同じ所からでした。見かけは日に焼けたのか煙草のヤニの影響なのかまんべんなく黄色のコーティングを被っているようでしたが、ピケットのアイセービングていうわけじゃないんですから、意図的に黄色くして「目に優しくした」わけではありません(笑)刻印はSAで、昭和43年1月製ということになりますか。例によってバラバラに分解し、カーソルグラスはレンズクリーニング液で磨き、本体は酸化珪素粒子入りサビ取りペーストで磨きますが、ここまで黄色くなると一皮剥いてもまだ黄色っぽいような。まあ、程々にしてやめておきますが、未使用の2664Sと比べるとやはり黄ばみが目立ちます。モデルにより、また同じモデルでも生産時期によりセルロイドが磨かずとも真っ白なものもありますし、黄ばみが目立つものもありますが、どういう理由による差なんでしょう。しかし、黄ばんでる計算尺でしたが歯ブラシで溝を掃除して組み立てると殆ど狂いも来ていませんし、滑尺も蝋引きすることなくスムースに動きます。この年代の計算尺の多くがそうであったように、程なく電卓が出現して、何年も使われないうちにしまい込まれてしまったのでしょう。
 ということで、No.2664Sがあれば単に-Sが付くモデルはまったく必要ないんですが、どうも安くて汚い計算尺が転がっていて、あまり数が無さそうだとサルベージしたくなってしまうのは「notコレクター」と言い訳しても通用しなくなって来ているような(^_^;) でも何せ「説明書なし付属品なしで汚い」計算尺は「未開封未使用品」を求めるコレクターに見向きもされないんで、実用品としてはそんなもので一向に構わない当方にもコレクターというわけではないのにそこそこの計算尺が集まってきました。しかし、電子工学、電気、化学の資格持ちで、それに関連する計算尺は所持していてもCIVIL ENGINEERING尺に手を出さないのは「免許状の範囲内の運用」です(笑)免許状の範囲にない計算尺に手を出したら、その瞬間から計算尺コレクターに転落かも(^_^;)
2664S-S

 この3本の違いがわかりますか? 一番下は本来なら同じHEMMIのNo.2662を登場させたいところですが、持っていないので替わりに代打としてRICOH No.116Dに出てもらいました(笑)上からNo.2664S,No.2664S-S,No.116Dです。
 この3本を比較してみると固定尺に妙に目盛が少ないNo.2664Sはいかにも寂しい感じがしますが、同じ幅に尺を10種類も詰め込んだらかえって見にくい感じがして、別な目盛を見て誤った答えを出しそうです(^_^;)
 この世の中に出回っている数からいえばNo.2664Sがこの3本の中で99%以上を占めるはずですが、実際に使うんだったらどんな道具でも「シンプル・イズ・ベスト」ってことでしょうか。日本人の悪い癖で使わない機能までたくさん詰め込んだ「七徳ナイフ」のような多機能性がもてはやされますが、操作性を犠牲にすると本末転倒であり、優秀な道具とは言えないということでしょう。だからこの幅の片面尺だとNo.2664Sが一番?でも本当のお薦めはCIF尺こそないものの、あとは殆どNo.2664Sと同じ8インチ厨房尺のNo.45KかP45のほうでしょ。何せ「安いし世の中に大量にあるし、どこかに置き忘れても惜しくもない」んですから(笑)
HEMMI No.2664S-Sの表面拡大画像はこちら
HEMMI No.2664S-Sの裏面拡大画像はこちら

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Comments

> 何せ「説明書なし付属品なしで汚い」計算尺は「未開封未使用品」を求めるコレクターに見向きもされないんで、実用品としてはそんなもので一向に構わない

 むう、同じようなスタンスなので、私とじぇいかんさんは同じような値段の同じような計算尺に同時に注目してしまうわけですね。私の場合はあんまり計算する機会がないので、もうちょっとコレクターよりのような気もしますが。

Posted by: 秋山 | December 02, 2005 11:51 AM

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