プラスチックカーソルの傷消し
RELAYやRICOHの両面計算尺はHEMMIに比べて数も少ないためにけっこう注目しているのですが、カーソルがプラスチックの両面のために酷使されたこれらの計算尺は固定尺、滑尺と擦れるところがすだれ状に傷が入り、透明度を失って磨りガラスじゃなくて磨りプラスチックになっているものを多く見かけます。これだけでもRELAYとRICOHの計算尺を嫌う理由にもなるのですが、RICOHの両面計算尺はこれではダメだと思ったのか、同一モデルでも後期には金属枠のグラスカーソル附属にマイナーチェンジされたモデルもあります。逆にHEMMIは昭和40年代に入って竹の加工コストが上がったせいか、コストダウンのためグラスのカーソルからプラスチック一体成形のものにチェンジされたモデルが多く出てきました。HEMMIのプラスチックカーソルは捜せば見つからないこともないので、新しいプラスチックのカーソルに換えればすむことなんですが、RELAYやRICOHのカーソルがデッドストックでおいそれと見つかるわけがありません。これらはあまり数のない計算尺ですからなんとか再生しようと思えば、アクリル板を買ってうまくサイズを合わせ、カーソル線を入れることになりますが、そこまでの加工技術も道具もないときは、傷を研磨して消すことを考えた方がよさそうです。
過日、大阪から入手したRELAYのNo.252ですが、カーソルグラスがもう磨りガラス状態で目盛を透かして見てもだいぶ透明度が落ちている感じで、なんとか磨き倒して実用上問題のない状態に持って行きたいと思い、方法を探ってみました。本体を磨くのに使う酸化珪素粒子入り研磨剤では粒子が大きすぎてもっと透明度が落ちそうです。金属磨きを使うのを除外して自動車用のコンパウンドを使おうかと考えましたが、値段が少々張ります。やはりプラスチックを磨くものが最適と考えて、その手のものを捜したところ、ホームセンターのアクリル板の素材コーナーに置いてあった「アクリルサンデー研磨剤」というアクリル板なんかの細かい傷を消すための磨き剤が見つかり、やはり専用のそれに勝るものはないだろうと考えて1本購入してきました。値段も税込みで428円とお得。中身はピカールなんかの金属磨きと同じ酸化珪素系研磨剤を使ったものなんですが、プラスチックの研磨用に最適の細かさになっており、決して「かえって傷を増した」ということにはならないような専用品です。これ、米軍の戦闘機のキャノピー磨きにも似たようなものがあったと思います。ネジを外してバラバラにしたプラスチックカーソル板の内側を布に付けた研磨剤で磨いていきますが、このときは傷と直角の一定方向にのみ磨きます。決して円を描いたり傷と同じ方向に布を動かしてはいけません。また電動工具なんかを使って一気に磨こうとすると表面に熱を持ってプラスチックの表面が融けてたいへんなことになりますからご注意を(^_^;) そして時々乾いた布で拭き、傷の状態を確かめます。砂粒でこすったような深い傷はさすがに消すのは困難ですが、そこそこきれいになり、実用上まったく障害はなくなりました。このプラスチックカーソルの傷の克服により、また「汚い計算尺」への興味が増したような感じです(笑)
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