新上級アマ合格者のCW訓練
今回上級試験を受験したその約9割までもが通信術免除者だったという話です。ということは2アマ所持で欧文45文字/分2分間通信術通過者の1アマ受験はともかく、大部分の人が3アマ所持による上級試験通信術免除者だったようで、CWをやるために3アマを取得して現役バリバリのCWerなら話は別ですが、まったくCWをやることもなく3アマから上級になってしまった人のことが心配です。もっとも「CWなんかやる気もないし興味もない」という人も当然いるでしょうが、周りの目としては「上級だったら最低限のCW交信は出来て当たり前」ですから、それに対して「CW出来なくても上級は上級」という開き直りの態度は、少しばかり恥ずかしいのではないかと思います。
まあ、以前からすると本末転倒なことなのですが、上級を取得したのだったら早く45文字/分の段階から60文字/分、さらには実用レベルの80文字/分あたりまでの段階を踏んで、まず打てなくとも聞いて何を言ってきているのかどうかわかるくらいに耳を慣らしてゆく「受信練習」の自己訓練を勧めます。その中にはフリーソフトのパソコン用CW練習ソフトがありますが、それを経てからは実際に飛び交っているCW波をワッチして、コールサインだけでも確実に捉えられるように訓練をしてゆけば宜しいと思います。また、電鍵を一台入手し、平行して送信練習をしてゆくだけで、受信の能力のほうも飛躍的に上昇していきますので、出来れば電鍵を1台入手することをお薦めいたしますが、法律を厳密解釈すると「免許を申請する無線設備として出すことの出来ない電波の形式を申請することは出来ない」ために、電鍵を備え付けていないとA1Aモードは申請できないはずですぞ(^_^;) もっとも「おいらは、電線を直接くっつけたり離したりしてA1A電波出すから余計なお世話」といわれりゃ反論できませんが(笑)
エレキー内蔵のリグを使用しているんでしたらやっぱり横振れの電鍵から入るほうがいいようです。というのも縦振れでキーイングをしている人で、短点長点やスペースの長さを正確にリズムを刻んできれいな信号を送ることが出来るのは相当のベテランです。自己流キーイングの人でどこまでが符合の切れ目なのかわからず、さらに短点の連続がスムースに打てずにそこだけ速度が低下し、全体的に「早くなったり遅くなったり」の符合をうち続ける人がいて、その人のコールサインを聞いたらけっこうなOMさんだったりする人がいます(笑)また、縦振りの電鍵で速度の速い符合を正確にうち続けるのは相当の訓練とリズム感が必要です。また速度的にもエレキーには絶対にかないません。初心者はエレキーを使って正確なスペースの符合を打つことが出きるようになってから縦振れ電鍵に手を出すほうが宜しいでしょう。じゃあ何で縦振れ電鍵をやる必要があるのか? はっきり言って必要ありません。自己訓練の一環としてマスターするという、そういう理由だったらエレキーに慣れて交信も出来るようになった後で縦振れ電鍵に挑戦してきれいな符合を打つスキルを得ることは意味があると思いますが。では自分がなぜHK-808という縦振れ電鍵を使っているかというと、自分が思ったことをすぐにCWにして打ち出すには縦振れのほうが合っているような気がすることと、符合の速度を自由自在に打ち分けることができるというそういう理由でしょうか?あと、自分が無線に触れた時代には縦振れとバグキーしかなかったために、無線免許を取ることが出来なかった少年時代に回帰すると、自ずから2つの選択しかありせん。今じゃ両方使ってます(笑)それにどっちみちうちの2台の真空管式HF無線機はエレキーなんぞ内蔵してませんから(自爆)でもちゃんとカツミの外付けエレキーは持ってますよ。
とりあえずCWの符合を聴き取ることが基本です。その速度が上がってゆけば送信のほうも問題なく出来るようになるとは思いますが、経験上から言って何らかの楽器の経験者のほうが確実に「受信も送信も上達が早い」ような気がします。というのも楽譜を見て楽器を演奏する、また意識しないで自然に楽器を演奏する能力を司る頭脳がCWを聞き、または送信する能力を司る頭脳に共通しているような気がするからです。また楽器演奏者は一定の速度でリズムを刻む訓練も出来ていますし、正確な符合のスペースを取ることもすぐに会得できる人が多いように思います。コールサインは古いが符号間隔バラバラで早くなったり遅くなったりの符合を平気で打ってくる人は、かなりの音痴じゃないかと思うんですが(笑)
さて、コールサインも取れるようになったし、ある程度正確な符合も打てるようになったらCWをやってみないと上達しません。その前に実際にCWで行っている交信を何度もワッチしてどういう交信をしているかを掴まないといけません。最初からうまい人なんか1人もいませんが、とにかく最初は「599 BK」だけで構いませんからとにかく応答してみましょう。初心者はよく「ラバースタンプ」とかいって、自分もよく理解していないような定形文をよく打ちたがりますし、そのため「どういう文章を用意しておけばいいか」なんて質問がよく出るようですが、自分の身にならないこんな定形文を打つ必要もありませんし、相互会話にならない無意味な定形文を相手も要求してきません。「5NN BK」と「TU」の2つだけ打てれば十分ですし、そういう交信しかしてない相手を狙って交信すれば良いのです。そのために10メートルの飛び込み台からプールに飛び込むような覚悟でまず応答する場所としては「コンテスト」が一番良いと思います。もっともコンテストナンバーの交換はしなくてはいけないので、コンテストのスコアを出すつもりがないのなら、相手のコンテストナンバーなんか聴き取る必要はなく、こちらから正確なコンテストナンバーさえ送れればよいので、まず飛び込む場所としては最適でないかと。また、相手は得点にからむ貴重な交信相手だと認識してますから、少々へたくそな符合でも真剣に聴こうとしますので、速度に関係なく正確なコールサインとレポートを送ればそれ以上は何も要求されません。あと飛び込むのが比較的に楽なのは10メガのCWだと思います。ここの移動局も殆ど「5NN BK」だけの交信ですから「局数をこなしてCW交信の度胸をつける」のには最適なバンドではないかと。ただし、珍移動地からの局だとパイルに陥りやすいので、コンテストほど相手がよく聴き取ってくれるということはありません。また、カードの交換の約束がなくとも10メガの移動局はカード交換が原則ですので、少なくとも相手からのカードのもらいっぱなしではだんだん交信相手が少なくなりますよ(笑)
とにもかくにも「符合を聴いて慣れる」事が肝心で、最低でも60文字くらいの速度でコールサインくらい聞き取れるようにならないと交信になりません。じっくりと時間をかけて徐々に聴き取り速度を30から45文字/分、それから60文字から80文字にまで上げるように、しっかりフリーソフトでモールスの聞き取り練習を開始しましょう。
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