RICOH No.1051S-1
アマチュア無線技士試験が法令改正で通信術試験が旧3級(電信級)同様に緩和され、4アマ以外の従事者免許があれば通信術免除となる初めての国家試験が10日11日に行われ、通信術が簡単なら上級試験も取れそうだと目論んだ人たちでいつもの3倍以上の受験者が集まりそうですが、ここのブログで「上級試験の計算問題は計算尺で突破しろ」と発破を掛けた影響で、1アマ試験会場に計算尺を持ち込む人が何人くらいいたでしょう?(笑)少なくともその中の1人にHEMMIの45Kを提供しているんですが、そのご本人自身、計算尺を使いこなすことを覚えるよりも既出問題の解法を覚える方が先と、計算尺を使わなかったんじゃないの?(^_^;)上級試験で計算尺を使っている人を見かけましたらたれ込み情報お願いします(笑)
このRICOH No.1051S-1計算尺は大阪から入手しました。ビニールの袋がヘンミと違って口が熱着させており、それが破られていない密封品です。-1(ダッシュワン)なんてついているのが何となく旅客機の改良番号みたいですが(笑)これは(ハイフン1)って読むのが本当だと思うんですが、旅客機の世界ではなぜハイフンがダッシュなん?ダッシュだったら「'」がほんまやないの?
リコーの計算尺はその全容がよくわかりません。系統立ててコレクションして研究している人も少なく、どのモデルが何年頃に出たのかということもわからないので、いままで目にしたリレーとリコーの計算尺の比較で推定するしかありません。今回入手したリコーのNo.1051系統は計算尺末期まで改良されながら作り続けられたようです。大まかには末尾にSのつくNo.1051Sが√10切断系、VのつくNo.1051Vがπ切断系という2系統が作られたようで、No.1051Sが「高級(両面)型計算尺」、No.1051Vが「工高生用計算尺」という区別らしいです。同一モデルなのに√10とπ切断の選択肢があるというのはHEMMIにはない(正確には同じ工業高校生尺の254WNあたりにあるらしい)配慮です。また計算尺末期まで作られただけあって、まずリレー以来のプラスチックカーソルが同一モデルナンバーでありながら途中で金属枠のカーソルに変わりました。使っているうちに傷だらけになるリコーの両面計算尺のカーソルグラスはこれだけでかなりのマイナスポイントだったんですが、やはりカーソルを改良して欲しいという要望が大きかったのでしょう。金属枠がはまっているタイプなんですが、成形プラスチックの端の固定尺と擦れる部分に突起を設け、カーソルを動かしても固定尺、滑尺とカーソルグラスが直接擦れ合わないようになっているのです。頭いいなあ(^_^;)カーソル枠には中期の大振りなタイプと末期のヘンミそっくりな小振りの四角いものがあるようです。今回の計算尺には四角い小振りなものがついていました。外箱は初期はクリームと臙脂色の2トーンカラーの紙箱。のちにHEMMIそっくりの青いキャップの付いたブロー成形のポリエチレンのケースに変わり、今回入手したものはそのポリエチレンケース入りのものです。刻印は「WS-3L」で昭和49年製でしょうか?リコー計算尺としても最末期に近い製品だと思われます。基本的には表がLL1,L,DF,〔CF,CIF,CI,C〕D,LL3,LL2で裏がK,A,〔B,S,T1,T2,C〕D,DIの19尺でマイナスのLLがない所を勘案すると、HEMMIのNo.P-253を意識して作られたような感じです。リコーの両面計算尺の中では比較的にルート10切断ずらしのNo.1051Sがよく出てきますので、P-253もしくはNo.264同様に工業高校生あたりの計算尺検定受験者を対象にして製造されたのかもしれませんな。これがNo.1053になりますと-LL1,-LL2,-LL3尺まで備えた全部で尺数24個のHEMMIでいうとNO.259D相当の機械技術用計算尺に昇格するようですが、No.1051Sに輪をかけて市場からは見つかりません。ところがこのNo.1053のずらし尺はルート10切断系なんですが、これにもπ切断系のものがあったのでしょうか?個体数が少ないだけに比較検討するサンプル数がなく、謎が深まります。
さて、ただのNo.1051SとNo.1051S-1の違いはどこにあるのかというと、カーソルの違いとケースの違い以外には尺の種類も増減はありませんし、あとどこが違うのかと殆ど間違い探し状態でよく見ると、CIF尺が-1になって緑色に変わったというこれくらいしかわかりませんでした。CIF尺が緑色?どこかで見たようなと思ったらHEMMIのスタンダードであるNo.2664Sの配色を真似したんかい
(^_^;) あと無理矢理に近い形で見つけた間違い探しは裏の滑尺がNo.1051Sが〔B,S,T1,T2,C〕だったものがNo.1051S-1になって〔B,SI,TI1,TI2,C〕に変わってました。どうせどっちも逆目盛も振ってあるのだから、正に「どうでもいいですよ」(C)だいたひかる の世界です(^_^;) しかし、リレーからリコーまでの両面計算尺は結局ガラスカーソルのものが作られなかったんですね。片面尺はガラスなのに、プラスチックのカーソルは果たして今後何年保存に耐えるのか、それが心配です。
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Comments
はじめまして matuedaと申します。
いつも貴重な記事を拝見して楽しみにしております。
私は、平成八年の法改正により1級アマの和文がなくなったことで挑戦し合格をしたものです。
今回の法改正により3アマ合格で1級、2級の通信術が免除になり3アマ受験者が急増したことを知りました。上級試験はやはりCWがネックとなり私も科目試験よりも苦心した覚えがあります。
この法改正のどのような目的で施行されたものでしょうか?
電話→電信→2級→1級と一つずつとっていったものとしては釈然としません。駄文お許しください。
Posted by: m_matueda | December 11, 2005 09:08 AM