計算尺の貼箱工作
別に計算尺を蒐集するのが目的ではなく、とりあえず自分の両分とする分野に使用して見たいという観点から計算尺を集めてきましたので、中には箱が欠品というものまで何本かあります。そのまま埃だらけにするのも忍びないので、ヘンミの計算尺と同じ手法で「貼箱」を作ってみることにしました。最近こそお菓子の箱にしても組み立て式の箱ばかりが使用されていますが、昔はお菓子や贈答品の箱というとこの貼箱という手法が使われた「たたむことの出来ない紙箱」ばかりだったんですが、今や絶滅寸前のテクノロジーというものかもしれません。ボール紙の上をきれいな紙で覆って組み立てられた箱のことです。
計算尺の箱は「内筒・外筒・蓋」の大まかに3つのパーツで構成されており、この3点を合体させて計算尺の箱が出来上がってます。そのためにまず内筒を作りますが、きちんとした寸法を出すためには「木型」が必要で、この木型を用意するのが面倒くさいのですが、木型を使わないとしまりのない貼箱しか出来ませんので、この木型を省略するわけにはいきません。たまたま100円ショップに出掛けると工作用の定形寸の木材が売られており、これが使えそうだと購入して帰ると、何とヘンミの両面尺用の箱の内面にきついながらもピッタリおさまりました。こうなったらあとはやるしかありません。ところが年末は人並みに忙しく、年を越してお正月の工作大会になりました。こちらは正月といえども酒を飲むわけではないので、NYPが終わると案外ヒマなんです(笑)
用意します材料はクラフト紙と厚めのボール紙に伝統的なチューブ入りの澱粉糊、それに木型と輪ゴムに貼箱の外側に使う包装紙ですが、30年代のヘンミ計算尺貼箱本来の皮もどきみたいな紙が手に入らないので、クリスマスギフト用の包装紙を用意しました。ボール紙もティッシュペーパーの外箱みたいなヘナヘナなものはダメで、その3枚分以上の厚さが必要です。まず内筒を作るために木型にクラフト紙をきつく巻いて端を糊付けします。底を折り畳んできっちり糊付けし、木型に巻かれた筒状のクラフト紙の表裏と側面、底に正確に切り出したボール紙を糊でしっかり貼り付け、輪ゴムで何カ所かを巻いて固定して糊が乾くまでしばらくおきます。さらにこのボール紙で装甲された内筒の外側に糊をたっぷり付けて更にクラフト紙を外側に張り付け、輪ゴムで固定してしばらくおいておき、一旦木型を抜いてボール紙からはみ出したクラフト紙を鋏で切り取れば内筒が完成します。再度木型をはめ込むと今度は内筒自体が木型の役目をするので、今度は内筒を木型にして蓋の部分を同じようにクラフト紙とクラフト紙の間にボール紙の芯を挟み込むような形で糊付けして形を作ります。そして蓋が出来たら今度はまったく同じ要領で外筒を作り、最後にきれいな包装紙で外側を覆って内筒の部分にも蓋がはまる部分に包装紙をあしらって内筒と外筒を合体。木型を使っているのできっちりとはまりこむのは言うまでもありません。という要領で「計算尺の貼箱」の工作が完成です。材料費は木型に使った木材の購入費と糊代だけです。クラフト紙は要らない定形外封筒を、ボール紙はもらった笹カマボコが入っていた箱をバラバラにし、包装紙はクリスマスギフトの包み紙。貼箱の外側に貼る紙は糊の水分で皺になることが無いような紙なんですが、単なる包装紙は糊の水分でピンと貼ったつもりでも皺が多少寄ってしまうのは致し方ないでしょう。ヘンミの両面尺は間違いなくピッタリ納まるのですが、リコーの両面尺はネジの出っ張りが引っかかってスムースに出し入れ出来るというほどではありません。あと木型の厚みを2ミリ大きく取れば良かったんですが、なにせ既製品を使いましたからね(笑)内筒・外筒・蓋のボール紙部分を切り出す「型」を起こせば、同じものを何個も苦労せず作ることが可能なんでしょうが、こんなもの作っても欲しがる酔狂な人はいないでしょうしねぇ、まともに抜き型起こして量産するつもりはありません(^_^;) とりあえずあとヘンミの片面尺用貼箱の木型も考えておこうっと。ちなみに貼箱表面紙の見本を検索すると、しっかり30年代ヘンミの緑と40年代のベージュっぽい表面に似たようなものがありました。どこか数枚単位で小売りしているところはないかなぁ?
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