思いもしないトラブルで1日半使えなかったココログがやっと復活したようなので、さっそく書き込み。しかし昨日から30時間も書き込み出来なかったとは、パソコン通信時代から10何年もnifty 使っているのにもう少ししっかりせんかい!<nifty ということで久しぶりに計算尺に関して書くことになりますが、それというのもここ3週間ばかりオクでの計算尺出品が低調で、これはと思うものが無かったからでした。コンサイスの電子工学用なんていう現コンサイスのカタログにないものなんかは出ましたが、そこそこの値段がついて他の人に持って行かれました。しかし、写真不鮮明で形式が明示されていない出品に「品番教えてください」ってQを出すのは、いい加減止めましょうよ。入札する気もないのにその手の質問を上げて、結局値段を釣り上げ、挙げ句の果てに海外コレクターに目をつけられて代理入札業者の商売のネタにされてしまうという構図は、「形式不明尺の品番を推理して入札する」一種のギャンブルの楽しさをスポイルしてしまいますがな(^_^;) いままでこの手のバクチで何本か意図するものをサルベージしてますからね(笑)それに少し計算尺を囓った人間だったらいくら写真が不鮮明でも尺数と尺配置で形式まで絞り込むことができるでしょうし、出来ないんだったら修行が足り〜〜〜ん。「万が一届いたものが自分の予想するものと違ったら、それは勉強料だったと思って諦めるべし」なんてまるで計算尺コレクターみたいな事を書いていますが、しかしあのどう見ても明らかに259Dの写真見て「品番は何ですか?」はないだろ?(−_−#)
さて、今回入手しました計算尺はRICOHのNo.105という10インチ片面尺です。入手先は今回も大阪からでした。関西にリコーの計算尺が多い理由は地理的なこともさることながら、関西は商売にシビアだからヘンミより仕切が安いリコーの扱いが多かったからでしょうか?RELAY & RICOHの100番台というとNo.100は10インチの両面尺ですが、No.101からの形式は10インチの片面計算尺です。No.111から116までのシリーズとは明らかに別物で、どういう区別の仕方をしていたのかわかりませんが101シリーズにはHEMMIでいうところのNo.40RKとおなじ10インチの学生用計算尺(No.102,103)が含まれます。さらにNo.107は滑尺裏にLL尺を備えるレアな片面電気尺です。どっちにしても101番台は殆ど見かけません。このNo.105という計算尺を入手した理由は、実は写真を見てHEMMIのNo.64と同一尺配置に見えたからでした。No.64というと、友人が会社の研究室のコンピュータ入れ換えのときに隙間から発見して送ってくれた大事な計算尺です。元の所有者がTさんという数々の酒の上での武勇伝を持つ昭和一桁生まれの伝説的技術者で、計算尺所有者の前歴がたどれる数少ない計算尺の一つです。そんなNo.64でしたから、古いタイプのリッツ尺ながらなんとなく愛着のある計算尺ですし、ずらし尺がなくとも別にこっちに慣れてしまって普段使う分にも不便はありませんでした。しかし、こちらのNo.105はNo.64のように補助カーソル線がありませんが、尺配置からして「システムリッツ」の計算尺と見ていいのでしょうか?どんな対数尺を以ってシステムリッツと言うのかよく理解してないので、自信がありません(^_^;) このベージュに臙脂色の蓋の付いた、真に安っぽい貼箱に入ったNo.105の刻印はM.K-2ですからおそらく昭和39年の2月製です。Kの刻印ですから以前推定したように佐賀県は鹿島市にあったリコー計器の工場もしくは下請けで作られたものではないでしょうか?この計算尺は説明書が欠品でしたがリコー時代の計算尺にも佐賀の鹿島市の印刷所で印刷された説明書がありますので、印刷だけ佐賀市から離れた鹿島市に発注するってことは無いはずです。そのため鹿島市に何らかの事業所があって、K刻印を「鹿島製」と考えてもおかしくはないと思うのですが、確かめようがありません(^_^;) 未使用の計算尺でしたが撮影のために開封されていました。外箱が付属していて「一般技術用・No.105 \1,300」となっています。同時代のNo.64は\1,800でしたかね?それに比べるとリコーは確かに安い(笑)
No.64とNo.105を比較して無理矢理違いを捜していきますが、尺配置は表がK,A〔B,CI,C〕D,Lで裏が〔S,S&T,T〕とまったく同じ。但しNo.64は上に27cmのスケールが付いているのに対してNo.105は25cmのスケールです。さらに当方の昭38年7月製No.64の側面には13-0-13という√10を中心にした尺が付いていてサイドカーソルも付いているのにも係わらず、No.105のここの部分は単にインチのスケールになっている違いがあります。A,B尺とC,D尺の延長部分はNo.64が赤で目盛ってあるのにNo.105は単に黒なのが色合い的に寂しい限り。又、No.64がゲージマークとしてA,B尺にはπとM(1/π=0.3183)が、C,D尺にはc,ρ",π,ρ',c1、ρがあるのに、No.105のA,B尺にはπマークすらなく、C,D尺に至ってもc,π,ρ゜しかありません。これがNo.64との価格差の内訳でしょうか?(笑)
ところがしっかりHEMMIと妙な所で差別化していまして、A,B尺とC,D尺の延長部分が一目盛だけ長いのです。まさにこんな事「どうでもいいですよ」(C)だいたひかるなんですが、何とか差別化しようとする旧リレー計算尺の姿勢が読みとれて思わず笑ってしまいます(^_^;) でもまあ、歴史あるHEMMI No.64のコピーと言われても言い訳は出来ません。現に補助カーソル線付きのNo.64のカーソルはRICOHのNo.105に取り付けることが出来ます。このNo.105という計算尺はあまり見たことがないことからすると、RELAYからブランド名がRICOHに代わった昭和38年からさほど長い間作られなかった計算尺だったのでしょうか?おそらくずらし尺のない計算尺ということで、形態的には古いタイプの計算尺だったため40年代まで主力商品としては生き残れなかったのでしょう。もっとも40年代半ば過ぎには計算尺の全てが電卓の普及によって計算用具の第一線からあっけなく引きずりおろされるわけですが、何か蒸気機関車の末路にタイムスケジュール的にも良く似ていたような気がします。

上がRICOH No.105で下がHEMMIのNo.64です。
やっぱり「尺の種類などわかって当然」というがごときNo.64の割り切り方
が素晴らしい(笑)
しかし後継モデルのNo.64Tになり、なぜ尺の種類の刻印を施したのでしょうか?
RICOH No.105の表面拡大画像はこちら
RICOH No.105の裏面拡大画像はこちら
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