FUJI No.88 学生用計算尺
最近、あまりにもいろんな計算尺がオクに上がったためか、みんな息切れしてしまったのでしょうか?それにしてもFUJIの計算尺の人気は今ひとつですね。
今回落札した計算尺はFUJIの学生用8インチ尺で、どうしても欲しいというものでも無かったのですが、他人に100円でさらわれるのもったいないので、「HEMMI P45Dとの比較」という大義名分で入札したら510円で落っこちたというシロモノです。送料込みでも650円でした。もちろん日常使うにはもっと便利な計算尺を所有しているのですが、無線従事者国家試験に使う程度であれば、十分な機能を持ち合わせている計算尺です。それにしてもHEMMIのNo.45系統は、自分の意志に係わらず何か他の計算尺を落札したらおまけで付いてきたというような感じで増えて行くものですから、結局は上級アマ試験を受けるという人に餞別代わりに上げてしまう事になるのですが、いくら650円で入手とはいえ、FUJIの8インチ尺は他人に上げられないなぁ(^_^;) それほどHEMMIのプラ尺を含めたNo.45シリーズに比べると圧倒的に数が少ない計算尺です。でもいくら少ないとはいえFUJIの計算尺ではこの8インチ学生用計算尺の80シリーズはいちばん数が出回っているようですが。
FUJIの計算尺としては比較的初期の40年代初めのものらしく、後のプラ製計算尺のような構造と違ってHEMMIの竹製片面計算尺をそのままプラスチックに置き換えたような構造になっており、後の時代の裏プラスチックブリッジ繋ぎやプラ板の接着のものよりも加工部分が多く、手間の掛かる構造となってます。さらに後のFUJI計算尺は滑尺を緑で着色するものが多かったのですが、この計算尺は白一色で技研計算尺時代の物がブランド名だけFUJIに変わったと考えれば良いでしょう。
この珍しいFUJIの学生用計算尺は東北は仙台から出てきた物です。仙台は昔から八木宇田アンテナの八木教授の東北帝大などを初めとする「学徒の町」ですから、もっといろんな計算尺が出てきてもよさそうな物ですが、オク上では以前からさほど珍しい物が出てきたことが無さそうです。もっとも前回のRICOHといい、今回のFUJIといい、東北にしては珍しく仙台にはいろいろなメーカーの計算尺が集まってはきているようですので、もしかしたらどこか仙台のリサイクルショップにはとんでもないシロモノが人知れず眠っているかもしれません。外箱も説明書も揃っていた未使用品でしたが内箱が欠品のためおかしいと思ったら、外箱の厚みがHEMMIのP45の半分以下しかありません。そのためコストダウンのためケースの付属を省くことでヘンミよりさらに低価格にすることに商品価値を見いだした最廉価版の学生用計算尺だったのでしょう。それで定価もたったの380円です。表面にはK尺を含んだ7尺ですが、裏の目安線は廉価版のためか片側にあるだけです。まあ、あるだけでも滑尺をひっくり返して使う必要がないだけHEMMI末期のP45Dよりはマシですが。構造的に非常に薄く出来ていて、竹製の45KやプラのP45と比べても2/3程の厚みしかありません。裏に換算表が貼ってありまして、どこの計算尺の換算表も英語表記なんですが、このFUJI No.88はすべて漢字とカタカナ表記であるのがいかにも中坊尺と言わんが如くです(笑)また今回の入手のFUJI No.88は割と初期のおそらく40年代初頭の物らしく、品番は同じNo.88でも後期のものの構造は初期の物と激しく異なり、後のものはコストダウンでHEMMI P45D同様の構造の、裏側には目安線も換算表も無いものになったようです。KIM氏のFUJI No.88がこのP45DライクなNo.88でした。当然初期の物と後期の物は構造上厚みが異なっていると思われます。
FUJIのNo.88とHEMMIのNo.P45Dとの比較です。FUJIの方が薄くて少々
幅広ですが、どちらも山梨生まれという噂が…
FUJI No.88の表面拡大画像はこちら
FUJI No.88の裏面拡大画像はこちら
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