HEMMI No.45 学生用計算尺
今回の学生用 8インチ計算尺は自分の意志に係わらず欲しい計算尺を落札したらおまけに付いてきたもので、何か好きになった女性と結婚したら、知らないうちに有無を言わせずに子供が付いてきたといえば語弊がありますが、そんなような感じの入手でした。こういうケースは過去にも何回かあり、大抵は中学で使ったものと高校で使ったものの2本の計算尺のまとめてやっかい払いというようなことが多く、一緒にもらった中学生用計算尺と高校用計算尺の生産タイムラグがだいたい2年というケースが判で押したように一致しました。そのどのケースでも本命でないおまけの計算尺はHEMMIのNO.45K以降の物が多かったのですが、今回の計算尺はリサイクル店のまとめて出品の一部なので、同一人物の一括処分品ではありません。
45Kが2664SからほぼCIF尺を除いただけの尺配置で、4インチのNo.2634を使うのだったら安いNo.45Kを無線従事者国家試験で使うように毎回ごと書いてきましたが、Kの付かないタダのNo.45は初めてです。なるほどこのNo.45を入手して初めて気が付きましたが、No.45に三乗のK尺が加わったから形式名にKをつけてNo.45Kになったようです。No.45は戦後の義務教育が六三制になってからの登場のようですが、それ以前にも√10切断系の8インチ学生尺があったかどうかは把握していません。K尺が加わってNo.45Kに変わったのは昭和37年のことのようです。
上の固定尺にDF尺しかないものですからちょっと間延びして見えますが、堂々と真ん中にトレードマークと形式名が入っているのがかっこうよく、まるで戦前の計算尺のシンプルさを感じさせる計算尺です。これにK尺が加わったNo.45Kになると固定尺上に形式を入れるスペースが無くなり、滑尺右にマークと形式が入るようになります。また、この45はカーソルが金属枠のガラスカーソルですが、45Kからはプラスチックの成型品になり、擦り傷に無防備な物にコストダウンされました。もっとも当時の中坊尺のカーソルなんて交換してもほんの安いものでしたが、猫がひっかいたように傷だらけになったプラカーソルの中坊尺は、それはそれで学用品としての使命を全うしたとして、計算尺にとっては本望だったと思いますが、概して中坊尺は授業で何回か使っただけで放り出された美品の類の物が多いようです。高校に入ってからは又、別な計算尺を買わされるんでしょうしね。
今回入手したHEMMIのNo.45は45Kに切り替わる2年ほど前の製造記号であるKFですから昭和35年6月の製品です。ケースこそ時代を感じさせましたが授業で使われただけでしまい込まれた殆どダメージのないシロモノです。箱がそれなりに傷んでいるのは兄弟でどんどんお下がりとして使われたからでしょうか?さすがに昭和30年代は一時期にしか使わない中坊尺を兄弟それぞれに新しい物を買い与えるほど裕福な国ではありませんでした(笑)
このNo.45は無線系国家試験に使うことはお薦めしません。というのも1〜2の間の目盛最小単位が0.2となっており、それに対してNo.45KはK尺が増えただけでなく、1〜2の間の目盛最小単位が0.1と細密になっています。言うなれば5インチのポケット尺と目盛の刻み方が同じ8インチの計算尺ということになります。計算尺の基本操作を学ぶのならこれでまったく構わないのですが、試験で数値計算をするのであれば迷わずNo.45Kの方を使いましょう。No.45Kは名機No.2664SからCIF尺を除いたNo.2634とほぼ同じ尺種類を持っており、さらにNo.2634よりも長くて目盛が細密な分、精度が上なのですから。おなじみの計算尺ですので、あえて写真は出しません(笑)
HEMMI No.45の表面拡大画像はこちら
HEMMI No.45の裏面拡大画像はこちら
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