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May 24, 2006

π切断のRICOH No.1053

 この計算尺は他のリコー計算尺の多くがそうであったように関西方面から入手した計算尺です。リコーの計算尺の分布はどうも西高東低といいますか、関東以北には少なく関西以西に多いような感触ですが、うちのリコー計算尺も2〜3の例外を除いて大阪近辺もしくは九州から入手しています。やはりヘンミよりちょっと安くて尺数が1本くらい多いという、言うなればヘンミのNo.2664Sに対するリコーのNo.116に代表されるお買い得感が、実利を取る関西の商売に合致したのでしょうか。
 学校教育用の計算尺はヘンミがやはりかなりのシェアを得ていましたが、こちらのほうも関西以西ではかなりリコーの計算尺が食い込んでいた感じです。高校で使用される検定用にも使える計算尺は、ヘンミのNo.254W系を使う学校とNo.P253を使うところが多かったようですが、これに対してリコーではNo.1051Sがよく使用されたようで、リコーの両面計算尺としてはNo.1051系が数が一番残っているような感じですが、ヘンミの高校生用計算尺の分布が全国区なのにも係わらず、リコーの高校生用計算尺の分布は関西以西が殆どだったような。ヘンミの学生計算尺が全国区である理由は総合教材商社の内田洋行の取扱によるところが大きかったのでしょうか?
 さて、今回入手のRICOH計算尺が、以前に和歌山から入手したNo.1053と何処が違うのかというと、RICOHの計算尺としては珍しくもDF尺CF尺がπ切断ずらし系の機械技術用計算尺だった事です。そのために迷わず入手しました。高校生用計算尺No.1051にも√10切断系ではなくてπ切断系というNo.1051Vという末尾にVの付くことで区別しているものがありますが、このNo.1053のπ切断に実際にお目に掛かったのは初めてです。No.1053ばかり2本も必要ないのですが、電気系の計算にはπの絡む計算式が多く、やはり使うのだったらπ切断系計算尺のほうが当方は使いやすく、以前のNo.1053はヘンミでいうとNo.259D相当のフルLogLog尺なのに、π切断系でないのが惜しいなあと思っていたところに首尾良く誰のアンテナにも引っかからずに出てきたものですから、これからは日常的に使わせて戴きます。青い蓋の付いたプローのポリエチレンケース入りですが、横幅の大きい中期型カーソル付きで残念ながら滑尺上のCIFはグリーンになる以前のブラックCIFでした。√10切断のNo.1053のほうは中期型カーソル付きながらグリーンCIFだったんですがね。ただしπ切断のNo.1053の後期型に該当するような小型カーソル・グリーンCIFのものに遭遇したことがないので、もしかしたらNo.151の後期型同様にグリーンCIFのものが無いのかも知れません。滑尺の幅がヘンミの10インチ両面尺のものより太いため、全体の身幅もヘンミより幅広になっています。
 届いたπ切断のNo.1053は、明らかに√10切断のNo.1053と別物であるのにも係わらず、形式名には何ら差が無く単に「No.1053」と刻印されています。製造刻印が非常に薄くて良く判別できないのですが、どうも「SS-2」のようで、もう一本の√10切断のNo.1053が「SS-11」なので、同じ昭和45年佐賀工場製で2月と11月の製造の違いのようですが、11月物がグリーンCIFなので、このあいだに滑尺のグリーンCIF化が始まったのでしょう。関西から出てくるリコーの両面計算尺には、滑尺上に所有者名がネーム入れされているものを見かけますが、今回のNo.1053にも所有者名が入れられていました。昭和45年頃にリコー計算尺ネーム入れキャンペーンでもあったのでしょうか?ところが、ヘンミには滑尺にネーム入れされているものは見かけません。物は違いますが、グレコのエレキギターにも昭和48年頃、トラスロッドカバーにイニシャルを入れてくれるキャンペーンがありました。ネーム入れキャンペーンが一つのブームだったのかもしれませんが、コレクション的にはマイナス要素です(笑)
 しかし、√10切断とπ切断ずらし尺では別物と言っていいのに、双方とも同じモデル名というのは納得いきませんが、もしかしたらπ切断のNo.1053は特注扱いだったのでしょうか?いままでπ切断の1053は見たことがありませんので、意外とそうなのかもしれません。また、リコーの両面計算尺はリレー時代からの一部と電気尺以外の両面計算尺は、その殆どは√10切断のものが流通しているような気がします。検定を意識すると√10切断の物でなくては使いにくいのでしょうか?
 もの自体は計算尺末期にさしかかるころの製品だけに、長年に渡って酷使されたというほどのものではありませんでしたが、手垢にまみれたまま30数年放置したという感じで、カーソルも固定尺・滑尺もバラバラにして、パソコンクリーナで磨き上げます。どうもリコーの計算尺はサビ取りペーストで一皮剥くと、ピカピカにはなりますがつや消しの表面処理が失われてしまいますので、最近は多少黄色みが残っていてもカルナバ入りのパソコンクリーナで磨くだけにしています。カーソルグラスはプラスチックの成型品ですが、アクリルサンデーで磨くほどの細かな傷はなく、レンズクリーナ液で磨き上げてそのまま組み立てました。例によってカーソル枠のメッキの質があまり良くなく、ここはアクリルサンデーで磨きましたが、ピカピカにしてもそのうち曇ってしまうのは目に見えてますが…。しかし、28日に試験を1本抱えていて、それまで勉強以外なにもしないつもりだったのに、いったい何をやっているのやら(^_^;)
10532
 同じNo.1053というモデル名なんですが…
RICOH No.1053(π切断)表面拡大画像はこちら
RICOH No.1053(π切断)裏面拡大画像はこちら

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