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June 28, 2006

2本目のHEMMI No.P253

 HEMMIのNo.P253という計算尺は、そのHEMMIらしくないデザインといい、プラスチックの薄型構造といい、おそらく技研のOEMで作られた計算尺だろうということは以前に書きました。その後いろいろなプラスチック尺を見てさらにFUJIブランドの計算尺を入手し、その構造や加工方法を見るに付け、やはり頭にPの付くシリーズは純粋なHEMMIの和光工場製ではないなという一種の確信をいまでも持っています。なぜプラスチック尺を自社製造しなかったのかの考察については、プラスチック加工ノウハウ説を以前に書きましたが、その他にもプラ尺を製造するのに当たり、どうしても必要な成形金型の類が償却資産ですから、原価償却があるにしても資産扱いしなければならず、P/L上では不利になるため、別な会社に金型の制作費をロットで割った分を製品に上乗せして納入させたほうが有利と見たという面もあったかもしれません。
 P253の製造開始は昭和36年で、昭和47年のロットまで確認されているようですが、11年あまりの製造期間にあって、尺の追加や尺配置の変更はされなかったながらも、VECTLOGの書体違いを始めとし、CIF尺がグリーンになったり、裏の三角関数の目盛単位が変更になったりするパターンモデルがいくつかあるようです。ケースにしても初期の技研そのままの薄い緑の貼箱から透明プラスチックの筆箱みたいなハードケース、さらにはプロー成形の青白ポリエチレンケースまでのパターンがあり、同じモデルながらもそれらを全部集めたらなかなか壮観でしょうけど、当方はそれほどNo.P253を好きになれないので、誰か勇気のある人にP253のコンプリートコレクションをお願いしたいと思います(^_^;) それにしても「P253が好きだ…」という人に巡り会わないのは、あまりにも機能を優先してコストダウンを計った結果、道具として魅力がないというか、計算尺として愛着が湧かない人が多いからでしょうか?
 さて、No.253は1本あるのにも係わらず、さらに同一尺度の高校生尺であるRICOHのNo.1051なんか2本もあるのに今回、又No.P253を1本入手してしまいました。それというのもここ1ヶ月ほど青白ケース入りのNo.253が矢継ぎ早に出てしまい、結果的に落札相場が下がり、前回入手したものが程度的に並以下だったために、リプレースメントとしての入手です。入手した場所は今回初となる同じ北海道は北見からでした。刻印はMBですから昭和37年2月製造分です。先に入手したP253がMF刻印でしたから4ヶ月先行して生産されたロットで、最初期型に近く、昭和37年の新学期に辛うじて間に合った商品と言うことになるでしょうか。当時の技研計算尺などの貼箱にあるようなうす緑色の貼箱に入っていますが、貼箱の擬皮紙が同心円模様のエンジンターンのような変わったデザインになっています。初回ロットの定価が1,720円ですが、これが昭和40年代も半ばを過ぎたことには4,100円にも値上がりしているんですね。定価ベースで言えば片面尺のNo.2664Sとほぼ同程度で両面計算尺を作り上げたということです。それにしてもほぼ同一尺度のNo.251が末期で6,500円ですから竹製計算尺に比べるとかなりリーズナブルな定価設定であることは確かです。しかし赤いHEMMIと「vectlog」の特徴的なデザインロゴが、なぜ途中からvectlogだけの味気ない活字体になってしまったのでしょうか?どうも昭和45年頃までは赤HEMMIにデザインvectlogロゴマークのP253で、このときすでにグリーンCIFになっているようですから、活字体vectlogとグリーンCIFが同時に変わったわけではないようです。それを考えると活字体vectlogのP253のほうが全体の数からすると少ないことになりますか。このP253も高校でよく使われた計算尺のようで、当方未確認ですがそのためわざわざ教師用として授業で使う大きな計算尺No.107というのがP253の指導用として存在したようです。古いP253のほうですが、箱はボロボロでしたが説明書も付いていましたので、1歳年上なだけなのに中学校でも工業高校でもバリバリに計算尺を使っていたという妹のダンナに進呈しましょう。でも地域差というか、同じ北海道でも2歳年下なのに中学で計算尺を授業で扱って触ったという友人もいれば、当方の住んでいる場所では同年代でも計算尺はまったく触ったこともないという人間が多いのですが、40年代末というと早晩、計算尺は消え去る運命ということがわかっていて、意図的に省略してしまったのではないかという気さえします。もしくは、学校に人数分の計算尺なんか教材としてなかったのかなぁ?なにせ炭鉱の閉山でどんどん人口が流入してきて学校が理科室や音楽室を潰してもまだ教室が足りず、校庭の一部を潰してプレハブの架設教室が建っていたようなそんな状態でしたから、実際の話、少ない備品の計算尺で計算尺の実習どころの話ではなかったのでしょう。
HEMMI No.P253の表面拡大画像はこちら
HEMMI No.P253の裏面拡大画像はこちら

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