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June 30, 2006

そろばんと電信

 最近のTVなどを見ても「脳力トレーニング」関連のクイズ番組が氾濫し、自分の脳年齢が実年齢よりも若いかどうかというのが大多数の関心事というのは、少々滑稽な気がしますが、これは何より「年を取ってからボケる」ことに対する潜在的な恐れというのが深層心理にあってのことだと思われます。実は母親が自宅での介護生活の果てに今では介護施設に入所してケアを受けているという関係上、ボケるという恐怖は他人事ではありません。そのために何かし続けないといけないと言うことは前々から身に染みていたのですが、ボケ回避のためにはどうやら右脳をトレーニングするのが効果的ではないかと言われているようです。右脳、左脳の働きに関してはググってもらえれば山ほどヒットしますので、それを見てもらえればいいのですが、簡単にいうと左脳はもっとも人間的な学習能力というか、計算・論理・暗記などを司る思考回路なのに対して、右脳は感覚能力というか、認識・想像・直感を司っている感覚回路であるようです。もっと簡単にいうと、文字を見て声に出して読むのは左脳の働きなのに対して、楽譜の音符の羅列を目で見てピアノの鍵盤を叩いて曲を演奏するのは右脳の働きのような感じでしょうか。データ処理速度に関しては圧倒的に早いのは右脳のほうだと言われています。脳というのは左脳と右脳のバランスの良さが必要らしいのですが、右脳の方をよく使っていかないと認知症の症状によくあるような空間認識力がなくなって、自分のいる場所も解らなくなり、徘徊するようになるらしいですから、日ごろあまり使わない右脳の方を集中的に鍛える必要があるようです。
 モールス符合による通信は、どうやら低い速度での認識は左脳領域の作用によるらしく、25文字/分などのアマチュア上級現行通信術による速度からすると「長点が3つだからO」「短点と長点だからA」などと思考したり語調法による識字というのは左脳思考にほかなりません。これが一般の通信速度並のモールスになってきますと、もはや左脳の処理速度では処理しきれなくなり、モールス符号をイメージで認識して識字するという右脳領域の思考になってくるようです。現行の上級アマの通信術は左脳思考止まりで済むようになりましたが、これが昨年8月までの1アマ60文字/分 180字の通信術試験というのはモールス符号をそろそろイメージとして右脳で処理しないと難しい速度でしたので、同じ試験課題を左脳思考から右脳思考にうまくシフト出来なかった人にとっては昨年12月期試験の通信術改訂は朗報だったらしく、多くの受験者が押し寄せる結果になったようです。
 どうも右脳の働きというのは生活が便利になった現代人にとっては一つのウィークポイントのようで、おそらく昔の人たちは右脳をもっともっと使っていたのではないかと思われます。「勘」っていうものでしょうかね?野球で外野に守備についていた選手が、バッターが打った瞬間にどっちに走って球の落下点にたどり着くかという行動は、何回も何回も反復してノックを受けることにとって会得した右脳思考による「勘」に他ならないと思います。また、相手が刀で切り込んできたときに、反射的に体が反応するというのも、長年の剣術修行を重ねないと身に付かない右脳領域の仕事でしょうか?このように昔の人は「反復練習」ということによって自然と右脳を鍛えてきたものが、現代では何をするにしても自己鍛錬を必要としない便利な道具がお金さえあれば手に入るようになりましたので、結果的に右脳を使う機会が失われてきたような気がします。
 ところで、そろばんの効能ですが、モールス符合習得と同じように、指で珠を弾きながらも頭で繰り上がりを考えて珠を払ったりする、たとえば「8と3を足せば1つ繰り上がって2を払い、1を残す」なんてやっているうちは左脳思考で、これでは計算速度が上がりません。そのうち珠を弾いているうちに無意識のうちに繰り上がって珠を払うようになりますが、この暗算の思考こそが右脳思考のようです。慣れてくると12×25なんていう答えがそろばんを使わなくとも暗算で瞬時に出てくるようになりますが、そろばんを弾く行為が現在では電卓に取って代わられ、小学校ではまだそろばんは教えられるようですが、おそらく小学校を卒業したら一生そろばんを触らない人も多いでしょう。どうも現代では便利さを追求するあまり、計算尺の位取りやそろばんなどの右脳を使う行為があまりにも少なくなったために、右脳を鍛える機会が極端に減ってしまい、そこにつけが回ってきたような気がします。50年も昔の日本には有線・無線を問わず電信のオペレーターが山ほどいて、その養成に関してもさほど苦労はなかったようですが、それも、まだ「読み書きそろばん」が社会の要求する能力の最低条件としていたことと無縁ではないと思います。電卓・コンピュータと世の中が便利さを追求していった結果、実社会では右脳を鍛える機会が減ってしまい、空間認識力、想像力、パターン認識力が低下し、マニュアル人間と言われるように、マニュアルに書かれている事以外出来ない人間が増えたのも何か納得できるような気がしますが。
 さて、通信術改訂によって3アマの方も音響受信による通信術自体が廃止され、目で見た符合の意味の正解の番号を書くというまったくの左脳思考のみのモールス習得になりました。そのおかげか各地で3アマ養成講習が行われるようになり電話級30年選手だった人も4アマ取り立ての人も平等に機会を与えられるようになったからか、全エリアで年間700人程度しか増えなかった3アマが、半年でその10倍の7,000人に増えたという話です。そのなかの殆どの人たちは資格を有効に使うことなく電信とは縁のないハムライフを送るのでしょうが、電信をやりたくて3アマ講習に参加した数少ない人たちが、聞き取り速度向上のためにまずそろばんをやれ、ということは無謀な話ですし、ましてピアノを習えなどということも言いません。でもモールスの受信練習をきっちりこなして、平行して右脳の体操のためにそろばんを弾く事は確かにムダでは無いはずです。
 当方、電信とはまったく関係なく右脳トレーニングのためにそろばんを弾き始めましたが、何せ計算尺も触ったことのない世代ですからそろばんも小学校の時以来触れたことさえありませんでした。電卓で工業簿記と会計の1級まで取りましたが、そろばんが出来ないというのも経理マンとしては箔がないな、とは思っていたのですが…。まあ、この歳になってボケ回避の目的でのそろばんですが、今の100円ショップはそろばんまであるのですね。1個買ってきましたが、右脳トレーニングと指の体操にならこれで十分です。これで1〜50までの数字を足していったり、1〜10までの数字を何回も繰り返して積算していったりというサーキットトレーニングを行っていましたが、最初は繰り上がっていくつ珠を残すのかという左脳思考で考えていたのが、今では完全に右脳思考で指が勝手に繰り上がりの珠の裁きをするようになりました。これにたまには5玉のそろばんに持ち替えて、右脳にプレッシャーを掛けています(笑)「そろばんを使っての計算は左脳、そろばん式暗算は右脳、そろばん学習は、左脳と右脳をバランスよく使う学習といえます」だそうです。脳の障害チェック(脳梗塞の初期症状発見)なんかにも、毎日そろばんを弾くのは有効かも知れませんぞ(^_^;)

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