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June 25, 2006

再びRICOH No.116

 どうも計算尺ビギナーにとっては、やはり最初に入手すべきというか、最初に手にしたい計算尺はHEMMIのNo.2664Sのようで、まずこの計算尺を使いこなすようにならなければ、その他の関数を備えた両面計算尺を使うことが出来ずに、単なる計算尺コレクターになってしまいます。そういう人たちにとっては説明書付きのNo.2664Sは必需品でも、RICOHのNo.116は見向きもされないようで、リコーの計算尺はヘンミ計算尺のコピー商品で2級品というところの認識しかないのでしょうか?どうもリコーの計算尺の人気が今ひとつ低いようです。その落ち穂拾いというわけではないのですが、こちらにリコー系の計算尺が集まって来てしまう理由でもあるようです(笑)
 今回入手したRICOHのNo.116こそが、計算尺界のスタンダード、事務系の用途では他の追随をゆるさなかった永遠の名機HEMMI No.2664Sの真の対抗機種です。前モデルのRELAY No.114はHEMMIのNo.2664のコピーモデルでしたが、RELAYがNo.114を発売する頃にはHEMMIでは既にCIF尺を備えたNo.2664Sにモデルチェンジし、CIF尺のないNo.114は遅れを取っていましたが、RELAY時代末期にNo.116を発売し、CIF尺はおろかDI尺も備えた9尺度にしてNo.2664Sから優位に立とうとしました。この辺りは前回最末期型のRICOH No.116を入手したときに書きましたから省略しますが、この辺りからRICOHの計算尺は、HEMMIのコピー商品で値段が少し安いというスタンスから、HEMMIと何か一つ差別化してやろうという意気込みが感じて取れるようになってきます。しかし、その意に反して計算尺界の巨人・HEMMIの前には蟷螂の斧のようだったようで、必ずしも「1尺多い」ことが売り上げ増加には繋がらなかったようです。No.116はRICOHの計算尺にとってはそれほど珍しくない存在とも言われるのに、No.2664Sの数との比較にすると、1/20どころか、1/50か1/100くらいの存在じゃないでしょうか?まして現状ではNo.116Dなんてめったに発掘されません。No.116と同じ尺度を持つNo.2664S-Sのほうが、比較的に入手が容易です。しかもRICOHのNo.116に比べればHEMMIのNo.2664Sのほうが圧倒的な人気を誇っていますが、これって結局1人で何本も確保してしまうからでしょうか?(笑)ちなみにうちにはNo.2664Sは緑の紙箱入り昭和39年生産の未使用品1本だけです。普段使っているのはそこそこに使い込まれたNo.2664S-Sの方。でもNo.2664Sは生産時期が長いだけにそのパターンモデルを全部手元に置きたいというのも解らないではありませんが、あたしゃパターンモデルよりも、その他の計算尺の方が欲しい(^_^;) 
 この片面計算尺のスタンダードNo.116もHEMMIのNo.2664Sには及びませんがRICOH 計算尺生産の最末期までしぶとく生き残って、その使命を全うしました。その間、いろいろなマイナーチェンジがありましたが、基本的なK,DF,[CF.CIF,CI,C]D,A,DIの9尺の配置に関しては変更がありません。後の生産になって、他の計算尺同様にCIF尺がグリーンになったり、ゲージマークが変わったりすることがありましたが基本的にはRELAYとRICOHの2つのモデルがあり、ケースはRELAYの赤蓋黒箱(未確認)、リコー時代初期の赤蓋肌色箱、リコー時代中期の塩ビ透明ケース、リコー時代末期の青蓋ブローケースなどのパターンがあります。今回入手したのはリコー時代初期の赤蓋肌色箱入りのNo.116です。比較モデルとして現在当方には塩ビケースのNo.116Dと青蓋ブローケースのNo.116の2種類しかありませんので、おおよその年代別の違いしか検討することはできません。RELAYのNo.116はK.S-3が確認されてますから昭和37年3月佐賀工場製造分ということでしょうか?それに対してRICOHのNo.116はL.S-2が確認されていて、どうもこれが一番古いロットのようです。昭和38年2月佐賀工場製となりますので、長いNo.116の生産期間中においてRELAYの生産分はわずかに1年程しかないようですので、RELAYのNo.116はけっこうなレア物と言えるかもしれません。それにしてもRELAYの紙箱もRICOHの紙箱もHEMMIの貼箱と比べると明らかに安物で、薄い一重のボール紙の上に擬皮紙を貼り付けたものを組み合わせただけのヘナヘナなものです。それに比べるとHEMMIのものは学生用の8インチ用の貼箱こそ安物ですが、それにしても芯のボール紙が厚くてまだRELAY/RICOHの物に比べてもマシなものと言えます。その箱の評判が悪いのでRICOHは塩ビの透明ケースに換えたのでしょうか?このケースも落とすと角にヒビが入ってしまいますし、40年だった現在では弾力も失ってバラバラの破片になってしまいそうで、紙箱以上にやっかいな「入れ物」です。その「計算尺を保護する」という目的としては評判が極めて悪かったためか、40年代中期になってポリエチレンのブロー成形のケースになり、やっと入れ物としてまともになりました。プローのケースはHEMMIが先かRICOHが先だったのか、興味のあるところです。それでもHEMMIのブロー成形ポリエチレンケースは学生用8インチ尺と10インチ片面尺が早く、両面計算尺はかなり末期まで紙の貼箱が多かったようですが、RICOHは学生用8インチ尺は塩化ビニールのソフトケース化しながら、10インチ片面尺も両面尺もそれぞれブロー成形のポリエチレンケース入りが早かったようです。でも透明ケースのトランスルーセントというデザインセンスに関しては当時としては秀逸で、時代を先取りしていて30年早かったのではないかと思います。
 2本目のNo.116として我が家にやってきた今回の計算尺は、珍しくも裏日本は新潟県からやってきた計算尺です。それも偶然にも当方の親戚のある長岡からでした。長岡は「米百俵」のエピソードでも知られるとおり、戊辰戦争で焦土と化し、明治以降耐乏生活を強いられた場所で、物を大切にする場所。言い替えればなかなかお金を出さないケチが生活信条ですから、古い物はいつまでも捨てられないで残されている風土。「これは俺の思いこみ(c)長井秀和」ですが(笑)新潟県はいままで計算尺的にはさして大きな鉱脈と思ったことはありません。一部の石油掘削関係は別にして昔は農業に特化していた県ですから、学生用以外の計算尺が大量に流通していたとも思えませんが、これが意外な盲点で、手をつけられていないデッドストックが次々に発掘されることは……どうなんでしょう?(^_^;) なにせ夏も冬も湿気の多い土地柄、しまい込まれると紙箱なんか劣化しやすいような気がしますね。そういうことが影響したのでしょうか、赤蓋肌色の紙箱がもうボロボロでした。形式名もなんの表示もなく、写真もソフトフォーカスっぽかったために、誰も注目しなかったようですが、こちらちゃんとしっかり表の尺数9尺を確認して早々にNo.116という目星をつけておりました。落札価格1,200円は説明書ナシの箱が傷んでいる10インチ片面尺としては妥当な金額でしょう。刻印はL.S-3で昭和38年3月佐賀工場製。リコー計器に名前が変わった直後の製品です。このNo.116はRELAYの時代からCI尺が赤く目盛られているのが特徴ですが、No.2664SなんかのグリーンCIFに比べて配色的にどうなんでしょうね?これがNo.116DになるとCIF尺もCI尺も黒です。何かグリーンCIFに対抗して3色使わず2色で違いを出すためにCI尺をわざわざ赤にしてしまったのでしょうか?これが後のNo.116Sといわれる同じ計算尺はHEMMI同様のグリーンCIFに黒CIという配色になってしまいます。さらに前回指摘したとおり、上部に刻まれた25センチの定規の目盛の始まる位置が異なります。この時代のRELAYにしてもRICOHにしても片面尺は下のカーソルがはまる溝が浅くて、カーソルが外れやすいのがHEMMIの片面尺に比べて気になります。No.116Dのほうは竹の部分まで溝加工されているのに、No.116のほうはセルロイドを突き抜けていませんでした。No.116Sは竹の部分まで溝が到達しています。
本家のHEMMI No.2664Sは最近、30年代の物から40年代末期のプラケースの物までやたらと出品されるようになりましたが、値段はそこそこ付いているようです。それにしても名機No.2664Sの代表的なマイナーチェンジのものを集めて見たいなんていっていたら、当方もコレクター呼ばわりされそうですが、計算尺も30本以上集まると「自分の使う分しか入手してません」なんて言えなくなりました(^_^;)

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