突然のTVI
TVIとかBCIなんていうものはやっかいなもので、ここいらの対策に関しては4アマの養成講習でも「リグにローパスフィルタを使い、TVにハイパスフィルタを使う」という単なる「試験に出るから暗記しなければいけない」事柄に触れられるだけで、この程度の知識ではいろいろな要因が絡み合って起きる実際の受信障害には対処できませんし、おそらく初めて開局して運用する局は、この電波障害対策に関しては「何の対策も施されていない」のではないかと思います。
我が町の今年から中学生アマチュア無線家となったK君が4アマ半年で3アマを講習で取得し、50WにQROを果たして運用を始めると、7メガにだけ電波障害が発生して隣の家のインターホンに誤作動を与えるようになったんだそうです。こういうときの対策は知識と経験が必要になってきますが、「インターホンのケーブルがアンテナの役目をしてコモンモードを拾う・ケーブル末端を高周波的にカットするためにトロイダルコアを使用する」とまで行き着くためには上級者のアドバイスが必要です。
考えてみれば、上級資格取得者にだけ50Wを超える出力の開局が認められるのは「高出力によって発生しうる電波障害に対処できる基礎知識」があるだろうということを認定してのことでしょうから、初級局が何ら電波障害に対しては未対策のまま不法に高出力運用する事が、いかに「自分の電波環境さえ良ければあとはどうでもよい」という独りよがりな事か考えて見てください。「知識も経験豊富」だから資格外運用が許されるわけではもちろんありません(笑)
「電波障害への認識欠如」の見本として、北海道で昨秋に摘発された不法無線局の例ですが、自分の車と家に違法CBを設置し、自宅では1kWを超える出力で運用していて、この局が運用するたびに周辺部広範囲の家庭のテレビ画面が真っ黒になったために、北海道総合通信局が発信元を特定して北海道警察が自宅に踏み込んで逮捕という事件がありました。今どき固定で違法CBを運用していたなんていうのも時代錯誤も甚だしいですが、モービル用の垂直系のアンテナを屋根に載っけて、アースも取らずに1kWで運用したら周りがどうなるか、こヤシは悲しいかな考えつくことも出来なかったようです。
当貧乏電波研究所の電波障害対策は全てのアンテナ給電線のコネクタ部分に大きめのパッチンコアを装着し、リグの電源コードは大きめのトロイダルコアに巻き付けてコモンモード対策とし、ローバンドの給電線は5D-2Vを大きなトロイダルコアに6回巻にし、SWR計とアンテナチューナで常にアンテナの整合状態を監視していて、いままではリグの隣に置いてある古いステレオコンポに50メガで多少「ブーン」という回り込みのようなIが混じる以外は特に問題ない状態だったのですが、15日からの3連休で運用時間が拡大して、かなり激しいTVIが自宅階下のTVに突然入るようになったと報告がありました。症状としては干渉縞のようなものが出たり出なかったりするようになり、時には画面がモノクロになったりカラーに戻ったりするようになるんだそうです。どうやらCWを打ったときのTVIが激しいようで、バグキーのキークリックフィルタが原因かとも思いましたが、SSBでもかなり激しく乱れるということなので、突然コモンモードが入り込んだとしか理解できません。冷静に考えてみると、下の階のDVDプレーヤーを換えたときに、TVの電源をいままでコンセントから直接取っていたものをTVのブースターのアクセサリ端子から取るように換えてしまったのが原因かも知れません。それ以外はTVのセットをいじったことがないのです。どうやらTVのアンテナケーブルが無線のケーブルからコモンモードを拾い、ブースターを通って電源コードとアンテナの両方からTVに進入してループを形成し、一種の回り込みを起こしているような状況のようです。対策を施さないとおちおち6mにも出られませんから、手持ちのコア類を探し出してTVの電源ケーブルにはパッチンコアを2コ使ってケーブルを2回巻き付け装着し、元通りコンセントから直接電源を取る様にし、TVのケーブル、ビデオのケーブルにはそれぞれ末端にパッチンコアを装着しました。
いちおうこれで落ち着いたようですが、これがたったの10Wで起きることですから、10Wだってバカに出来ないのです。これはたまたま家庭内での事例にしか過ぎませんが、電波障害に対して何ら対策のない50W、100Wが本当に周辺にIが出ていないかどうか自己検証する必要があるでしょうね。
| Permalink | 0
Comments