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August 19, 2006

HEMMI No.30 4"ポケット型計算尺

 個人的にあまり4インチ5インチのポケットタイプの計算尺は好みではなく、さらにポケットタイプの計算尺はABCD尺配置のマンハイム型が多く、実際に普段使いにするならNo.30やNo.32さらにNo.34RKという選択肢はなく、√10もしくはπ切断ずらし尺のあるNo.2664Sのサブセット・No.2634かNo.259Dのサブセット・No.149Aしかないというところですが、それにしても精度的には10インチの計算尺を使いたいところです。アメリカ製のピケット社製10インチ計算尺なんぞは標準の皮ケースにベルトに引っ掛けるフックなんかが付いているところを見ると、アメリカのエンジニアはポケット尺を文字通りシャツのポケットに忍ばせるというよりは、フルサイズ10インチの計算尺を腰からぶら下げるほうが好みなのでしょう。日本は真逆で10インチ尺はあくまでもデスクトップユースで、現場ではポケット型を使うというような「使い分け」が厳密に出来ていたような感じがします。日本の計算尺では輸出用以外にあまり出来の良い皮ケースが無いのと、輸出向け計算尺の皮ケースにちゃんとベルトフックが付いていたりするのを見てもわかるような気がしますが。日本の刑事はニューナンブの短銃身型を携帯するのがせいぜいなのに、SFPDのハリー・キャラハン刑事は44マグナムの6,1/2インチ銃身のものを脇にショルダーホルスターでぶら下げているという例えは該当しません(^_^;)
 当方も現場に計算尺を持ち歩くという必要は全くないために、わざわざポケット尺を入手する必要がなく、昔から家にあったNo.2634と他には30年代のガラスレンズカーソル付きNo.32およびプラカーソル付きのNo.74しか所持していませんでした。この中ではNo.2634が計算尺界のスタンダード、No.2664Sのサブセットとしてその精度の差さえ目をつぶれば日常では比較的に使いやすいポケットタイプなのですが、つい最近まで店頭で入手する事が出来たNo.30はA,B,CI,C,Dというマンハイム尺であることが災いして触手が伸びることはありませんでした。ところが一気に2本も同時に入手してしまったのですから「また使わない計算尺を…」と呆れられそうですが、その2本のNo.30は企業のノベルティー商品として配られた物で、外箱と説明書は無いもののビニール未開封で、さらに豚皮ケースにガラスカーソル付きというものだったので思わず手を出してしまったものです。
 No.30は歴史の実に長い計算尺で、発売されたのは何と昭和の2年(@_@;) 同じナンバーで戦前のものと、戦後のものには相違点があり、戦後のNo.30には「CI尺」が追加され、より使いやすいものになってますが、戦前のNo.30にはバックプレートにSUNマークが抜き出された物があったりして、コレクターには喜ばれるようです。さらに昭和40年代からカーソルがプラスチックの一体型に変わっていますが、昭和2年から21世紀となったついこの間まで銀座伊東屋などの文具店店頭で最後まで売られていたということは、大正生まれの9600型蒸気機関車が結局、昭和生まれの蒸気機関車より長く生き残り、一番最後まで煙を上げ続けたことを連想するのは、わたくしが単なる蒸機ヲタだからですが(笑)個人的にはプラスチックの一体型カーソルの片面尺が嫌いで、同じモデルなら30年代のガラスカーソルのものがいいと思ってましたが、今回入手したNo.30のカーソルも金属の枠にガラスがはまった物でした。
 ところで、No.30はモデルナンバーの刻印がないほうが多いと思うのですが、今回入手したNB刻印・昭和38年2月製のものには裏側にモデルネームのNo.30がしっかりありました。奇しくも当方所有のNo.32は同年同月製造のNB刻印で、尺自体は共通でカーソルの違いだけのはずなのに、こちらにはNo.32という刻印はありません。No.30とNo.32は普通のカーソルかレンズカーソルかの違いですから、カーソルさえ付け替えればどちらのモデルとしても出荷出来るはずですから、無刻印にしておいて受注数によってカーソルだけ付け替えて出すようにしたほうが合理的です。そんなわけで、モデルネームNo.30が打ってあるものがいつ頃の製造刻印のものに出てくるのか、興味があるところです。

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