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August 18, 2006

計算尺末期のHEMMI No.P261

 我が家に転がる計算尺もすでに40本を過ぎてしまい「所持資格に関係ない計算尺には手を出さない」非コレクター宣言をしていたのにも係わらず、土木用計算尺HEMMI No.269あたりに触手を伸ばした辺りからそれも怪しくなり、今では立派な計算尺極道=コレクター(似非コレクター)に転落してしまいました。とはいえ、基本的には電子工学+電気+化学の分野が基本ですが、その3分野には今では日常業務に計算尺が入り込む余地がありません(^_^;) 唯一無線系国家試験にのみ計算尺使用可で電卓使用不可の変則的制限が残っていますので、いつかは計算尺を持ち込んで技術上級をと思いつつ、航空無線通信士取得後は2陸技の受験に踏み込めず、別な分野に飛び込んでしまいました。だって、無線系国家試験も技術上級は受験料もバカになりませんから(笑)とりあえず今まで10種類の無線従事者免許のうち、不合格や科目合格通知は一枚ももらったことがありませんので、その記録が途絶えるのもいやですし(爆)
 今回入手しましたHEMMIのNo.P261という計算尺は用途としては機械技術用計算尺の類に入るのですが、どうもNo.259DやNo.260と比べて影の薄いような気がします。それというのもプラスチック製でもあり、製造期間も他の2モデルと比べて製造期間が短かったからなのでしょうか?259Dや260と比べると出回っている数も少ないような気もしますが、ピタゴリアン尺を持つ希少なHEMMIの計算尺として貴重な存在かも知れません。うちに転がっている計算尺でP尺を備えるものは、他にHEMMIのNo.260とRICOHのNo.151以外には見当たりません。ということで、高級機械技術用というべき存在とも言えるのでしょうが、計算尺のベースは先行して発売されたプラ製両面尺のNo.P253と同じものになります(当然、幅はP261のほうが広い)。そのためにあまりありがたみを感じさせないのでしょうか?実はこのP261は恐ろしく見かけの異なる2タイプの物が知られており、殆どのものはP253同様に固定尺滑尺共に普通の白で、固定尺と固定尺を繋ぐブリッジの樹脂が緑のものなのですが、末期の物に限って滑尺が薄い青の成形色になり、ブリッジの樹脂やカーソルのブリッジなども共に薄い青の成形色になったものがあります。これは学生尺のP45SやP45Dなどと同じで、明らかに山梨は技研の手法ですからこのP261もヘンミの和光工場製ではなく山梨は甲府生まれの計算尺なんでしょう。ちなみにP261のケースはP253と違い最初から塩ビのブロー成形のものだったようで、初期のものは後のリコーの両面尺用ケースそっくりの角が丸い赤い蓋のケース(P263共通?)、後に同じ角が丸い青蓋のものに代わり、末期の物は割に角張った青蓋のケースに変わりますが、何とこのケースはFUJIの両面尺用ケースにそっくりです(^_^;)
 さて、このP261の滑尺の色が薄い青に変わったのはいつ頃なのでしょうか?この計算尺自体の数が少ないために「いつから」ということを確かめるのは困難なのですが、昭和44年6月製造のものが白滑尺緑パーツで角丸青蓋ケース入りなのでそれ以降のことと思いますが、これ以降計算尺の需要は急速に落ち込みますので、この薄青滑尺青パーツのP261はあまり「売れなかった」計算尺だったのかもしれません。それにしては廃業文房具店での捕獲例もあまり聞かないような。つくばから帰省してきた1総通1陸技で1アマ持ちの友人は父親が電気技術者だった関係で何本も計算尺を持っていて、十数年前には都内でも何本か計算尺を普通に購入していたそうです。その男は実際に1陸技試験という実戦の場で計算尺のありがたみを享受した口なんですが、その男が我が家にやってきて、FUJIのNo.215Dの薄い緑色の滑尺を見てその視認性に感心していましたが、ピケットのESはやりすぎだと思いながらも日本製計算尺もCIF目盛のグリーンだけでなく、もう少し計算尺の色に配慮してくれたらコレクションも華やかになったはずですが、計算尺なんぞ所詮人間工学うんぬん以前の時代の産物ですからあの白地に黒の目盛を見て精神的にイラつこうが何しようが配慮のないものでした。その視認性の改良をヘンミではなく山梨の技研産業が率先してやってくれたというのが素晴らしいではないですか。特に検定向き計算尺として技研時代から続いた技研No.251からFUJIのNo.2125〜2125Dに至る片面計算尺は同一の計算尺ながらFUJIのNo.2125Cになって滑尺が緑の成形色に変わったようです。特にこの2125シリーズのしんがりを勤めるNo.2125Dは殆ど計算尺末期の昭和50年前後の品物ながらNo.2125Cとどこが違うのかと良くみたら、どうやらC尺上に「2π」マークがあるかないかの違いが一番の相違点で、1/2πを多用する電子工学系に使うのだったら2125Dのほうが圧倒的に有利です。
 このP261の尺配置は表面は普通のべき乗LL尺付きのπ切断ずらし系尺ですから、おそらくモデル名を隠して表だけ晒されると機種を特定するのが困難かもしれません。ただし裏面は滑尺上から三角関数が消え、代わりにABCD尺のマンハイムライクな配置ですが(本来はダルムスタットだそうです)、特筆すべきは滑尺上にBI尺を備えることと、上固定尺にTとST尺、下固定尺にL尺P尺S尺を備えますので、裏面を見せられただけでもわかる人にはP261だということが識別可能のレーダーマンだと思います(って思いっきり古い^^;;;)No.259Dと機能的な比較をすると、べき乗計算はLL0,-LL0が省略されているP261が若干不利。二乗・平方根を含む計算はBI尺を備えるP261が有利、三角関数系は互角ながらP261はP尺を備えるのでCOSθがより高精度で求めることが出来る。P261は裏面カーソルに副カーソル線を備えるのでPSとkWの換算及び円の断面面積計算が楽など、P261はプラスチック尺ながら、P253と違ってなかなかの高級技術系指向の計算尺であることがわかると思います。
 入手先は神奈川県の川崎市。工業地帯のど真ん中からですが、まだまだ中古の計算尺辺りがリサイクルショップに埋もれているかもしれません。いつもですと外国からの代理入札が入りそうなのですが、外国は夏のVACATIONの真っ最中ですし、お盆の帰省シーズンということもあり、外国のコレクターもしばしのお休み。こないだのNo.130同様に、またまたさほど苦労せず捕獲に成功。これ通常タイプだったら躊躇したかもしれませんが、末期型の薄青滑尺タイプだったので躊躇せずに捕獲しました。このP261の兄弟尺にフルLL尺装備で裏面がリッツ系配置のP262というものがあるようなのですが、未だにお目に掛かったことがありません。また商業用のP263という計算尺もありますが、こちらはP253を含むこのプラスチック両面尺のデザインを代表して旧通産省からGマークを受けたという話です。P267という計算尺は構造設計用計算尺ですが、発売時期が遅かったために最初から薄青の滑尺を備えるものしか作られていないようです。刻印は流石は計算尺の生産末期に差し掛かった「XH」ですから昭和48年の8月製。オイルショックの真っ直中で石油製品の素材価格も天井知らずの値上がりのころですな。しかしXH刻印のまえに「へ」の字が打たれているのですが、どんな呪いでしょうか?(笑)さすがに電卓時代の計算尺ですからさほど痛みもなくきれいなもので、プラ尺ですからカーソル外して中性洗剤を入れたぬるま湯につけて歯ブラシで汚れを落としました。
 しかし、販売期間が一番長かったP253が最後まで白い滑尺のままだったのは何が解せないような気がしますが、おそらく途中でグリーンCIF尺にマイナーチェンジしたため、滑尺の着色が見送られたのではないでしょうか。どういうわけか後の活字体VECTLOGでグリーンCIFのP253で角ばった青蓋ブローケースに入った物までこのままでしたが、グリーンCIFには白滑尺で緑のプラパーツのほうが合っているような気がします。角張った青蓋ブローケースは本来、竹製の両面尺に合わせて作られており、両面尺を押し込むと固定尺金具をケースのくぼみで両側からぴったりと押さえて計算尺本体をケースに固定する優れものです。その竹両面尺用ケースに薄いプラの両面尺を入れると多少ガタつきます。ケース無しの両面尺に貼箱をあつらえるのも手間ですからこのケース、10個ばかり欲しいですねぇ(笑)しかし、ヘンミは在庫の両面尺をフェイクレザーの黒いソフトケースに入れて販売していましたが、このブロー成形のケースの金型、一体どこに消えたんでしょ?
P261
 特徴的なP261の裏側でござります。
ブリッジの樹脂成形色がホールズのアイスブルーみたいで美味しそう(笑)
HEMMI No.P261 表面拡大画像はこちら
HEMMI No.P261 裏面拡大画像はこちら

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