CIF尺付きFUJI No.82-D 学生用計算尺
8月にNo.1280-Tを入手したばかりなのにまたもやFUJIの計算尺です。というのも最近はレギュラーなHEMMIの計算尺には目もくれないからですが、うちのFUJI製計算尺もこれが加わって両面尺と片面尺合わせてやっと4本目になりました。このFUJIの学生用計算尺は8インチの学生用計算尺でありながら標準的な7尺に加えてついにCIF尺が加わった、いわば8インチ版のHEMMI No.2664Sのようなものなのです。2664Sがベストセラー片面尺だったのに比べると、このFUJI No.82-Dは影の薄い計算尺で、2664Sと同じ8つの尺度を持っていたのにも係わらず、当方もCIF尺まで加わったことには気づいていませんでした(^_^;) どうやら滑尺上にCIF尺を加えたため、少々滑尺上が込み入ってきましたが、全体の身幅は他のFUJI学生用8インチ計算尺と変わりません。No.2664Sと同じ8尺度ですから学生用計算尺にしておくのはもったいないような感じがしますが、説明書がぺらの1枚物ですから品番も説明書も学生用以外の何物でもありません。しかし、学習指導要領で要求される以上の8インチ学生用計算尺を作ってどうしようと思ったのやら。けっこう中途半端な感は否定できませんが、無線従事者国家試験に持ち込むんだったらHEMMIの45Kよりもグッドです。但し45Kなんぞ全国どこにでもありますが、FUJIの82-Dを指名して入手するのはNo.266を入手する事より更に困難です。さらにこのNo.82-Dが8インチ尺ではなくて、せめて6インチ尺だったら「No.2634より精度が上でCIF尺まで付いたポケット計算尺」として、けっこう存在意義があったかもしれませんが、悲しいかな8インチ尺はすでにポケット尺の範疇を超え、取り回し的には10インチ尺と変わりません。ところで中学生用の学生尺を8インチと定めたのは誰なんでしょ?
実は最近気が付いたのですがFUJIのNo.82-Dという計算尺は同じ品番で新旧2タイプあり、前期型は裏側に目安線があって、三角関数系の計算がそのまま可能なのに、後期型は裏側に目安線がなく、滑尺を一旦抜いてひっくり返さないと三角関数の計算が出来ないタイプです。HEMMIでいうとNo.P45SとNo.P45Dの違いそのものですが、FUJIの場合はあえて品番を変えなかったということは、同時期に2種類のタイプが売られていたわけではなくて、コストが上がった分、後のモデルは組立コストを削減して簡単な作りになったということなのでしょう。学生尺は1本しか買うことは無いから別に文句も来ないだろうということでしょうか?(笑)こういう途中での変更ということはよくあり、HEMMIでも8インチのNo.P45Kという、竹製のNo.45Kをプラスチックにした技研OEMの計算尺がありましたが、どうやら学生用の安価な計算尺としてはコストが合わなくなったのか早々に姿を消し、組立コストが安そうなNo.P45SとNo.P45Dにモデルチェンジしましたが、この前期型のFUJI No.82-DはHEMMIのNo.P45Kの構造そのものなのです。おそらく学生計算尺という値段の制約がはめられていたために同一品番でありながら裏の目安線がなくなった後期型にいつのまにか変更されてしまったのでしょう。そのあたりは末尾のSとDで品番を変え、価格も異なるHEMMIの企業姿勢の方がノーマルですが。この前期型・後期型にはケースの違いもあるようで、色合いは同じ緑キャップに白ボディのブロー成形ケースながら前期型は筋目模様、後期型は荒い皮しぼ模様のケースです。筋目模様のケースは40年代半ばから後半に掛けての製品に、荒い皮しぼ模様のケースは50年代になってからの製品に付属したような感じで、この違いはNo.1280系両面計算尺にあっても同様です。
この計算尺の出所は静岡県内の一地方都市からでした。外箱も説明書も揃った未使用品とおぼしきものでしたが、ビニールの袋には入れられてませんでした。滑尺が薄い緑の成形色になっており、上下尺を止めるブリッジも薄い緑の樹脂パーツです。片面計算尺でありながらバックプレートが無くてブリッジのみで止められるという手法は、まるでプラの両面計算尺P253のようですが、この樹脂のブリッジを馬蹄形にしてそのUの字の部分に目安線を引いた透明プラパーツを配しており、両端に目安線があることで、片側にしかない一部のFUJI 8インチ尺よりも高級です(笑)しかし、HEMMIのP45Kが短時間で姿を消してP45SおよびP45Dになったようにコストがどんどん上昇して、北海道方言で言うと「マカタしなくなった」んでしょうね。その証拠か外箱に定価改定でシールが貼り付けられて¥840になってます。その下にはいったい幾らの定価が書かれていたのでしょうか(^_^;) しかし、学生用の8インチ尺のくせに、こいつは生意気にも尺の右側にすべて数式が刻印されているんですね。さらに裏側に13cmの正・逆目盛を持つスケールまであります。プラ尺ですけど滑尺はスムースに動きました。最初に手にした50年代以降のNo.P45Dの滑尺の動きがあまり良くなかったので、プラ尺の印象は当初あまり良くなかったのですが、不思議とその後プラ尺で動きの悪い物に行き当たりません。もしやと思ってイタズラ心を出し、P45Dの滑尺をはめ込んでみようと思ったら、P45Dの滑尺の方がほんのわずかに細くて、共用は叶いませんでした。やはり基本設計自体が異なると見えます。8インチ尺故にK尺の目盛が疎だったりC尺D尺の4から5が1/20刻みだというように精度的に10インチ尺に敵わない部分はありますが一通りのゲージマークも備え、見かけはNO.2125-Dの弟分といってもいいほど。しかし、サブセットというには大きすぎでせめて6インチで細密目盛だったらもっと違う使い方が出来たのでしょうが、学生尺なのでしかたがありませんね。説明書の出だしがNo.88と同じために、CIFの説明を無視して同じものを付けたのかと思いましたら、さすがに内容は異なってましたね(笑)
HEMMIのNo.2664Sとまったく同じ尺配置です(^_^;)
グリーンCIFではありませんが、そのかわり滑尺が薄いグリーン。こっちのほうが華やかです(笑)
更に豊富なゲージマークを備えます。
FUJI No.82-Dの表面拡大画像はこちら
FUJI No.82-Dの裏面拡大画像はこちら
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