FUJI No.2125 検定用計算尺
最近FUJIの計算尺がよく出てくるようになったようでFUJI計算尺好きの当方としてはうれしい限りなんですが、今回のFUJI No.2125は5月に札幌から入手したNo.2125Dとの比較という興味だけで入手した計算尺です。No.2125Dの記述と一部重複しますが、それほど書くネタがないのでお許しあれ(笑)
この計算尺のそもそもは技研のNo.251が始まりで、尺の種類と配置は一貫して同じですが、構造などが微妙に変わってFUJI時代にはNo.2125となりNo.2125Cを経てNo.2125Dに至るという流れは前回に書きました。No.2125は滑尺が白ですが、No.2125CとNo.2125Dは滑尺が薄い緑です。滑尺の着色とゲージマークの追加などがあって、その度に改良番号が付けられたようですが、基本的にはK,A,DF,[CF,CIF,B,CI,C],D,DI,Lという表11尺のレイアウトには変わりなく昭和50年代に突入しても製造されつづけた計算尺らしいです。一貫してプラスチック製ということも変わりありませんでした。同じ11尺配置のHEMMI No.651よりも相当に幅広な計算尺で(651が44mmに対して2125Dは50mm)、そのために尺同士の間隔に余裕があって、計算尺競技などでは目盛の誤認が少なかったと思われます。HEMMIのNo.651が単なる技術用とされているのに対して、FUJIのNo.2125はその前身の技研No.251時代から「検定上級用」をうたわれてきた計算尺で、事実片面尺で三角関数以外の尺度をすべて表に持ってきたために、三角関数の計算以外、計算尺を裏返したり滑尺を裏返す必要もまったくないために、計算のスピードと正確さを争う競技には最適なものだったのでしょう。まあ慣れという要素も大きいかも知れませんが、両面計算尺を裏返しながら裏の目盛と表の目盛を見比べるよりもスピードと正確さは片面計算尺のNo.2125のほうが勝っていたと思われます。FUJIブランドに変わってからのNo.2125時代にHEMMI No.651が発売されたようですが、コスト的にはFUJIの2125の敵ではなかったようです。
兵庫県から届いたFUJIブランドになってからのNo.2125を手にしたときの第一印象は、ケースからして「何か小さいなぁ」ということでした。今回のNO.2125はグレー1色のブロー成形のビニールケースに入っており、機種名まで型に彫り込まれているのもご愛敬ですが普通の片面計算尺の大きさしかないような感じです。中から出てきた少々煤けた白い計算尺も少し細身の感じを受けましたので、No.2125Dと比べてみると、やはり3ミリほど細身になっています。人間の感性なんていうのは馬鹿に出来ません。備えている尺数は表11尺の裏5尺で後の2525Dと変わりないのですが、なぜか下固定尺の尺配置の順番が異なり、No.2125がD,L,DIの順番に対してNo.2125DはD,DI,Lの順番です。双方ともに逆尺は赤で目盛が切られています。2125は当時としては標準的なゲージマークを備え、それはC尺D尺上にのみありますが、2125Dは殆どの尺にπマークを備え、加えてVマークや2πマークまであるために、電気物理系に使うのであれば2125Dの方が使いやすいというのは改良品だけのことはあるでしょう。πの書体が異なり、2125のほうは古いHEMMIの計算尺のような釣り針型の足を持つπマークです。素材自体が2125のほうが軽い感触があり、2125はHEMMIのP253などと同じような素材ですが、2125Dのほうはそれより素材自体が少々重いような感触です。
届いた計算尺の汚れはパソコンクリーナでなんとかなりましたが、FUJIのプラカーソルが傷に対して何ら無防備なためすり傷だらけで、アクリル専用の研磨剤を使って猫がひっかいたようなすり傷を消すのに意外と手間を取られました。そういえば2125Dとはカーソルの形状もカーソルバネのかけ方も異なり、カーソルは別な作りでした。また、計算尺自体の幅が異なるので後の2125シリーズとカーソル自体の互換性がありませんので注意が必要です。しかし手にするまで2125なんぞ全て滑尺の色とゲージマークの違いだけでお茶を濁していたのかとばかり思っていましたが、実際に並べて比較してみないと見えてこない事もありますので、比較検討は重要だと再認識しました。
FUJI No.2125の表面拡大画像はこちら
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