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September 03, 2006

HEMMI No.651技術用計算尺

Logo651  HEMMI No.651(技術用)という計算尺は何とも不思議な計算尺で、当方の無線従事者国家試験用としてお薦めの片面計算尺 No.2662の兄弟尺ながら、滑尺の表にB尺を持ってきたため、従来の片面計算尺の幅では納まりきらなくなり、B尺を加えた分だけ滑尺の幅を広げた計算尺です。そのベクトルはどうもFUJIのNo.2125に向かっていることは容易に想像できるのですが、No.2662がごく普通に見かけられるのに対して、No.651は殆ど見ることが出来ませんし、返ってFUJIの2125シリーズの方が市場では多く見かけます。共に検定用計算尺を目標に発売されたようで、高校生の計算尺競技会などでのスピード勝負を主眼に、片面尺なのに思いっきり表に必要な尺数を増やしたらこうなったという事でしょう。数が少ないためにオクでも見かけることが本当に稀な計算尺ですが、どうやらほんの短い期間しか生産されずに、モデルチェンジされてしまった計算尺らしいのです。そのために説明書はNo.2662とNo.651の共用のため、世の中に短冊形と冊子型の双方の説明書がたくさん出回っているのに、本体が文具店などのデッドストックで発見されることもないようです。又、検定用という用途からか海外に輸出されることもなく、このNo.651とモデルチェンジ版No.641はそろって代理入札業者の手によって海外のコレクターへ流出するという典型的な計算尺です。どうやらオーソドックスな竹にセルロイドを被せた素材で、構造もNo.2664Sを踏襲したバックプレートと固定尺をピンで接合したものであるため、生産コストが合わなくなってプラスチックを多用したFUJIの2125に近いネジ接合のNo.641にモデルチェンジしてしまったのでしょう。No.641は兄弟尺の9尺装備であるNo.640S同様に比較的容易にデッドストックとして発見されるようです。No.641の説明書は初期の物のみNo.2662 & 651用の冊子型の物にオレンジの補填説明のペラが1枚付いていただけのものがありましたが、後にNo.641専用になりました。No.640SとNo.641およびNo.2662はどれもCIF尺がグリーンに色分けされているのにも係わらず、なぜかNo.651が字赤目盛黒のままなのは、時期的に見ても理由がわかりません。片面尺なのに幅広計算尺ですから片面計算尺用のケースに納まらずP253などと同じブロー成形の角丸青白ケース入りでした。
この構造の変遷というのがそのまま技研のNo.251からFUJIのNo.2125にもそっくり当てはまり、技研No.251からFUJIのNo.2125の初期まではオーソドックスなHEMMIの片面尺をそのままプラスチックに置き換えたパックプレートピン接合タイプの厚い計算尺が、いつのまにかネジ接合の薄いタイプのものになって製造面でコストダウンされます。その流れがそのままNo.651からNo.641に当てはまるのですね。そこには何らかのFUJIの介在が考えられますが、HEMMIのこの手の計算尺は最後までセルロイドと竹を組み合わせた固定尺及び滑尺でした。FUJIと違ってオールプラスチックに踏み切らなかったのはプラスチック加工の技術的な問題よりも重量軽減の為でしょうか?でも何となくFUJIからバックプレートの供給を受けたか、もしくは山梨で組み立てたのがNo.640SとNo.641だとすると、No.651は紛れもない純粋なHEMMI和光工場製と言えますが、カーソルはもしかしてFUJIから供給を受けたかもしれません。カマボコ状になって、若干レンズの効果があるのがFUJIっぽくて怪しいのですが、しっかりHEMMI JAPANの刻印は付いています。どうせだったら金属枠のガラスカーソルを作って欲しかったですけど。そういやポケット尺や学生用尺を始めとして、プラスチックのカーソルはまとめて山梨からパーツの供給を受けていたのかも。
 入手先は横浜のリサイクルショップからでした。ここ1年の間にこちらのレーダーに引っかかったNo.651はたったの1本で、それも例によって代理入札業者の手によって海外流出したはずですが、今回はなぜか誰の網にも引っかからなかったのか、あっさりと開始価格で落っこちてしまいました。当方、No.651は希少品だと思うのに何か信じられませんでしたが、おかげで同時期HEMMI片面尺の8尺から1尺ずつ増えて11尺のものまで、No.2664S、No.2664S-S、No.2662、No.651と4種類全て揃いました。この中でNo.651のみ絶対に手に入らないと思ってましたから、何となくうれしいなぁ(笑)届いたNo.651は青白のプロー成形のケースもまったく汚れておらず、本体も経年変化でまんべんなくセルが黄色みを帯びている以外はまったく手を加える必要のない極上品でした。プラスチックのカーソルに殆ど擦り傷さえありません。製造刻印は何と「PL」でした(@_@;) No.651というと昭和43年以降の製品かと思いきや、昭和40年12月にはもう製品として出回っていたんですね。さらに裏の換算表はネジ止めされています。30年代のNo.2664Sなどの手法と同じですが、後のNo.651は換算表のネジ止めがやはり省略されていました。ゲージマークがCとπ以外はまったく見当たらず(滑尺裏のC尺にはあります)本当に競技用目的のような感じの計算尺ですが、常用尺としてはちょっと物足りないですねぇ(^_^;) 同じ11尺装備の片面尺としてはFUJIのNo.2125-Dのほうが、各種ゲージマークが豊富で、しつこいくらいπマークがいろんな尺に刻まれており、幅広で尺配置にも十分余裕があり、本当に無線従事者国家試験に使うんだったらFUJIのNo.2125-Dですけどね。ケースの裏側にクラス名と名前を消した跡がうっすらと残っていました。高校に入ってからなぜNo.651なんかを選んでしまったのか、尋ねてみたいような気がします。使用頻度から見たらやはり計算尺競技会の為だけに購入したのでしょうか?それだったら相当に気合いが入っていた証拠ですが(笑)次回はかなりの「珍尺」を公開予定。この珍尺、仕舞い込んでしまって自分だけ楽しもうかと思いましたが、そういうことがなかなか出来ない性分なもんで…(^_^;)
No651
HEMMI No. 651の表面拡大画像はこちら
HEMMI No.651の 裏面拡大画像はこちら


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Comments

myukiさん、こん**は

 お噂はかねがねと言いますか、myukiさんの全道行脚のおかげで北海道にはもう美味しいところが残っていないんじゃないかと(笑)
旧炭鉱企業城下町なんか昔よくカメラ抱えて走り回っていましたから、文房具屋でも覗いて回るべきでした(^_^;)
 
 しかし、けっこうなたれこみ情報、ありがとうございます。けっこう欲しい計算尺もありますねぇ。P267あたりなんか。
しかしこんな物が残っているということは、竹系の尺まで下請けで組立をやっていた可能性もありでしょうか?
ますます技研とヘンミの関係に興味が沸きました。

 今後とも宜しくです。

Posted by: じぇいかん | September 18, 2006 08:37 PM

じぇいかんさん、始めまして北海道のmyukiと申します
楽しく読ませていただきました。
小生の所有するNo.651は刻印SL緑帯紙ケースでした、これは技研産業から購入しました、
物は試しで技研産業に技研計算尺の在庫を
確認しますと、技研No250Sの他にHEMMI
No.651、No.P267、No.264、No2662、No2664SS
No.641が有ったので、ええ買いました、

Posted by: myuki | September 18, 2006 12:47 PM

じぇいかんさん、こんにちは。

相変わらず、オークション探索の網が細かいですね。

今回の出品タイトルは、自分の使っている検索語に含まれていたはずなのですが、なぜか、見落としていました。

次回は○○○W-○ですか? 楽しみにしています

P.S. 264はカーソル裏面のネジが1本しかないハズレでしたので、まだ手入れもせず放置してあります。

Posted by: cyno_y | September 03, 2006 02:33 PM

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