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September 28, 2006

JAIAアワード申請書の作成

 専用のロギングソフトを使えば問題なく整理出来るJAIAアワードのサフィックス別のログ整理ですが、当方の知る範囲内ではMac用のログソフトでJAIAアワードに対応したロギングソフトが見当たらず、仕方が無くMac用CQLOG VER2.3から該当データーを.slkで書きだして、それを表計算ソフトで整理するという一部手作業の入ることが必要で手間が掛かります。そのため8月末日が過ぎたのに面倒くさがって放っておいたら、そのうちにJAIAアワードのことなどすっかり忘れていました。せっかくボーナス局を運用していて、追加のカードももらったのに事務局に対して運用実績報告ともなるアワード申請を行わないのも申し訳ないと思ったこともすっかり忘れており、胆振日高コンテストの締切の事を考えていたら急にJAIAアワードのことを思い出し、今週に入ってから急遽データー整理を敢行。7月の調子だと2000ポイント超の「SS」クラスも固いと思ったのですが、8月に入ってコンディションが急落し、残念ながら交信数が伸びませんでした。表計算ソフトで整理すると交信重複局やサフィクス重複局がかなりあり、それを除いた上で得点を集計すると、合計で1,629ポイント。残念ながら「S」クラスです。Sクラスと言えども1,000ポイントから1,999ポイントまでなのでかなり範囲が広いのですが、1,629ポイントというと帯に短し、襷に長しで実に「中途半端やなぁ〜」という感想です(^_^;) いつも参加することに意義を求めている当方のJARLのコンテスト結果と似たようなもんですな(笑)
 それで、JAIAの様式で交信リストをプリントしなければいけないのですが、JAIAアワード交信リストをコピーして、その交信リストに30局ずつ交信局データをプリントしなければなりません。こんな作業、いちいち手書きでやっていたら脳味噌が臨界点に達しそうです(閑なときであればこういう気力のいる作業は意外に好みですが)。時間もないので、エラーチェックが終わったデータを何とか全部プリントアウトしなければアワード申請どころの騒ぎではありませんので、何枚かムダにしながら印刷位置の修正を行っていきます。それでもインチとメトリックの微妙な差なのか30行データの行の高さを1ポで修正しきれなくて30行目が半行ほどずれてしまうのですが、だからといって手書きにする気も起きず、30枚近いログデータを一気にJAIA様式でプリントしました。これが出来なければ今年もJAIAのアワードなんか申請するのを躊躇してしまったかもしれません(笑)アワード申請書は120円切手を添えて事務局に昨日のうちに郵送しました。

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September 27, 2006

FUJI No.2125 検定用計算尺

 最近FUJIの計算尺がよく出てくるようになったようでFUJI計算尺好きの当方としてはうれしい限りなんですが、今回のFUJI No.2125は5月に札幌から入手したNo.2125Dとの比較という興味だけで入手した計算尺です。No.2125Dの記述と一部重複しますが、それほど書くネタがないのでお許しあれ(笑)
 この計算尺のそもそもは技研のNo.251が始まりで、尺の種類と配置は一貫して同じですが、構造などが微妙に変わってFUJI時代にはNo.2125となりNo.2125Cを経てNo.2125Dに至るという流れは前回に書きました。No.2125は滑尺が白ですが、No.2125CとNo.2125Dは滑尺が薄い緑です。滑尺の着色とゲージマークの追加などがあって、その度に改良番号が付けられたようですが、基本的にはK,A,DF,[CF,CIF,B,CI,C],D,DI,Lという表11尺のレイアウトには変わりなく昭和50年代に突入しても製造されつづけた計算尺らしいです。一貫してプラスチック製ということも変わりありませんでした。同じ11尺配置のHEMMI No.651よりも相当に幅広な計算尺で(651が44mmに対して2125Dは50mm)、そのために尺同士の間隔に余裕があって、計算尺競技などでは目盛の誤認が少なかったと思われます。HEMMIのNo.651が単なる技術用とされているのに対して、FUJIのNo.2125はその前身の技研No.251時代から「検定上級用」をうたわれてきた計算尺で、事実片面尺で三角関数以外の尺度をすべて表に持ってきたために、三角関数の計算以外、計算尺を裏返したり滑尺を裏返す必要もまったくないために、計算のスピードと正確さを争う競技には最適なものだったのでしょう。まあ慣れという要素も大きいかも知れませんが、両面計算尺を裏返しながら裏の目盛と表の目盛を見比べるよりもスピードと正確さは片面計算尺のNo.2125のほうが勝っていたと思われます。FUJIブランドに変わってからのNo.2125時代にHEMMI No.651が発売されたようですが、コスト的にはFUJIの2125の敵ではなかったようです。
 兵庫県から届いたFUJIブランドになってからのNo.2125を手にしたときの第一印象は、ケースからして「何か小さいなぁ」ということでした。今回のNO.2125はグレー1色のブロー成形のビニールケースに入っており、機種名まで型に彫り込まれているのもご愛敬ですが普通の片面計算尺の大きさしかないような感じです。中から出てきた少々煤けた白い計算尺も少し細身の感じを受けましたので、No.2125Dと比べてみると、やはり3ミリほど細身になっています。人間の感性なんていうのは馬鹿に出来ません。備えている尺数は表11尺の裏5尺で後の2525Dと変わりないのですが、なぜか下固定尺の尺配置の順番が異なり、No.2125がD,L,DIの順番に対してNo.2125DはD,DI,Lの順番です。双方ともに逆尺は赤で目盛が切られています。2125は当時としては標準的なゲージマークを備え、それはC尺D尺上にのみありますが、2125Dは殆どの尺にπマークを備え、加えてVマークや2πマークまであるために、電気物理系に使うのであれば2125Dの方が使いやすいというのは改良品だけのことはあるでしょう。πの書体が異なり、2125のほうは古いHEMMIの計算尺のような釣り針型の足を持つπマークです。素材自体が2125のほうが軽い感触があり、2125はHEMMIのP253などと同じような素材ですが、2125Dのほうはそれより素材自体が少々重いような感触です。
 届いた計算尺の汚れはパソコンクリーナでなんとかなりましたが、FUJIのプラカーソルが傷に対して何ら無防備なためすり傷だらけで、アクリル専用の研磨剤を使って猫がひっかいたようなすり傷を消すのに意外と手間を取られました。そういえば2125Dとはカーソルの形状もカーソルバネのかけ方も異なり、カーソルは別な作りでした。また、計算尺自体の幅が異なるので後の2125シリーズとカーソル自体の互換性がありませんので注意が必要です。しかし手にするまで2125なんぞ全て滑尺の色とゲージマークの違いだけでお茶を濁していたのかとばかり思っていましたが、実際に並べて比較してみないと見えてこない事もありますので、比較検討は重要だと再認識しました。No2125
FUJI No.2125の表面拡大画像はこちら


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September 21, 2006

CIF尺付きFUJI No.82-D 学生用計算尺

Fuji82dlogo  8月にNo.1280-Tを入手したばかりなのにまたもやFUJIの計算尺です。というのも最近はレギュラーなHEMMIの計算尺には目もくれないからですが、うちのFUJI製計算尺もこれが加わって両面尺と片面尺合わせてやっと4本目になりました。このFUJIの学生用計算尺は8インチの学生用計算尺でありながら標準的な7尺に加えてついにCIF尺が加わった、いわば8インチ版のHEMMI No.2664Sのようなものなのです。2664Sがベストセラー片面尺だったのに比べると、このFUJI No.82-Dは影の薄い計算尺で、2664Sと同じ8つの尺度を持っていたのにも係わらず、当方もCIF尺まで加わったことには気づいていませんでした(^_^;) どうやら滑尺上にCIF尺を加えたため、少々滑尺上が込み入ってきましたが、全体の身幅は他のFUJI学生用8インチ計算尺と変わりません。No.2664Sと同じ8尺度ですから学生用計算尺にしておくのはもったいないような感じがしますが、説明書がぺらの1枚物ですから品番も説明書も学生用以外の何物でもありません。しかし、学習指導要領で要求される以上の8インチ学生用計算尺を作ってどうしようと思ったのやら。けっこう中途半端な感は否定できませんが、無線従事者国家試験に持ち込むんだったらHEMMIの45Kよりもグッドです。但し45Kなんぞ全国どこにでもありますが、FUJIの82-Dを指名して入手するのはNo.266を入手する事より更に困難です。さらにこのNo.82-Dが8インチ尺ではなくて、せめて6インチ尺だったら「No.2634より精度が上でCIF尺まで付いたポケット計算尺」として、けっこう存在意義があったかもしれませんが、悲しいかな8インチ尺はすでにポケット尺の範疇を超え、取り回し的には10インチ尺と変わりません。ところで中学生用の学生尺を8インチと定めたのは誰なんでしょ?
 実は最近気が付いたのですがFUJIのNo.82-Dという計算尺は同じ品番で新旧2タイプあり、前期型は裏側に目安線があって、三角関数系の計算がそのまま可能なのに、後期型は裏側に目安線がなく、滑尺を一旦抜いてひっくり返さないと三角関数の計算が出来ないタイプです。HEMMIでいうとNo.P45SとNo.P45Dの違いそのものですが、FUJIの場合はあえて品番を変えなかったということは、同時期に2種類のタイプが売られていたわけではなくて、コストが上がった分、後のモデルは組立コストを削減して簡単な作りになったということなのでしょう。学生尺は1本しか買うことは無いから別に文句も来ないだろうということでしょうか?(笑)こういう途中での変更ということはよくあり、HEMMIでも8インチのNo.P45Kという、竹製のNo.45Kをプラスチックにした技研OEMの計算尺がありましたが、どうやら学生用の安価な計算尺としてはコストが合わなくなったのか早々に姿を消し、組立コストが安そうなNo.P45SとNo.P45Dにモデルチェンジしましたが、この前期型のFUJI No.82-DはHEMMIのNo.P45Kの構造そのものなのです。おそらく学生計算尺という値段の制約がはめられていたために同一品番でありながら裏の目安線がなくなった後期型にいつのまにか変更されてしまったのでしょう。そのあたりは末尾のSとDで品番を変え、価格も異なるHEMMIの企業姿勢の方がノーマルですが。この前期型・後期型にはケースの違いもあるようで、色合いは同じ緑キャップに白ボディのブロー成形ケースながら前期型は筋目模様、後期型は荒い皮しぼ模様のケースです。筋目模様のケースは40年代半ばから後半に掛けての製品に、荒い皮しぼ模様のケースは50年代になってからの製品に付属したような感じで、この違いはNo.1280系両面計算尺にあっても同様です。
 この計算尺の出所は静岡県内の一地方都市からでした。外箱も説明書も揃った未使用品とおぼしきものでしたが、ビニールの袋には入れられてませんでした。滑尺が薄い緑の成形色になっており、上下尺を止めるブリッジも薄い緑の樹脂パーツです。片面計算尺でありながらバックプレートが無くてブリッジのみで止められるという手法は、まるでプラの両面計算尺P253のようですが、この樹脂のブリッジを馬蹄形にしてそのUの字の部分に目安線を引いた透明プラパーツを配しており、両端に目安線があることで、片側にしかない一部のFUJI 8インチ尺よりも高級です(笑)しかし、HEMMIのP45Kが短時間で姿を消してP45SおよびP45Dになったようにコストがどんどん上昇して、北海道方言で言うと「マカタしなくなった」んでしょうね。その証拠か外箱に定価改定でシールが貼り付けられて¥840になってます。その下にはいったい幾らの定価が書かれていたのでしょうか(^_^;) しかし、学生用の8インチ尺のくせに、こいつは生意気にも尺の右側にすべて数式が刻印されているんですね。さらに裏側に13cmの正・逆目盛を持つスケールまであります。プラ尺ですけど滑尺はスムースに動きました。最初に手にした50年代以降のNo.P45Dの滑尺の動きがあまり良くなかったので、プラ尺の印象は当初あまり良くなかったのですが、不思議とその後プラ尺で動きの悪い物に行き当たりません。もしやと思ってイタズラ心を出し、P45Dの滑尺をはめ込んでみようと思ったら、P45Dの滑尺の方がほんのわずかに細くて、共用は叶いませんでした。やはり基本設計自体が異なると見えます。8インチ尺故にK尺の目盛が疎だったりC尺D尺の4から5が1/20刻みだというように精度的に10インチ尺に敵わない部分はありますが一通りのゲージマークも備え、見かけはNO.2125-Dの弟分といってもいいほど。しかし、サブセットというには大きすぎでせめて6インチで細密目盛だったらもっと違う使い方が出来たのでしょうが、学生尺なのでしかたがありませんね。説明書の出だしがNo.88と同じために、CIFの説明を無視して同じものを付けたのかと思いましたら、さすがに内容は異なってましたね(笑)
Fuji82d
 HEMMIのNo.2664Sとまったく同じ尺配置です(^_^;)
グリーンCIFではありませんが、そのかわり滑尺が薄いグリーン。こっちのほうが華やかです(笑)
更に豊富なゲージマークを備えます。
FUJI No.82-Dの表面拡大画像はこちら
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September 19, 2006

ユニークな電気尺 RICOH No.157

Logo157  三愛計器時代のRELAY計算尺はだいたい昭和29年あたりから飛躍的に輸出が増え、OEMブランドがHEMMIと比べてもかなりの数に上ったということは、スポット的な契約を含めて節操なく計算尺でドルを稼ぎまくったような感じです。有名どころではPICKETやTRIOのアメリカ総代理店だったLAFAYETTE、ドイツの総合文具メーカーSTAEDTLER-MARSなどの名前も見受けられます。初期のRELAY計算尺は、その殆どが代理店の要求によって設計されたような感じで、そのため初期の両面計算尺の中にはHEMMIにないユニークさを備えるものがあります。今回入手したNo.157両面電気用計算尺もそのユニークな両面尺の代表格の1本です。
 HEMMIの両面計算尺の始祖はNo.150ですが、RELAYの両面計算尺の始祖も同じNo.150という計算尺です。この150から始まった両面計算尺シリーズは151から154までが尺数の多い少ないがありながらもLOGLOG尺、155が経営管理尺、156が電気(電子)尺、158から159までが電気尺というようなラインナップになっています、このなかで151と159が延長目盛付きでオフサイズの長い計算尺です。この150番台シリーズはいくつかがRICOH時代になっても継承されますが、その中でも156あたりはNO.2506に、158あたりはNO.2509あたりにモデルチェンジしてより機能が強化されたようなものもあるようです。
 ところで、古いRELAYの計算尺には片面計算尺にはR-とかB-とかのアルファベット1文字が、両面尺にはDT-とかDB-などの2文字が付くものがありますが、これは基本的に2文字の頭Dは両面尺の識別記号、その他Tは一般・機械技術用、Bは一般・事務用、Eは電気用、Aは土木用、Sは特殊、Rは学生用、Kは教授用なんだそうで、数字の部分の最初は長さを表し、その後ろは品番なんだそうです。それにしても結局作りもしなかったカテゴリーがあるなぁ(^_^;) しかし、DT-1015なんかがあまり見られないのはその後、頭のアルファベットの組合せを廃止してしまったからのようですね。また、このアルファベット付きの品番は輸出用の計算尺の品番なんだそうですが、その真偽は定かではありません。でもその基本的な部分が後の計算尺の品番にも現れてますが、RICOHのNo.2506という型番はもはや20インチ尺の意味ではありません。自動車の7ナンバーが本来の意味を失って2,000ccまでの小型乗用車の種別になったのと同じ事ですか(笑)また、アルファベットの種別が頭に付いたRELAY時代の計算尺は、すべて輸出向けに用意された機種との話もありますが、国内にもアルファベット付きのRELAY尺がありますから、一概にそうとも言えないようです。もっとも団塊の世代が中学や高校に進学するまでの間は、RELAY計算尺の生産の殆どは「ダブルスター」印で輸出向けに生産され、国内向けにはあまり力を入れていなかったような様子がうかがえますが。
 今回入手したNo.157は三愛時代のRELAY計算尺昭和34年のカタログにはもう掲載されていて、その時代はカーソル枠がなく、カーソルのブリッジがストレートタイプの四角いカーソルが付属していましたが、すぐにRICOHにも継承されたカーソルブリッジがラウンドタイプの大ぶりなカーソルにマイナーチェンジします。あまりにも個体数が少ないので後にカーソル枠付きのものになったかどうかは確認できていません。尺種類は表が Sr,Sθ,P',P,[Q,CF,CI,C]D,DF,LL2.LL3で裏がSh2,Sh1,A,[B,K,Th,C,]Tr1,Tr2,dBの22尺ですが、表滑尺のC尺末端に延長部分を赤目盛で設けて赤字のLL1'としているのですがどう使うのでしょうか。何がユニークかというとこの計算尺はπ切断ずらし尺なのですが、滑尺表の普通は上固定尺の下に鎮座するべきDF尺が下固定尺のD尺の下位におかれていることです。普通はDF尺CF尺のあるべき場所にP尺Q尺がおかれているからなのですが、CF尺とDF尺の距離が離れたために、必然的に読みとり精度が低下したはずです。電気尺は一般計算より位相とか力率とかそういう計算のプライオリティが高いとでも考えたのか、それにしてもこんなレイアウトの両面計算尺は他に知りません。P尺の逆数尺も備えていますが、三角関数系の数値はすべて表の上固定尺で計算するようになっているようです。Sinがラジアンとシータの両方で換算無しにそれぞれの尺を備えるのは便利だけど、所詮あたしゃ発電・送電系じゃないから使いようがないなぁ(^_^;) 裏は主に双曲線関数とラジアンで目盛られたタンジェントの計算がメインのようですけど、こっちも当方にはあまり関係ない分野です。まあ、電力系の計算に関してはかなりよく考えられて作られており、こと電気数学に関しては一般の計算の比重が高いHEMMIのNo.255Dを遙かにしのぎます。どちらかというとHEMMIのNo.153のアドバンスとして設計されたような感じがします。それゆえにある程度専門知識がないと使いようがないのは、どの専用系計算尺の場合でも同じでしょうか?(笑)
 入手先は教育県である長野の南部、伊那谷からでした。代理入札業者の餌食になりかかりましたが、すんでのところで捕獲しました。157だったらアメリカの方が数があるはずなのに(^_^;) 残念ながら最初からケースがありませんでした。RICOH時代のものですが、ちょうど透明な塩ビのケース時代のもので、ケースがバラバラに風化してしまったのかもしれません。赤蓋ベージュのRICOH初期の貼箱だったら残ったのでしょうが、塩ビの透明ケースが付いていたと推理するとだいたい昭和40年から42年にかけての製品だと思われます。というのも製造刻印をいくら捜してもあるべき所に打刻されている様子がないのです。25倍のルーペで拡大しましたがわかりません。40年選手ですから煤けてはいましたが、セルはまったく黄変しておらず、それでなくとも傷が付きやすいこの手のカーソルにしては奇跡的にもすり傷も認められませんでした。ほとんど使われたこともないようで竹の断面もまったく汚れておらず、滑尺も何もせずにスムースにスライドする上の部類でした。そのため分解もせず軽くパソコンクリーナで磨いただけで終了。このNo.157は横幅こそNo.1053と同じHEMMIの普通の両面尺より2ミリほど幅広の計算尺なのですが、同じRICOHでありながらNo.1053よりも若干長さが長く、1053が32.2cmのところをNo.157は33.2cmと1cmほど長い計算尺となり、さらに長いNo.151がありますので、RELAY/RICOHの10インチ両面計算尺は長さだけでも3種類が存在したことになります。そのためケースが共用出来ませんが、成型品の塩ビもしくはポリエチレンのケースはすべて蓋の長さで寸法を合わせていたようです。オーバーレンジ付きの151はともかく、10インチ両面尺は1種類に長さを統一出来なかったのでしょうか?
 帆布のようなジーンズ地の端切れを買ってきて自作した10インチ両面尺用布シースの試作品が1本空き家だったので、それにめでたく納まり一件落着。あたしゃミシン掛けも意外と得意なんです(笑)連休中には、貼箱も自作する気も失せてそのままうち捨てられていたNo.P24用の専用布シースも自作してしまいましたし(^_^;) コーデュラナイロンの原反とベルクロの巻き、ロックミシンさえあれば計算尺用のナイロンシースも量産出来るんですが、手間賃込み10インチ用シース1個1,000円は高いかしら?
No157
 ずらし尺を使用してその答をD尺下のDF尺で見るというのは、けっこう感覚的に「気持ち悪い」とはいいませんけど、操作が異なるので妙な気分にさせられます。差詰め、アクセルペダルが真ん中に鎮座するT型フォードにいきなり乗せられたようなものですか(笑)
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September 15, 2006

戦前のHEMMI No.40学生用

 Logo40 HEMMI製10インチ・マンヘイム型片面計算尺の系譜は大正時代のJ・HEMMI No.1から始まり戦前戦後のNo.40からNo.40RKと綿々と受け継がれ、昭和40年代末まで作られました。それを考えるとモデルチェンジはありながらも一番長生きした計算尺の系譜だということも出来ます。また、このマンヘイム10インチ尺は戦前戦後と通じてもっとも多くの代理店OEMブランドとして外貨を稼いでくれた優良商品だったようです。今回のNo.40は「"SUN HEMMI"」時代の物になりますが、この時代はまだ√10切断ずらし尺などというものが一般的ではなく、こんな簡単なABCD尺でも貴重なものだったため、後のNo.40RKのように「練習用」というような不当な扱いではなくもっと高尚な計算尺だったのでしょうが、多くは「旧制中学校」で使用されたもののようです。PAUL ROSS氏によると、この戦前のNo.40は昭和7年から戦後の昭和24年まで作られたようで、昭和24年にCI尺とK尺が加わったNO.40RKに生産がシフトされたようですが、だんだんとずらし尺を備える中学生用8インチ尺などが登場してNo.40シリーズはコンセプトが曖昧になり、「練習用」などというタイトルが付けられ、さらに他の中学生尺同様にプラカーソルにマイナーチェンジしながら40年代後半まで作られています。
 さて、オリジナルのNo.40はABCDの4尺しかない計算尺ですが、「CI尺がないとかけ算はどうやるんだ?」と真剣に悩んでるあなた、「対数を利用してかけ算わり算を行う」という基本原理を忘れてますぜ(笑)かけ算にCI尺は要らないはずなんですが、連続計算の利便性を追求するあまり、逆C尺のCI尺が出来たのです。2×4だとするとD尺の2の所にC尺の1を合わせ、C尺上の4の所にカーソルを合わせてその位置のD尺の数値を見ればいいわけですな。「それじゃC尺の5以上は目外れするけど、どう計算するのか?」という声が当然上がるでしょうが、そう言うときはD尺上の2にC尺の1ではなく右端の10を合わせればいいのです(^_^;) わり算は逆をたどれば良い訳ですね。 これがC尺D尺のみでかけ算わり算をする基本ですが、こういう操作が面倒くさいので、だんだん逆尺とかずらし尺が増えていったわけで、だんだんと過保護になりすぎて、いきなりABCD尺しかない計算尺を渡されたら面食らう計算尺コレクターがいるんじゃないの?こういう計算尺を渡されて「わり算は出来ますがかけ算が出来ません」じゃ恥ずかしいかも(^_^;) 当然AB尺上でも同じ事が出来るわけですが、CD尺で位取り計算するよりも精度的に劣るわけです。そういえば日本の計算尺にはあまり見当たりませんがW1尺W2尺とかいうものがあって、確かW1が1からπまで、W2がπから10までの1から10を2本の尺でカバーするようになっていてより高精度の計算を出来るようなそういう目盛だったような。実際にいじったことがないので確証はありませんが。まあ上には上があるもので、20インチの超精密計算尺の中には1から10までの一つの尺度を4本のパートに分割して尺種類を設定している物もあるようです(@_@;) でもまあ、ABCD尺で裏が三角関数の10インチマンハイム尺のシンプルさに敵うものはありません。
 このNo.40は神戸から入手したNo.254Wのおまけみたいな物でしたが、こっちとしてはこのNo.40の価値割合が意外と高いのですけど(笑)「"sun"」のマーク付きですから当然戦前尺と解釈していいはずなのですが、大戦前のものなのか戦時中のものなのか、それとも戦後すぐのものなのかの判別が難しいところです。本体に「made in JAPAN」の刻印が無かったので戦時中の製品かと思いかけましたが、箱に型番のNo.40というシールが残っていて、その中にmade in Japanが入っており、裏の換算表は全て英語表記でしたので、大戦前の製品だと解釈して構わないでしょう。後の貼箱のように四角いケースではなく一枚のボール紙を丸めて作られたような楕円の断面を持つ貼箱です。さすがは流線型時代の産物(笑)表面は昔の辞書の表面のような黒革もどきの紙です。トレードマークは銀の箔押しでした。後のNo.45あたりと同じようにセルロイドが張っているのは表面だけで、後は竹の断面が見えていますが、ここいらがセルロイドで覆われたNo.47と違うところか、カーソルの滑りが今となっては今ひとつです。さらにカーソル枠を作ったプレスの型屋の腕があまり良くなかったと見えて、カーソル上の枠の下端が水平になっていません。もっともこんなものはカーソル線の垂直が出ていれば計算精度には係わる箇所ではありませんが。新しいNo.45Kあたりと違ってまんべんなく飴色と化したニス塗りの竹の部分の風合いは、さながら室内ニス塗りの旧型客車の内装みたいで時代を感じさせるものです。裏に1-4 某というようにクラスと名前が毛彫りされていました。おそらく旧制中学の1年になって購入したものでしょう。元の持ち主も生きていれば80歳近いはずですが。
 そういえばこの戦前のNo.40は身幅が戦後の中学生用計算尺で市場に溢れている8インチのNo.45と同寸ですから、当然のことカーソルもそのまま流用出来ました。カーソル無しの戦前計算尺でもNo.45からカーソルが流用できるのはありがたいのですが、45Kのプラカーソルが使えるかどうかは試していません。というのは手持ちの45Kを上級アマ受験者2人に上げてしまったからなんですが(笑)
No40
HEMMI No.40(戦前型)表面の拡大画像はこちら
HEMMI No.40(戦前型)裏面の拡大画像はこちら

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September 14, 2006

HEMMI No.254W 高校生用尺の疑問

 今年になってから通信技術用の計算尺であるHEMMIのNo.256が頻繁に出てくるようになり、さほど希少尺でもなくなってしまったのにも係わらず、いまだに入手出来ていません。電子工学用のNo.266ほど使いである計算尺ではないのですが、一応通信士・無線技士の端くれですから持っていないというのも沽券に係わります(笑)でも、1人で2本も3本も確保している人がいて、あたしゃその理由がわからない(^_^;)そういえば海外のオークションで1本、No.266が出ていて、タイトルに機種名が付いていなかったため、どれくらいで落ちるか経過をワッチしていたところ、40ドル付近で最後までいったため、どうなることかと思ったら、ラスト10秒で330ドル近辺を付けた2人が突然現れ、10秒間の急展開で結局339ドルで終了というのがありました。最後の10秒で300ドルもつり上がるのも恐ろしいものですが、今回のNo.254Wもラスト10秒でたまたま落札した計算尺なのです。もっともこちらは他に1本の合計2本でたかだか20ドル少々の争いに過ぎませんが(笑)
 このHEMMI No.254Wは先週入手した珍尺、No.254W-Sの本家であるノーマル型で、高校生用の計算尺です。フルLOGLOGデュープレックスというわけではありませんが、P253にマイナスのLL尺を追加したより高機能な計算尺です。外国製計算尺ような上下同寸の形態といい、新しいデザインのケースやオーバルマークといい、旧来のHEMMIらしさを感じさせない計算尺です。しかし先発の両面尺P253がありながらなぜ254Wの発売に至ったのかということを考えると、HEMMIの計算尺を学校関係に一手に取り扱っていた内田洋行の意向がかなり反映されていたというように見るべきでしょう。刻印「OA」のものが確認されていますので、製造開始は昭和38年末から39年初旬と思われます。たぶん昭和39年度の新学期向けの生産開始だったのでしょう。またこのNo.254Wは前期型と後期型があり、前期型は固定尺上下同寸型で、後期型は上固定尺が短い普通の両面型の形態になっています。双方とも普通に見かけられますが、割合的には前期型の方が若干数が多いような印象です。殆ど内田洋行経由の高校向け計算尺みたいなものなので、外国に輸出されたことがなく、それゆえ海外のコレクターの需要が高いためか、他の高校用計算尺とともに代理入札業者の手で海外流出することが多いようですが、さほど高額で落札されるような計算尺ではありません。後のNo.254WNのように刻印違いや文字の色違いなどがあまり話題にされることはありませんでしたが、年代別に細かく観察するとゲージマークの追加や目盛単位の変更などの違いがあるかもしれません。また、No.254Wというネームの物はすべて√10切断ずらし尺装備で、これは計算尺検定試験や計算尺競技も視野に入れてのことだと思いますが、特にπ切断が必要な分野には前出の電気電子スペシャルのNo.254W-Sがあります(笑)
 入手先は神戸からです。戦前のNo.40がセットになっていましたが、年代差からいって同一人物の持ち物ではないでしょう。箱は赤蓋でベージュっぽいクロスの貼箱に入っていましたが、片面がきれいなのにどういう訳か反対側の角がはげちょろけ。なんかネズミが囓ったような貼箱でしたが、中身は比較的にきれいでした。刻印は「OK」ですから昭和39年11月製。40年度の新学期に向けて準備された製品のようです。ひとつ気になったのですが、この上下固定尺同寸のNo.254WはC尺D尺の4から5までの目盛の切り方が1/20と1/50の両方あるようです。今回のOK刻印は1/20で0.5単位の目盛間隔が広いタイプでしたが、KIMさんのHP上にある254WはOB刻印なのに明らかに1/50の0.2単位の物のように見えます。ということは、後から細かい1/50に目盛の切り方を変更したのではなくて、どうやら当初から同一型番で違う目盛の切り方が混在していたということになるのですが、その理由がいまひとつわかりません。ちなみに刻印 PIの254W-Sは裏も表も1/50で0.2刻みの細かい目盛でした。さらに後の上下同寸でない普通の形態になった254Wにもこの2種類の目盛単位が混在しているようですが、もしかして需要期の新学期を迎える前は254Wの目盛を刻むラインがパンクして、他のLOGLOG尺の型を流用して間に合わせたためにこういう混乱が生じたのかもしれません。とはいっても√10切断の似たような計算尺ってあったかしら?う〜みゅ、わからない。No.254Wの上下同寸初期型にあってはどうやら4から5が1/20刻みのほうが多い様な感触ですが、特に検定試験用を意識してP253と同様な1/50刻みの方も学校側の要求によってチョイス出来たのでしょうか?誰か、お〜せ〜て(C)小梅太夫
 さて、「ゲージマークの違い」うんぬんの可能性について書きましたが、表のLL尺があるほうのC尺D尺にはCマークはおろかπマークもありません。これは表のC尺D尺にありとあらゆるπ関係マークがおごられた254W-Sに対して激しく不満なのですが、裏のC尺D尺には2664Sと殆ど同じ種類のゲージマークを備えます。これだけだと電気系の学生には少し使いにくいかもしれません。ところが何と254WでC尺D尺の4から5が1/50刻みになっているものはちゃんとC尺上にπがあるじゃあありませんか?(@_@;) ということで結論としてNo.254Wの上下同寸型には4から5が1/50刻みでC尺上にπマークのあるものと、1/20刻みで表にまったくゲージマークのないものの2種類が同時期に存在した。その理由は今のところ不明、ということです。
No254w
 いろいろと疑問の多いNo.254W高校生用計算尺
HEMMI No.254Wの表面拡大画像はこちら
HEMMI No.254Wの裏面拡大画像はこちら

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September 10, 2006

HEMMIのプレートドライバー

Hemmi_driver  このプレスの板は、今流では「キーチェーンドライバー」とでもいうのか、HEMMIのオーバルマークを模したプレートドライバーで、前出のNo.254W-Sに入っていたものです。付属品としてこういう物が入っていたという話はあまり聞いたことがないので、ある特定の年代の計算尺に景品として付けられたものでしょうか?良く刃先が楔状に尖っているマイナスドライバーを使ってネジの溝が崩れたり傷ついたりしている計算尺がありますが、さすがは計算尺専用に作られただけあって、エッジの形状と厚みが固定尺ネジとカーソルネジに最適になっており、これを使う限りはネジの溝を崩すリスクが極力防げそうです。プレスの型抜きで刃先の成形含めて2工程くらいの簡単な物ですけど、いつ頃に配られたものでしょうか?昔、ローマ帝国時代、キリスト教徒が迫害されていたペテロの頃に、お互いに「魚の型」を見せあってキリスト教徒であることを確認しあっていたようですが、隠れキリシタンならぬ隠れ計算尺信奉者は、携帯ストラップに吊したり、キーホルダーに吊したHEMMIマークのプレートドライバーを見せあって、お互いにヘンミロイドであることを確認しあうなんていうのは如何でしょう?(笑)それにしてももっと市場に沢山欲しいアクセサリーですね。実家がプレス屋さんの人、誰か作らない?(^_^;)

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September 05, 2006

珍尺 HEMMI No.254W-S

Logono254ws 計算尺マニアの諸氏の「めずらしい計算尺」いわゆる珍尺に対する価値基準はそれぞれでしょうが、当方の眼鏡にかなった珍尺として取り上げたのが今回のNo.254W-Sです。ご存じのように誰もが欲しがるNo.149AやNo.266などの計算尺は、結果的に高額な落札金額になりますが、決して珍しい計算尺ではありません。それゆえに誰しも「珍尺」のカテゴリーには入れないと思います。いわゆる珍尺とされるものは、カタログなどには載っていながら製造数が少なかったためか中古市場で見かけることがないもの、もしくは存在は知られているもののカタログにはないもの、さらにカタログにもなく存在そのものが知られていないものの3つのパターンが考えられると思います。また、刻印などの違いでごく少数しか市場に出回らなかった物なども珍尺の要件を満たすと思いますが、要するにオクでも過去にまったく出てこないか、過去に1本だけ出てきてその存在が初めて知られたような計算尺が「珍尺」だと当方は解釈しております。中にはNo.274のようにその後、牛の涎の如く出てくる物もあり、珍尺落ちして希少尺入りしてしまう計算尺もあるようですが(笑)当方の所持計算尺の中には割と「希少尺」はあっても「珍尺」はありませんでした。でも今回入手した計算尺は存在を知ってはいましたが、現物は当方としても初めてお目に掛かる「珍尺」の類だと断定いたしますが、宜しいでしょうか?(笑)
 さて、HEMMIのNo.254シリーズは高校生用の計算尺として昭和30年代の終わり頃に登場し、一般向きにHEMMIの計算尺が生産されなくなった後も工業高校特納用として50年代半ばまで作られていたと言われる計算尺です。最初のNo.254WはHEMMIの計算尺としては非常に珍しく、上下の固定尺が同寸という形状で作られましたし、蓋が赤でボディがベージュというカラーの貼箱に入った、まるでRICOH No.252のような計算尺でした。フルLOGLOGではなかったものの、+と−のべき乗尺をそなえたことで、P253よりも高級な高校生用計算尺でした。おそらくこのNo.254Wがあれば計算尺検定1級に十分対応することが出来たのでしょう。しかしなぜかこの上下同寸尺という外国の計算尺に多い形態はのちに普通のHEMMI両面尺型(本来はK&E型)に改められます。更に三角関数尺が改められLL/0とLL0が加えられてフルLOGLOG両面尺になったNo.254WNにモデルチェンジし、そちらが昭和56年まで工業高校に納められた「らしい」という話は聞いております。最終型に近いNo.254WNはCIF尺がついにグリーンCIFになったという噂ですが、当方まだ現物にはお目に掛かっておりません。さて、初期型である254Wの中にSPECIALを意味する-Sが付く同名異尺が2種あるようで、一方の254W-Sは三角関数尺が後のNo.254WNと同じというだけ。もう一方のNo.254W-SはこれこそとんでもないSPECIALで、表こそ254Wと同じ尺種類と配置かと思わせておいて、何と滑尺にST尺が加わり、裏面は、254WがK,A,[B,TI,SI,C],D,DI,Lなのに対して、こちらは、KI,K,AI,A,[B,S,T,CI,C],D,LdB,P,DIという我が目を疑ってしまうようなとんでもない尺種類を備えてます。さらに驚いたことにはDF,CF尺が√10切断ではなく、π切断ずらし尺であって(末端に√10の延長部分あり)、これが果たして単なる工業高校生用計算尺であったかどうかも疑わしくなるような計算尺です。現物はかのPAUL ROSS氏のコレクションにもないようで、氏のHPではatomさんのコレクションの写真を引用してあるだけです。ROSS氏は254W-Sの製造年代にあっても70年代以降の生産と推定しているようですが、今回出てきた254W-Sはそれをずっと遡って60年代中期の製品になります。今まで数々のNo.254Wを見てきましたが高校生用ということもあり、さほどめずらしい物ではありませんが、海外には輸出されておらず、日本国内のみの販売だったこともあり、その殆どが代理入札業者の手によって海外流出しています。ところがその数々の254Wの中でもSPECIALを意味する-S付きは初めてで、さらに裏面がまったく異なるπ切断のものの現物は今回初めて見ました。しかも、K尺、A尺の逆目盛のKI尺、AI尺というものが付いている計算尺を他に知りません(RELAYの電気尺にKI尺があったかもしれません)。なぜそんな物を同一固定尺上に集めたのか、その理由を知りたい所です。さらにP尺やdBまで付いているとことを見ると、工業高校でも使う科を限定して製作したのかもしれません。たぶん電気とか電子関係の科かな?裏尺のC,D尺に珍しい1/2πのゲージマークがあって、こんなものはリアクタンスなどの計算用に相場が決まってますので、特別に「工業高校電気・電子科向き」のバージョンを作ったのでしょう。さらにはC,D尺上には2πはおろか一桁繰り上がって4πのマークまで刻印されています。ここまできたらちょっと過保護ですな(^_^;) しかし、特殊な関数がないので無線従事者試験にも使用できるはずです。
 入手先は大阪です。出品者が不動産屋さんで、管理を任された古家の処分品のなかにあったのがこの計算尺だったようです。この不動産屋さんも計算尺を使った口だというお話しでしたが、電卓の普及で計算尺が駆逐されたのにも係わらず、なぜ今どき計算尺を必要とする人間がいるのかを不思議がっていました(^_^;) この人がこの計算尺で儲けてやろうなどという気が更々なく、希望落札価格が設定されていました。そのため計算尺が出品されて数時間も経過しないうちに希望落札価格で捕獲したため、気が付いた人は計算尺のキーワードでアラート設定していた人だけではないでしょうか?希望落札価格が付いていなければどれだけ入札額がつり上がるかわかりませんが、まあ海外流失しなかっただけでも良しとしましょうよ<ALL(笑)珍尺といえるNo.264-Sのときは2万円まで行きませんでしたが、現物を入手出来なかったからとオークションの出品写真を自分のHPに使ってはいけませんや<某氏(^_^;) 最初に手にしたときの印象は、やたらに赤いなあということでした。それもそのはずで、逆尺が文字だけでなくすべて目盛まで赤で刻まれていることで、26尺のうち9尺が赤目盛なのです。その赤目盛の使い方が基本的にatomさんのコレクションらしきNo.254W-Sと異なりますので、もしかしたら未知のNo.254W-Sかもしれません。刻印は「PI」で昭和40年の9月製ですから御年41歳。ケースは赤蓋ベージュボディの初期No.254Wのものと似た貼箱です。このタイプのケースは不思議と他のものには使用されなかったようですが、コストが掛かるためか、後の254Wは青蓋のプロー成形ケースになり、254WN末期には茶皮もどきのビニールシースとなったようです。しかし、今回のNo.254W-Sのケースはどうやら初期のNo.254Wのケースと異なり、中のボール紙がやたらと厚く、壁紙のようなクロース張りケースで、青くオーバルのHEMMIマークが型押しされています。こんな高級なHEMMIのケースは初めて目にしました。このケースは赤蓋のNo.254Wのケースの中でも後期型になるようです。ケース自体は薄汚れていましたが、肝心の計算尺はカーソルグラスが黴っぽかっただけで、本体はパソコンクリーナでひと拭き、カーソルはレンズクリーニング液で磨いただけでおしまい。蝋引きも必要とせず手の掛からない計算尺でした。
 さて、なぜこのような特別なNo.254W-Sが作られたのかの理由ですが、当方が考えるにヘンミ計算尺の最大の代理店であり、学校関係に対して一手にヘンミ計算尺を取り扱っていた内田洋行の別注品だったのではないでしょうか?後のNo.254WN-Sにはしっかり内田洋行の商標である「KENT」の刻印がされたいわゆるダブルネームのものが確認されていますので、そうであるのならNo.254W-Sはヘンミのレギュラーモデルではなく内田洋行のみで扱われた可能性があります。その販売先も単なる工業高校ではなく工業高等専門学校の電気科もしくは電子科向きに作ったものの、それぞれ専門課程ではNo.255DやNo.266ならまだしもNo.254W-Sは中途半端だったために、結局は見本程度で大量発注されなかったモデルなのかもしれません。是非とも一度昭和40年前後の内田洋行の学校向け商品目録を見てみたいものです。
 しかし、こういう珍尺の類は一度出てくると続けてどんどん出てくるのが「お約束」みたいなものですから、いつまで「珍尺」と言い続けられるか、はなはだ疑問ですけどね(笑)
【追記】AI,KI尺を含む尺配置がまったく同じ他機種を見つけました。さて、いったいそれはどういう型番の計算尺でしょう? たぶん誰からも紹介されていない計算尺だとは思いますが(笑)
No254ws1

No254ws
 赤い目盛の集合体を見て、鉄ヲタのあたしゃ特急の「赤サボ」を連想しました(^_^;)
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September 03, 2006

HEMMI No.651技術用計算尺

Logo651  HEMMI No.651(技術用)という計算尺は何とも不思議な計算尺で、当方の無線従事者国家試験用としてお薦めの片面計算尺 No.2662の兄弟尺ながら、滑尺の表にB尺を持ってきたため、従来の片面計算尺の幅では納まりきらなくなり、B尺を加えた分だけ滑尺の幅を広げた計算尺です。そのベクトルはどうもFUJIのNo.2125に向かっていることは容易に想像できるのですが、No.2662がごく普通に見かけられるのに対して、No.651は殆ど見ることが出来ませんし、返ってFUJIの2125シリーズの方が市場では多く見かけます。共に検定用計算尺を目標に発売されたようで、高校生の計算尺競技会などでのスピード勝負を主眼に、片面尺なのに思いっきり表に必要な尺数を増やしたらこうなったという事でしょう。数が少ないためにオクでも見かけることが本当に稀な計算尺ですが、どうやらほんの短い期間しか生産されずに、モデルチェンジされてしまった計算尺らしいのです。そのために説明書はNo.2662とNo.651の共用のため、世の中に短冊形と冊子型の双方の説明書がたくさん出回っているのに、本体が文具店などのデッドストックで発見されることもないようです。又、検定用という用途からか海外に輸出されることもなく、このNo.651とモデルチェンジ版No.641はそろって代理入札業者の手によって海外のコレクターへ流出するという典型的な計算尺です。どうやらオーソドックスな竹にセルロイドを被せた素材で、構造もNo.2664Sを踏襲したバックプレートと固定尺をピンで接合したものであるため、生産コストが合わなくなってプラスチックを多用したFUJIの2125に近いネジ接合のNo.641にモデルチェンジしてしまったのでしょう。No.641は兄弟尺の9尺装備であるNo.640S同様に比較的容易にデッドストックとして発見されるようです。No.641の説明書は初期の物のみNo.2662 & 651用の冊子型の物にオレンジの補填説明のペラが1枚付いていただけのものがありましたが、後にNo.641専用になりました。No.640SとNo.641およびNo.2662はどれもCIF尺がグリーンに色分けされているのにも係わらず、なぜかNo.651が字赤目盛黒のままなのは、時期的に見ても理由がわかりません。片面尺なのに幅広計算尺ですから片面計算尺用のケースに納まらずP253などと同じブロー成形の角丸青白ケース入りでした。
この構造の変遷というのがそのまま技研のNo.251からFUJIのNo.2125にもそっくり当てはまり、技研No.251からFUJIのNo.2125の初期まではオーソドックスなHEMMIの片面尺をそのままプラスチックに置き換えたパックプレートピン接合タイプの厚い計算尺が、いつのまにかネジ接合の薄いタイプのものになって製造面でコストダウンされます。その流れがそのままNo.651からNo.641に当てはまるのですね。そこには何らかのFUJIの介在が考えられますが、HEMMIのこの手の計算尺は最後までセルロイドと竹を組み合わせた固定尺及び滑尺でした。FUJIと違ってオールプラスチックに踏み切らなかったのはプラスチック加工の技術的な問題よりも重量軽減の為でしょうか?でも何となくFUJIからバックプレートの供給を受けたか、もしくは山梨で組み立てたのがNo.640SとNo.641だとすると、No.651は紛れもない純粋なHEMMI和光工場製と言えますが、カーソルはもしかしてFUJIから供給を受けたかもしれません。カマボコ状になって、若干レンズの効果があるのがFUJIっぽくて怪しいのですが、しっかりHEMMI JAPANの刻印は付いています。どうせだったら金属枠のガラスカーソルを作って欲しかったですけど。そういやポケット尺や学生用尺を始めとして、プラスチックのカーソルはまとめて山梨からパーツの供給を受けていたのかも。
 入手先は横浜のリサイクルショップからでした。ここ1年の間にこちらのレーダーに引っかかったNo.651はたったの1本で、それも例によって代理入札業者の手によって海外流出したはずですが、今回はなぜか誰の網にも引っかからなかったのか、あっさりと開始価格で落っこちてしまいました。当方、No.651は希少品だと思うのに何か信じられませんでしたが、おかげで同時期HEMMI片面尺の8尺から1尺ずつ増えて11尺のものまで、No.2664S、No.2664S-S、No.2662、No.651と4種類全て揃いました。この中でNo.651のみ絶対に手に入らないと思ってましたから、何となくうれしいなぁ(笑)届いたNo.651は青白のプロー成形のケースもまったく汚れておらず、本体も経年変化でまんべんなくセルが黄色みを帯びている以外はまったく手を加える必要のない極上品でした。プラスチックのカーソルに殆ど擦り傷さえありません。製造刻印は何と「PL」でした(@_@;) No.651というと昭和43年以降の製品かと思いきや、昭和40年12月にはもう製品として出回っていたんですね。さらに裏の換算表はネジ止めされています。30年代のNo.2664Sなどの手法と同じですが、後のNo.651は換算表のネジ止めがやはり省略されていました。ゲージマークがCとπ以外はまったく見当たらず(滑尺裏のC尺にはあります)本当に競技用目的のような感じの計算尺ですが、常用尺としてはちょっと物足りないですねぇ(^_^;) 同じ11尺装備の片面尺としてはFUJIのNo.2125-Dのほうが、各種ゲージマークが豊富で、しつこいくらいπマークがいろんな尺に刻まれており、幅広で尺配置にも十分余裕があり、本当に無線従事者国家試験に使うんだったらFUJIのNo.2125-Dですけどね。ケースの裏側にクラス名と名前を消した跡がうっすらと残っていました。高校に入ってからなぜNo.651なんかを選んでしまったのか、尋ねてみたいような気がします。使用頻度から見たらやはり計算尺競技会の為だけに購入したのでしょうか?それだったら相当に気合いが入っていた証拠ですが(笑)次回はかなりの「珍尺」を公開予定。この珍尺、仕舞い込んでしまって自分だけ楽しもうかと思いましたが、そういうことがなかなか出来ない性分なもんで…(^_^;)
No651
HEMMI No. 651の表面拡大画像はこちら
HEMMI No.651の 裏面拡大画像はこちら


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