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November 16, 2006

FUJI No.108 電気用計算尺

 今回は珍しいFUJIの電気用計算尺です。このような特殊用途の計算尺が技研で製造されていたとは知っていましたし、FUJIのネームに変わってから生産されたものは話には聞いていましたが現物を見たのは初めてです。昭和38年ごろの技研カタログにはNo.2502として名前が載っていますので、そのNo.2502の後継モデルというか、単にブランドがFUJIの変わったためのモデルネーム変更がこのNo.108だと思います。而してそのオリジナルは誰が考えてもHEMMIの10インチ片面電気尺のNo.80Kでしょう。もっともこちらの技研モデルの方は尺の身幅がNo.2125と同じで余裕があるために、HEMMI No.80KのK尺を側面に持ってくるなどという手段は必要なく固定尺上部に配置するだけで済んでしまっていますし、更にNo.80Kでは滑尺裏に配置されたL尺も表に移動しています。オリジナルのHEMMI No.80にあっては、何と昭和の一桁代から存在する計算尺で、専用用途の計算尺としてはNo.153あたりの電気尺同様に、初期から作られ続けてきた専用系計算尺ということになります。FUJIのNo.108もHEMMIのNo.80K同様にA尺B尺とC尺D尺にオーバーレンジを備えています。また裏にはS,S&T,Tの配置ですから、これはシステムリッツということになります。さらに表の下固定尺にはLL2,LL3のべき乗尺があるのはNo.80K同様に片面計算尺では少数派です。Fuji108stpr
 今回のFUJI No.108の生産時期はおそらく昭和40年初頭で、以前入手した滑尺が白いNo.2125と同時期だと思われます。というのも2125を入手したときにはオリジナルだと断言する自信が無かったので、あえて触れませんでしたが、計算尺裏のネジ頭隠しの丸ゴムで滑り止めにすべき所を細長い長円形の波形ゴムを嵌め込むという構造となっていました。そのゴムが嵌る溝を加工するのも大変な仕事なので、酔狂な前オーナーの手仕事・手改造かと思ったのですが、今回のNo.108も細長い波形ゴムが嵌っていて、あまつさえ同時に出品されたNo.1280の固定尺を止める裏のプラスチックブリッジにも同様の波形ゴムが嵌め込まれ、ネジ頭隠しと滑り止めとされていたので、初めてFUJIブランド初期の計算尺のオリジナルの手法だということがわかった次第です。説明書ではわざわざ「すべり止めはめ込み」と記載されていました。しかし、さほど机の上に置いて使用する際に滑る滑らないの配慮は必要なかったようで、後の製造品は同一品番でも単なるネジ頭隠しの丸ゴムですし、竹製の計算尺には滑り止めなんか最初から最後まで無いため、余計な心配だったのでしょう。現にKIMさんの白いNo.2125は単なる丸ゴムの滑り止めになっています。
 しかし、電気用の計算尺と一口に言っても用途がいろいろありまして、HEMMIでいう代表的な電気用計算尺といえばNo.80K、No.153およびNo.255Dの3本でしょうか。このなかでもNo.80Kは電気でもどっちかというと発電・動力系の計算尺、No.153は電力送電系計算尺、No.250Dは一般電気技術系とでもいうように、電気技術用といえども微妙に用途の違いがあるような感じで、更にこの3本の計算尺は数字の大きな物が上位というわけではないようです。今回のFUJI No.108はHEMMIのNo.80Kそのものですから電気尺といえども発電所や工場などの発電機・電動機などを扱う技術者のための計算尺という用途のものなのでしょう。もっとも最近のインバータを使用して制御する電動機の時代にあって、基本設計が昭和の始めという計算尺では、いささか使う機会が少ないかもしれません。
 届きましたNo.108は、最近よく計算尺を出品される東京の方から落札させていただいたものでしたが、残念ながらカーソルがオリジナルの補助線付きのものではなく、後代の片面計算尺No.102のものが付いていました。カーソルがオリジナルかどうかには、この場合あえてこだわりませんが、しかしNo.102のカーソルは、溝加工の深さの関係か、バネの付いている方を下にしないと装着出来ないんですねぇ(^_^;) せっかくNo.102のカーソルは親指が掛かる部分が窪んでいて、カーソルを親指で動かす操作性を高めているのですが、この窪みが上を向いています(笑)また、最初からわかってはいましたが、この時代なら灰色のビニールケースもしくは緑の貼箱である内箱も欠品でした。このNo.108はA,B,C,D尺に延長目盛があるためにNo.2125シリーズより更に長い計算尺なので、No.2125の灰色ビニールケースには入りません。No.108は身幅もNo.2125よりさらに広く、後代のNo.2125-Dと同じです。逆尺度のCI尺と延長尺部分は赤く目盛られております。短冊形の「片面尺高級品用」と表紙に書かれた84ページにも及ぶ分厚い説明書が付属していましたが、記載の内容は後年のA4版「フジ計算尺説明書」と同じです。この説明書はRICOHの計算尺のように何種類かの計算尺に対応できるような汎用説明書となっていますが、技研からFUJIにブランドが変わった際に型番も変わった計算尺がいろいろと載っていましたので、この説明書だけでも値打ち物でしょう。さらにこの説明書を見るとFUJIが計算尺検定にいかに力を入れていたいたかがわかろうというもの。そういえば、この取り説によると電気尺No.2502はNo.108として存続していますが、土木・測量尺の技研No.2501の後継機種が見当たりません。HEMMIのNo.269の発売によってフェードアウトさせてしまったのか、もしくは単独の説明書が存在したのでしょうか?また後のNo.82-D系統のCIF尺装備8インチ計算尺は、主に中学生のための中級検定用計算尺なんだそうです。商品一覧を見ないと見えてこない事実も沢山あるようですね(笑)
Fuji108
FUJI No.108の表面拡大画像はこちら

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