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November 17, 2006

ラリー計算尺

 1960年代、国産乗用車の技術の進歩と共に日本でも一般のモータースポーツ熱も高まり、各地でラリーなどが盛んに開催されるようになりますが、当時はまだまだ一般サラリーマンが無理して購入できるのはスバル360を始めとする軽自動車くらいなもので、庶民にとってはCB-72やYDSなどの250ccオートバイにしても、今の感覚からしてみると高級乗用車を購入するようなものだったかもしれません。そのような中で国産車とはいっても410のブルやベレGを転がしてラリーにうつつを抜かすのはごく限られた金持ちのぼんぼん趣味だったようで、彼らがラリー参戦用として後付のトリップカウンタと共に指示速度修正計算とナビゲーション用に車内に持ち込んだのが手動計算機とラリー計算尺でした。この手動計算機にしても庶民が趣味で購入できるような金額のものではありません。車にしても手動計算機にしても親の会社の資産として購入されたものだったのでしょう。最近でもよくオクに「昔、ラリーに使用するために購入した」とされるパイロットのP-1あたりの小型手動計算機が出てきますが、やはり狭い助手席で使用するとなるとクランクが手前にオフセットされたP-1あたりが最適だったのでしょう。今では一般の計算用具同様にラリーも専用のラリーコンピュータが使用されるデジタルの世界になって久しく、手動計算機もラリー計算尺も使われることはありませんが。また、ラリー用の円形計算尺もアメリカからの輸入品(ちゃんとマイルとキロの両方の表示になっていたのでしょうか?)は当時1ドル360円時代で7千円くらいしたそうですから、HEMMIの両面計算尺よりも遙かに高価なシロモノだったようです。お金のない国立大の自動車部チームがラリー学生選手権(こんなものがあったのですね)にタイガー計算機はおろか、学校で使用している普通の計算尺とチャートしか持ち込む事が出来ず、金持ちの私立大自動車部のぼんぼん連中から笑い物になったという話も(^_^;)
 さて、このような特殊な趣味の世界に特化した計算尺ですが、一時期の一般モータースポーツ熱の高まりと共に数社から発売されていたらしく、とはいっても日本では計算尺屋さんから発売されていたのはコンサイスのラリーメイトくらいなものでしょうが、この種の円形計算尺は昭和55年頃から初期のラリーコンピュータが出てくるまで使用されていたようです。このバンブルビーという商標のラリー計算尺はそもそもE-6B系統のフライトコンピュータの円形部分を巨大化して思いきり簡単にしたような構造で、速度・時間・距離の計算に特化した円形計算尺です。コンサイスのラリーメイト(登録商標らしいです)は計算尺屋さんの設計ゆえ、それなりに高機能ですが、他のラリー用計算尺はレーシングメイトあたりのオートアクセサリー屋がどこかの町工場でアメリカはスティーブンスの製品をコピーさせたような簡単なシロモノです。このバンブルビー(BBB)というブランドは今でもフェローズというメーカによってモータースポーツウエアのブランドとして盛業中ですが、もちろんこの時代のBBBとはブランド名とマークは同じながらまったく違った会社なのでしょう。もしかすると製造元が同じOEMブランドのまったく同じ計算尺が何種類かあるのかもしれません。
 ラリー計算尺というのは「これは、互いの角度を固定できる2本の針をもった円盤式計算尺で、まず一方の針をルートマップ上のOMCPの距離の目盛りに合わせ、もう一方の針を自車がこのOMCPまでに走った時点でのトリップメーターの距離の目盛りに合わせて2本の針の角度を固定する。その後、最初の針を指示速度の目盛りに合わせると、もう一方の針が指す目盛りの速度が、自車が走行すべき速度になるというもの」ということで、オフィシャルの計測した距離と自車のトリップメーターの誤差を2つの針によって指し示すことで出すべき速度の修正をするための計算尺ということになるのでしょう。ラリー用の手動計算機と計算尺の使い方に関してはここが詳しいので、興味のある方はどうぞ。ここの記載によるとこのバンブルビーのラリー計算尺はアメリカのスティーブンスのラリー計算尺殆どそのものですな(^_^;) コンサイスのラリーメイトはオリジナルとII型及びDXの3種類があったようで、どれもアメリカはスティーブンスのラリー計算尺をアレンジした改良版とのこと。それにしても素っ気ない円形計算尺ですが、夜間走行時に細かい目盛を誤認するのを防ぐために、9インチという巨大な円形計算尺で、かつ目的以外の尺度を一切切り捨てた計算尺です。それにしても自車のトリップカウンターと実走行距離の誤差を計算して速度の修正を行う機能は、実生活ではやはり使いようのないものですが、速度と経過時間・走行距離の関係を連続的に見ることが出来るのはフライトコンピュータ同様にドライブプランの作成には便利かもしれません。でもまあ、今ではドライブコンピュータ並の機能を持つカーナビなんか普通ですから、普通の計算尺以上に現代では無用なものでしょうか(^_^;) Rally
 届いた円形計算尺は、薄々気が付いてはいましたが直径9インチのプラスチック製円盤で、その巨大さにせいぜい4インチ程度の円形計算尺を見慣れた目には驚かされましたが、目盛部分の直径は21センチですからその基線長は66センチにも達します。その目的が、普通の計算尺だと読みとり精度を高める目的と相場が決まっているのですが、ラリー計算尺の場合は視認性を高めるという目的のみだというのですから、流石は特殊用途の計算尺です。今回入手したラリー計算尺は本体にはメーカー名も原産国の表示もまったくなく、ケースのみに「バンブルビー」のネームとマークが入っていましたので、おそらく仕向け先によってケースの印刷だけ変えた兄弟がまだまだいそうです。ちなみにコンサイスラリーメイトDXは定価8,800円だったようですが、今回のようなスティーブンスの製品の丸コピ商品は5千円を切るくらいの定価が付いていたらしいです。それにしても当時としては「高価な」計算尺だったようで…。(下の計算尺は大きさ比較のための5インチHEMMI No.2634)

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November 16, 2006

FUJI No.108 電気用計算尺

 今回は珍しいFUJIの電気用計算尺です。このような特殊用途の計算尺が技研で製造されていたとは知っていましたし、FUJIのネームに変わってから生産されたものは話には聞いていましたが現物を見たのは初めてです。昭和38年ごろの技研カタログにはNo.2502として名前が載っていますので、そのNo.2502の後継モデルというか、単にブランドがFUJIの変わったためのモデルネーム変更がこのNo.108だと思います。而してそのオリジナルは誰が考えてもHEMMIの10インチ片面電気尺のNo.80Kでしょう。もっともこちらの技研モデルの方は尺の身幅がNo.2125と同じで余裕があるために、HEMMI No.80KのK尺を側面に持ってくるなどという手段は必要なく固定尺上部に配置するだけで済んでしまっていますし、更にNo.80Kでは滑尺裏に配置されたL尺も表に移動しています。オリジナルのHEMMI No.80にあっては、何と昭和の一桁代から存在する計算尺で、専用用途の計算尺としてはNo.153あたりの電気尺同様に、初期から作られ続けてきた専用系計算尺ということになります。FUJIのNo.108もHEMMIのNo.80K同様にA尺B尺とC尺D尺にオーバーレンジを備えています。また裏にはS,S&T,Tの配置ですから、これはシステムリッツということになります。さらに表の下固定尺にはLL2,LL3のべき乗尺があるのはNo.80K同様に片面計算尺では少数派です。Fuji108stpr
 今回のFUJI No.108の生産時期はおそらく昭和40年初頭で、以前入手した滑尺が白いNo.2125と同時期だと思われます。というのも2125を入手したときにはオリジナルだと断言する自信が無かったので、あえて触れませんでしたが、計算尺裏のネジ頭隠しの丸ゴムで滑り止めにすべき所を細長い長円形の波形ゴムを嵌め込むという構造となっていました。そのゴムが嵌る溝を加工するのも大変な仕事なので、酔狂な前オーナーの手仕事・手改造かと思ったのですが、今回のNo.108も細長い波形ゴムが嵌っていて、あまつさえ同時に出品されたNo.1280の固定尺を止める裏のプラスチックブリッジにも同様の波形ゴムが嵌め込まれ、ネジ頭隠しと滑り止めとされていたので、初めてFUJIブランド初期の計算尺のオリジナルの手法だということがわかった次第です。説明書ではわざわざ「すべり止めはめ込み」と記載されていました。しかし、さほど机の上に置いて使用する際に滑る滑らないの配慮は必要なかったようで、後の製造品は同一品番でも単なるネジ頭隠しの丸ゴムですし、竹製の計算尺には滑り止めなんか最初から最後まで無いため、余計な心配だったのでしょう。現にKIMさんの白いNo.2125は単なる丸ゴムの滑り止めになっています。
 しかし、電気用の計算尺と一口に言っても用途がいろいろありまして、HEMMIでいう代表的な電気用計算尺といえばNo.80K、No.153およびNo.255Dの3本でしょうか。このなかでもNo.80Kは電気でもどっちかというと発電・動力系の計算尺、No.153は電力送電系計算尺、No.250Dは一般電気技術系とでもいうように、電気技術用といえども微妙に用途の違いがあるような感じで、更にこの3本の計算尺は数字の大きな物が上位というわけではないようです。今回のFUJI No.108はHEMMIのNo.80Kそのものですから電気尺といえども発電所や工場などの発電機・電動機などを扱う技術者のための計算尺という用途のものなのでしょう。もっとも最近のインバータを使用して制御する電動機の時代にあって、基本設計が昭和の始めという計算尺では、いささか使う機会が少ないかもしれません。
 届きましたNo.108は、最近よく計算尺を出品される東京の方から落札させていただいたものでしたが、残念ながらカーソルがオリジナルの補助線付きのものではなく、後代の片面計算尺No.102のものが付いていました。カーソルがオリジナルかどうかには、この場合あえてこだわりませんが、しかしNo.102のカーソルは、溝加工の深さの関係か、バネの付いている方を下にしないと装着出来ないんですねぇ(^_^;) せっかくNo.102のカーソルは親指が掛かる部分が窪んでいて、カーソルを親指で動かす操作性を高めているのですが、この窪みが上を向いています(笑)また、最初からわかってはいましたが、この時代なら灰色のビニールケースもしくは緑の貼箱である内箱も欠品でした。このNo.108はA,B,C,D尺に延長目盛があるためにNo.2125シリーズより更に長い計算尺なので、No.2125の灰色ビニールケースには入りません。No.108は身幅もNo.2125よりさらに広く、後代のNo.2125-Dと同じです。逆尺度のCI尺と延長尺部分は赤く目盛られております。短冊形の「片面尺高級品用」と表紙に書かれた84ページにも及ぶ分厚い説明書が付属していましたが、記載の内容は後年のA4版「フジ計算尺説明書」と同じです。この説明書はRICOHの計算尺のように何種類かの計算尺に対応できるような汎用説明書となっていますが、技研からFUJIにブランドが変わった際に型番も変わった計算尺がいろいろと載っていましたので、この説明書だけでも値打ち物でしょう。さらにこの説明書を見るとFUJIが計算尺検定にいかに力を入れていたいたかがわかろうというもの。そういえば、この取り説によると電気尺No.2502はNo.108として存続していますが、土木・測量尺の技研No.2501の後継機種が見当たりません。HEMMIのNo.269の発売によってフェードアウトさせてしまったのか、もしくは単独の説明書が存在したのでしょうか?また後のNo.82-D系統のCIF尺装備8インチ計算尺は、主に中学生のための中級検定用計算尺なんだそうです。商品一覧を見ないと見えてこない事実も沢山あるようですね(笑)
Fuji108
FUJI No.108の表面拡大画像はこちら

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November 15, 2006

総務省のバナー広告

 今日、ネットオークションのポーダルを見てびっくり。何とネットオークションによるFRS/GMRSの蔓延に業を煮やした総務省が「無線機の購入には技適マークをチェック」なる電波適正利用キャラクターのデンパ君を使ったバナー広告をYAHOOに出し始めたではないですか。その広告をクリックすると技適マークのQ&Aという総務省の電波利用のページにジャンプするので、一応リンクを張っておきます。
 しかし、実際にモトローラなんかのFRSに引っかかってしまうような人に対して、果たして注意喚起になるかどうかは甚だ疑問なんですが、まあ電波法違反物件の取引の場所に注意喚起の広告を出したのは、行政の対応としてはなかなかのアイデアだと思います。
 当方、実際にFRS/GMRSの使用周波数をワッチすることはないので、当方の周辺にどれくらいこの手の違法トランシーバが普及しているかは感覚的にわかりませんが、けっこう近所の無線機屋にも「予備のバッテリーが欲しい」などと持ち込まれる事があり、その都度、違法であることを説明しているくらいなので、未だに電波法に違反するという意識がまったくないまま、レジャー用などとして所持されているケースがかなりありそうです。
 しかし「売るのは罪の問われず使う方が罪に問われる」という罰則適用の不公平を変えていかないと、なかなか違法無線機の蔓延は無くなりそうもありません。

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November 12, 2006

JAIAアワード到着

Jaia2006
 今年はJARDのアマチュア無線養成講習講師としての資格で夏のJAIAアワードボーナス局の推薦を受けてボーナス局運用を行ってました。養成講習講師の中には頼まれてボーナス局を引き受けたのにも係わらず、国内局となんか交信しないと曰う人もいるようで、ボーナス局にコールサインを連ねていても、まるで「幽霊ボーナス局」となっているコールサインもあるようです。相変わらずこちらは国内以外に電波が殆ど届かないというよりも、国内外の微弱電波が殆ど聞こえないショボ無線局ですから、夏場はせっせとお得意様の国内局に対してサービス運用に努めましたが、やはりアワードの申請もしておかないと、主宰のJAIAに対してもどれだけ交信したのかが見えてこないだろうと思い、別にアワードが欲しかったわけでないのですが、申請締切数日前ですから9月の末に「S」クラスでアワード申請書を一応提出しておきましたら、忘れた頃の11月1日付でJAIAアワードのSクラスの賞状が郵送されてきました。そのアワードに添えられてボーナス局運用に対する感謝の一言が添えられていたので、まあ単純ですが無理をしてでもデーター揃えてデーターを提出しておいて良かったなあというのが感想です(笑)
 でも紙切れはもらってもちっともうれしくないのは、どうやらアワード取得にはまったく熱心でないことの証拠のようです。無線をやっている人の中にはこの紙切れを取得するのに命を賭けているというか、紙切れを取得するために無線をやっている人がいかに多いことか。どうやら日常アクティブに無線をやっている人の殆どがこのアワードが大好きな人のような気がしますが、当方も未交信地を埋めていくゲームは嫌いではありません。特に夏場は6mでどれだけ空白地帯が埋まるかを楽しむ趣味はあるのですが、それは結果として受け入れてゆくだけで、より高位なアワードを得る目的で仲間と示し合わせて移動を掛けるわけではありませんし、さほど努力をするわけではありません。まあ、アマチュア無線という趣味も鼻先にアワードというニンジンをぶら下げられた方が活発にかつ長く続く人が多いのは確かかもしれませんが。

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November 10, 2006

RELAY No.84 学生用計算尺

 8インチの学生用計算尺は、外箱内箱と説明書が揃っていて未開封新品以外はどうも計算尺マニアに受けが良くないらしく、ほんの数百円の価値しか認められないどころか、その尺の持つ意味はわからずとも計算尺の目盛の複雑さを何となく鑑賞するというムード派計算尺マニアの多くは8インチの学生用計算尺をまったくスルーしてしまう輩も多いようです。なのにも係わらず、計算尺なら8インチ学生尺も10インチ技術用両面計算尺も同じように考えている出品者によっては、相場を無視した5,000円くらいの出品価格設定がなされる事もあり、そういうものはオクでは常に回転寿司のいなり状態で、常に出品されてはいるが買い手のまったく付かないものを良く見受けるのも8インチ学生尺です。当方、「無線従事者国家試験には8インチのHEMMI No.45K一本で十分」と主張しているくらいなので、それなりに筆入れサイズの8インチ学生用計算尺の真の有用性を認めてはいるのですが、本人の意思には係わらず両面計算尺の抱き合わせで8インチ学生尺の同一モデルが増殖してしまいがちなため、結局は上級アマ試験の餞別代わりに上げてしまうことの多い、手元に残らない計算尺であることも確かです。とはいえ、同一モデルが長い間大量に生産されるため、ケースや説明書などにも細かいバリエーションが存在し、同一モデルでもバリエーションを集めるのはさほど資本投下もいりませんし、面白いとは思うのですが、当方はそこまでのコレクターではありません(笑)
 さて、今回入手したRELAY時代の8インチ学生尺No.84ですが、刻印がJ.S-4ですから佐賀工場昭和36年4月の製造となります。このNo.84はRICOH時代にも引き継がれて実に昭和49年度の製造品まで確認されていますので、RICOHの計算尺製造撤退時までしぶとく同一モデルナンバーで生き残った計算尺ということになります。その間にケースだけでもRELAYの丹頂黒箱、RICOH初期のベージュ/赤でボデイが透明ビニールのシース、中期青/透明ビニールシース、末期の不透明厚手ビニールのボタン留めケースというような変遷があり、その間にカーソルも金属枠にガラスのカーソルからプラスチックカーソルに変わっています。まあ、これだけのバリエーションを持ちながら生きながらえたのは、一重に後のHEMMI No.45Kの尺配置を先取りしていたからに他なりません。このRELAY No.84の尺配置はK,DF,[CF.CI,C,]D,Aで裏が[S,L,T,]で、表CI尺が赤目盛です。この時代にHEMMIではまだK尺のないNo.45が現行品で、K尺が加わったNo.45Kにモデルチェンジするのが昭和37年らしく、K尺が加わった表7尺の8インチ学生尺はRELAY/RICOHのほうが先だったということになります。しかもNo.45がC尺D尺の目盛が1から2は1/50単位で2から3は1/20というおおざっぱさに比べると、No.84は倍の細密度になっていますので、値の読み取り精度はNo.45とNo.84では勝負になりません。ということで、RELAY No.84とHEMMI No.45の内容に差が出来てしまったために、K尺を付け細密目盛にしたNo.45Kが急遽発売が急がれたのでしょう。それにしてもK尺を追加してNo.45Kと命名するのもイージーですが、残念なことに増えたコストを少しでも軽減するためかNo.45Kになってすり傷には無防備なプラスチックカーソルが標準になりますが、これは後にNo.84の方も追随します。実はRELAY/RICOHのほうにはNo.83というπ切断ずらし尺装備の兄弟尺がありまして、尺配置もずらし度以外はNo.84と同一なんですが、No.84ほど長命だったわけではないようで、中古市場ではNo.84ほどは見つからない8インチ学生尺です。π切断8インチ学生尺というと、いかにもイレギュラーなシロモノですけど、そこがラインナップされていたところがRELAY/RICOHらしいじゃありませんか(笑)それにしてもRELAY/RICOHでもNO.81,82,84はごろごろしているのに、No.83だけは殆ど見たことがありません。HEMMIのNo.45の裏側には、たぶん輸出用と同じと思われる英語の換算表が付いているのですが、RELAY No.84のほうは漢字カタカナで書かれた換算表が張られており、この日本語換算表はHEMMIの45Kのほうにも継承されます。どうやらそれ以降の8インチ厨房尺の換算表は日本語表記が定着するようで、FUJIなんかの10インチ尺の換算表なども日本語表記でした。
 この計算尺は落札メールが来て初めて気が付いたんですが、最近RELAYの512と大串式体格計を落札した埼玉の人の出品でした。ケースの赤蓋が欠品でしたし、どうしても欲しいという種類の計算尺ではありませんでしたが、中身が割ときれいだったことと、あまりにも入札額が低くて気の毒だと思って420円ほどで入札したら110円で落ちてしまった計算尺でした。この方からは今回のNo.84を含めた計算尺3点でまだ450円の落札額にしかならなく、毎回ごと手間だけ取らせてしまって申し訳ないのですが、他の人が値段を付けないのですから仕方がありません。知らないで落札したら3回目の落札だったというのも、まあ一つのご縁なのでしょう。よく調べたわけではありませんが、このRELAYのNo.84は「I」刻印の昭和35年が生産初年だと思うのですが確証はありません。38年の始めに三愛計器からリコー計器に社名変更し、計算尺のブランド名もRICOHに変わり、その後昭和49年までNo.84は生産し続けられますので、全体の割合からするとRELAYのNo.84はRICOHのNo.84よりも圧倒的に数が少ないことになりますが、それにしても団塊の世代の中学進学あたりと重なりましたので、出回った量がかなりあり、残存率も高いような感じです。今回のNo.84は裏側にマジックインキでNo.19と書かれてました。以前この手の8インチ学生尺が30本ほど木箱に収納されたものがオクに掛かり、おそらく中学校の備品として授業で使われたものなのでしょうが、今回のNo.84も学校備品の一本だったのでしょう。授業で計算尺に触れる程度でしか使われなかったシロモノのようで、新品に近いようなコンディションの計算尺でした。しかし、学生用8インチ尺も後年には殆どのカーソルがプラスチックの一体成形の物になってしまいましたが、同一機種でガラスカーソルのものとプラカーソルの2本があったとしたら、ガラスカーソルのものを選んだ方が良いと思いますが…。Relay_84
RELAY No.84の表面拡大画像はこちら
RELAY No.84の裏面拡大画像はこちら
(裏面は画像加工してマジック書きのナンバーを消しています)

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