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December 29, 2006

HEMMI No.256 電気通信用計算尺

256 一般的にHEMMIの電子工学用計算尺No.266と近い用途だと考えられているようなHEMMIの電気通信用計算尺No.256ですが、その実力以上に価値を過大評価されているためか、そんなに希少な計算尺でもないのに高価な値段がつく計算尺の代表です。そんなNo.256は今年は12月までに8本あまりオクに出品され、出品頻度からしても完全に希少尺落ちしたNo.256でしたが、なぜか尽く最後の競り合いで落札を逃してしまいました。ところがおそらく今年最後の出品であろう9本目のNo.256をほぼ当時の定価に近い価格で入手したのですからヒルマン監督じゃありませんが「シンジラレナ〜イ」(^_^;) 待てば海路の日和ありでしょうか?(笑)とはいってもNo.256は無線系の技術者にとってはNo.266ほど「あれば便利」という程の計算尺ではありません。長らく緑の貼箱のものが市販されていましたが、紺帯の貼箱に変わって間もなくフェードアウトしたらしく、周波数単位の表記がMC(メガサイクル)のものはあってもMHz(メガヘルツ)の刻印になっているものはないようです。この点が計算尺末期まで残ったNo.266と異なり、No.266は昭和40年代中期から周波数単位の表記がMHzに変わっています。
 電気通信用計算尺として特徴的な裏面ですが、誘導性リアクタンスと容量性リアクタンスの尺があり、それなりにLとCの組合せで共振周波数の概数が読めたりするのですが、No.256の発売時期からして「5球スーパー」ラジオ時代の真空管時代の計算尺ですから、やはりトランジスタ回路時代に突入した時期に発売されたNo.266の「何でもかんでもてんこ盛り」状態の裏面から見るとやはり見劣りがします。化学をやっている人間がNo.257の原子量・分子量尺がまったく必要ないようにアマチュアを含めて無線技士系にはλとFの換算尺もいらないよなぁ(^_^;) こういうものは観念的に頭に刻み込まれているもんだし、それを除くと何があると便利な計算尺だというのでしょうか?まあ、電力何ワットから何ワットに減少したときに一体マイナス何デシベルに減衰したかという計算は電波でもオーディオでも付き物で、そのため表にDb尺があるのは電気尺なら当たり前でしょうし、こんなものかなぁ?No.256は昭和40年代前半には製造が終わっているようで、青蓋の塩ビケースに入ったものがありません。そのため、おそらく昭和39年末に出てきたNo.266が後継機種ということになるのだと思います。いちおう「電気通信用」と「電子工学用」という用途の区別がされていますが、本質的に使用対象業種に区別はなかったと思われます。ただ、日進月歩の電子工学系の世界に於いて、真空管ラジオの設計あたりの用途に使用される計算尺がトランジスタ時代の高周波回路の設計に便利かというと、さすがにそれは時代からして少々利便性に欠け、より利便性が高まったものに淘汰されたのは当然のことでしょう。電気・電力系の技術が完成されたものであり、電気系計算尺のNo.153が昭和一桁代から昭和40年代半ば過ぎまでそのまま作られたのとは一線を画します。このため、HEMMIの250番台両面計算尺中では唯一40年代半ば以降まで残らなかった計算尺のようです。流通在庫は残ったようで、今でもたまにそれらが発掘されたりしますが。
 今回入手したNo.256は茨城からでした。日立市ではありませんが茨城県下の日立企業城下町の一つに数えられる町で、その関係からこういうものが出てきたのでしょうか?意外にこういう企業城下町の文房具店あたりには計算尺のデッドストック発見率も高そうです。このNo.256の出品者の方は少し前にNo.266も出品されていましたので、やはりその関係の仕事をされていたのでしょう。届いたNo.256は緑の貼箱も割ときれいで、中身のほうもさほど使われていないような感じ。木口も溝の部分もきれいな竹が見えてました。酷使された計算尺は真っ黒になっているものもあります。刻印のほうは「MK」でしたので昭和37年11月の製品。まだ電子工学用 No.266が発売される以前の計算尺ということになります。あまり気にしてはいなかったのですが、No.266はA,B,C,D尺なのにNo.256はπ切断系ずらし尺だったんですね。電気数学的には二乗の絡む計算が特に多いので、後発のNo.266は一見すると古いA,B,C,D尺を採用したのでしょう。No.266は2πなんてゲージマークがあり、いかにも電気数学系の計算用という感じですが、一般の計算にはπ切断のNo.256のほうが使いやすいというのは皮肉です。又、No.256のゲージマークはCとRのみでπすら刻まれていません。いくらπ切断ずらしとはいえ、πマークくらい刻んでもそんな手間にもならないのでしょうに。さらにNo.266のほうのC,D尺の4〜5の目盛間隔は他の一般的10インチ両面尺と同じく1/20刻みで0.5に対し、No.266のほうは1/50刻みの0.2となります。とはいえ、No.266同様に無線従事者国家試験には持ち込めない部類の計算尺であることは確かです。
 このNo.256で今年の計算尺は最終だと思ったのですが、予想しない事態であと2本の計算尺が舞い込んできたのですがさて…。
Hemmi256_2
 特殊用途の計算尺にしてはちょっと寂しい裏面
 国立大学の工学部に急速に進歩したトランジスタ等の半導体回路を扱う「電子工学科」のカリキュラムが正式に組まれるのが1960年頃のことらしく、やはりNo.266はそれ以後の電子工学に対応した新しい計算尺ということが出来るようです。
HEMMI No.256の表面拡大画像はこちら
HEMMI No.256の裏面拡大画像はこちら

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