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January 18, 2007

FUJI No.86 生徒用計算尺

 このFUJI No.86という計算尺はプラスチック構造を主体とするFUJIの計算尺群にあっては珍しく竹製の計算尺です。それも学生用の8インチ尺でありながら、K尺のない表6尺で滑尺裏に三角関数も何もない構成はHEMMIの児童用計算尺 No.2641そのものなのです。HEMMIのNo.2641は戦時中から昭和20年代の製品らしいのですが、なぜ技研からFUJIに変わった昭和40年代になってこのような古い学生用計算尺が出てきたのかが非常に不思議です。またHEMMIは後にこのNo.2641をプラスチック製のNo.P24にモデルチェンジさせたようですが、このP24は実際には技研がHEMMIの下請けとして生産にあたったようであり、そのプラ尺の技研がなぜFUJIブランドになってから竹製の計算尺を発売したのかも不思議です。さらに不思議なことに昭和30年代末の技研のプライスリストの中には、このNo.86に該当する6尺構成の8インチ尺が見当たらないのです。又、皇紀2600年を記念して付番されたHEMMIのNo.2600シリーズの中で、No.2640は中等学校用計算尺、No.2641は国民学校用計算尺というコンセプトで開発されたものであり、戦後の六三制にあっては双方ともいささか学習用としてはちょっと脇道に外れる物であったためか、その後中学生用の計算尺(HEMMI No.43&45等)が相次いで発売されることになります。その国民学校高等科向きと同等の計算尺が昭和40年代になってラインナップに加えられる理由があったのかどうか…
 No.2641は手持ちがないのでcyno_yさんのブログ上にUPされている写真などから比べるしかありませんが、HEMMI No.2641もこのFUJI No.86も滑尺裏がブランクとなっており、裏側にセルロイド窓が開いていないのも同じです。ただしNo.2641は滑尺裏の空白部分にもセルロイドが張られているようですが、No.86のほうは白ペンキ塗装となっています。No.2640とNo.2641のサイズは後のNo.45に引き継がれていますが、これよりNo.86は長さが1センチほど長く幅は2ミリほど狭くなっています。おそらくFUJIの竹製8インチ学生尺のNo.81と同じベースを使用しており、長さはHEMMIのNo.45Kのほうに近くなっています。そのためHEMMIのどの8インチ尺ともカーソルの互換性が無く、この手の計算尺にしては珍しいガラスのはまった金属製カーソル枠上部にはちゃんと「FUJI」の刻印が付いています。尺の配置や数字の刻印の仕方はほぼNo.2641そのものですが、πマークはRELAYの計算尺のπに近い感じがします。バックプレートは金色のアルマイト加工をかけたアルミニウムらしく、まるで昔のアルミの弁当箱のよう(^_^;) 裏に換算表の類は貼られていません。材料のエージングが良くないためかセルロイドを貼った方向に少々湾曲していました。戦時中のHEMMI計算尺そっくりの黒い蓋無しの紙サック入りで定価が200円というシールが貼られています。しかし、昭和40年代で定価200円というのはかなりのディスカウントプライスで、同時代にプラスチック学生尺で内箱無しのFUJI No.88が定価380円。最終型のHEMMI No.P24でさえも定価350円ですからかなりのディスカウントプライスです。意外にFUJIが輸出用として発注を受け、その際に「竹」の仕様を指定されていたものが何らかの理由でキャンセルになり、仕方が無く換金のために国内に流したとか、他のOEM専門計算尺製造工場の仕掛品を引き受けた、などと仮定すると昭和40年代にこういう計算尺が国内向けとして存在したというのもわかろうというものですが、而してその実体は…。また、ガラスカーソルなどFUJIの手法と余りにもかけ離れる所が多いので、FUJI自体で製造した物ではなく、他の工場による仕事である可能性は高いと思われます。一般的にFUJIの計算尺には製造年月を推定する刻印はみつかりませんが、このNo.86にはモデルネームの下に4-3という刻印があります。同じ竹製のFUJI No.81にはこの手の刻印は見たことがありません。
Fuji_86
FUJI No.86の表面拡大画像はこちら
FUJI No.86の裏面拡大画像はこちら

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