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March 04, 2007

RICOH No.116S

 当方、片面計算尺では永遠のスタンダードで名機の評判も高いHEMMIのNo.2664Sよりも、RICOHのNo.116のほうに気があることは、何回も書いたと思います。その中でもRICOHのNo.116の仲間でNo.116Dという表10尺の、まるでHEMMIのNo.2662のような計算尺はかなり早く入手しました。No.116の中でもNo.116Dはなぜかオクでも割と見つからない計算尺なのですが、それに輪を掛けて見つからない計算尺が末尾に「S」の付いたRICOH No.116Sなのでした。そのためS付き116の存在は割と早く把握していたのにも係わらずスタンダードなNo.116とどう異なるのか、いままで皆目見当が付かなかった計算尺です。昭和49年最終生産のNo.116がグリーンCIFだったことからNo.116Sもそのあたりの改良品だと自分で想像を巡らしていたのですが、入手してみると意外な結末に拍子抜けしてしまったというのが正直な感想です。入手は福井県からで、落札金額はたったの300円。8"学生尺ならまだしも10"の片面計算尺が、300円で他に買い手が付かないとは何と言うことでしょうか
(^_^;) HEMMIのNo.2664Sだったらケースがなくとも600円以上は値段が付くような気がしますが、写真が不鮮明でケースが煤けていたように汚かったのが敬遠された原因なんでしょう。こちらにとっては待望のS付きNo.116なんですけどねぇ(笑)
 届いたNo.116Sの製造刻印は「SS-7」で青蓋塩ビケース入り昭和45年の佐賀製です。RICOHのNo.1053には昭和45年製造でも前期が普通のブラックCIFのものが年末にはグリーンCIFに変わったようなものもあり、このNo.116SもグリーンCIFならいいなあと思ったのですが、7月製造分のこの計算尺はブラックCIFでした。しかしカーソル線は黒に変わり、これは昭和49年の最終製造分までそのままです。Sの意味はグリーンCIFに変わったNo.116の意味かと思ったら、何とこのNO.116SはNo.116が表面9尺なのに対して滑尺裏からL尺が表に移動した表面10尺装備の計算尺で、表面は K,A,DF,[CF,CIF,CI,C,] D,DI,L の10尺、滑尺裏面が B,S,T,C,の4尺になってます。このHEMMIでいえばNo.2662みたいな計算尺はどこかでみたはずだと思ったら、同じ10尺装備のNo.116Dそのものじゃあないですか(^_^;) こうなったら徹底的にS付きとD付きの違いを比較検討しましたが、まず刻印とケースが違うと(゚o゜)☆\バキ 上の物差し部分の位置も同じで、ゲージマークの種類も同じです。強いて鵜の目鷹の目で違いを捜そうとすると滑尺裏の三角関数部分の目盛でS尺T尺の6度以下の目盛がNo.116Sは省略しているのにNo.116Dはちゃんと刻まれている、三角関数目盛はNo.116DのほうがNo.116Sよりも単位が細かく刻まれている、T尺30度/逆尺60度の数字刻印がNO.116SにはあるがNo.116Dにはない、というくらいしか当方にはわからないなぁ。換算表もまったく同じでした。考えようによっては当初 No.116DはNo.116のデラックス版の意味合いで「D」を付けたものの、HEMMIはすべてスペシャルの「S」が付けられていたので、それをマネしてNo.116DからNo.116Sに途中で改番したというのが事の真相ではないでしょうか。細部に違いがありますが、実質的には同一の計算尺で、2つに無理矢理区分されたためにD付きS付きのそれぞれの個体数が少ないのかも知れません。それにしてもDよりあとから出来たSのほうが実質的に「手抜き」されているのが気になりますが。まあそれを確かめられただけでも300円は安かったなと(笑)そういえばRICOHの両面計算尺は青蓋の塩ビ・ブロー成形ケースでもボディは青みがかった白なんですが、片面計算尺は同じ青蓋塩ビケースなのにもかかわらず、ボディはクリーム色です。蓋の部分も面取りされていて多角形のような形状の成型品なのですが、このデザインの差というのは何なんでしょうか?
Ricoh116s_1
 上がNo.116Dで下がNo.116Sです。換算表の抜け留めのためか、D付きには裏板にプレスで突起が打たれていますが、Sにはそれも省略されてしまったようです。
RICOH No.116S 表面拡大画像はこちら
RICOH No.116S 裏面拡大画像はこちら

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Comments

半月前の記事へのコメントですみません。

先程、この記事を読み返していたときに気付いたのですが、三角関数尺の1度より小さい目盛の刻みが、No.116Dは十進小数、No.116Sは分秒刻みになっているように見えます。

前身のNo.116も分秒刻みのようです。

となると、No.116Dの"D"は、"Decimal"のDということも考えられるのではないでしょうか。

自分はNo.116系の計算尺を持っていませんので、写真からの推測ですが、いかがでしょうか。

Posted by: cyno_y | March 22, 2007 08:43 PM

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