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April 14, 2007

HEMMI No.80 10"電気用

 HEMMIの10インチ片面電気計算尺のルーツはJ.HEMMI時代のNo.3まで遡るようですが、HEMMIオリジナルというわけではなく、外国の片面電気尺のコピーとして製作されたようです。おそらく独逸への留学生が帰国して持ち込んだFABER CASTELLあたりの電気用計算尺をコピーしたようですが、オリジナルが固定尺と固定尺間スペースのバックプレート上に電圧とダイナモ・モーターの効率を計算する尺が付いているため、それに習ってHEMMIのNo.3もこの溝の中に同じ尺が着けられ、滑尺先端にインジケータを装着するため、上下固定尺より滑尺のほうが短いという特徴も本家FABER CASTELL同様です。たぶんHEMMIの片面計算尺の中で滑尺溝のなかにも目盛が存在するのはこの系統の電気系片面尺だけだと思いますので、不揃いの滑尺を持つ片面計算尺を見たら、まず戦前戦後の電気尺と思って間違いないでしょう。戦後の電気系片面尺はこのダイナモとモーターの効率を計算する尺が滑尺上に移動しましたので、不揃いな滑尺の電気尺はありません。J.HEMMIのNo.3は大正期から昭和の始めに掛けて国産唯一の電気尺として発売されていたようですが、まもなくモデルチェンジして発売されたのがこのNo.80シリーズです。No.80シリーズの10インチ尺は戦後の昭和26年頃にNo.80Kにモデルチェンジされながらも昭和40年代中頃まで発売され続けましたから、電力系の技術というのが電子工学系に比べていかに枯れたというか完成された技術だということがわかります。両面電気尺のNo.153が昭和一桁から計算尺末期まで生き残ったのも同様です。基本的にはFABER CASTELLの電気尺をコピーしたNo.3からNo.80KにいたるHEMMIの電気尺ですが、こともあろうにコピーのコピーが存在し、それは技研のNo.2502からFUJIのNo.108に至る山梨系プラ製片面電気尺がそうです。また、Relay/RICOHのNo.107も同じく片面電気尺ですが、尺配置など若干の違いはあるにしてもやはりコピーのコピーということが言えるでしょう。昔の日本は外国製品の模倣は否定されていなかったようです(^_^;)
 HEMMIのNo.80は基本的にはJ.HEMMI No.3のネーム変更ですが、製造時期によって形式名で3種類、形態的には4種類ほどに分類されているようです。最初のNo.80はJ.HEMMI No.3と同様の尺種類で、尺部分の幅が32ミリの身幅の狭いナロータイプだったようですが、すぐに滑尺に逆尺のCI尺が加わり、身幅も34ミリに拡大したモデルになったようです。その後AB尺、CD尺の両端にオーバーレンジが加わり、カーソルも副カーソル線付きの逆Cカーソル付きのものから四角い金属枠に副カーソル線付きガラスが嵌ったものに変わります。また、初期のものはカーソル溝にあるE,F尺が離れていて、後のモデルは中程に寄り添うため、滑尺の先端に着けられたインジケータが初期モデルのみ「コ」の字型、後のモデルは「┤」型となっています。初期のモデルは竹からセルロイドが剥がれないようにするためか、固定尺滑尺に鋲のような物が打たれていましたが、後のモデルにはインジケータ金具を滑尺に留める鋲以外にはなくなりました。モデルネームはNo.80、No.80/1、No.80/3が確認されているようですが、この時代は本体に型番が刻印されておらず、型番を記載したラベルがケースの方に貼られていただけだったので、このラベルを失ったNo.80は正確な型番がわからなくなってしまうために、分類上困ってしまうことになります。でも、オーバーレンジ無しで逆Cカーソルのこれより一つ前のモデルもNo.80/3の品番が付くものがあるらしく、確定的なことは言えません。また、位取りのためのインジケータ付きカーソルを備える物などは同じ10インチ尺でもNo.80から独立した型番を持っています。オリジナルのNo.3は片面尺ながらべき乗尺のLL2とLL3を備えますが、これはHEMMIの計算尺にべき乗尺が備えられた最初のものだと考えられます。それは当然の事ながらNo.80にも受け継がれましたが、電気尺ながらNo.153同様に他の分野でも好んで使用されたような節があります。ちなみに/1と/3の区別は同一形式で副カーソル線付きのものを区別するためだそうで、/1は普通の1本線カーソル、/3は副カーソル線付きの3本カーソル付属のことを意味するそうですから、3本線カーソル付属の設定のある計算尺の形式にのみ付けられる枝番のようです。
 今回のNo.80の入手先は山口県からで、No.70と2本セットで購入した物です。どちらも製造時期が近い戦前のものらしいので、おそらく同一箇所から出た物と思ったらバックプレートに小さく同じ名前が刻まれてました。尺部分の幅34ミリ、スケール部分を含めると身幅40ミリでオーバーレンジ無しリベット留め、ボックス目盛、四角カーソル副カーソル線付きの物です。今回のものは戦前のもので、その後のリベットが無くなったオーバーレンジ付きモデルは昭和20年代中頃まで作られ、側面にK尺の加わったNo.80Kに引き継がれました。戦前の断面に角がないオーバルタイプの貼箱に納められていましたが、奇跡的に型式を示すラベルが残っていました。そのラベルにはNo.81/1となっていましたので、おそらく本来は逆Cタイプの位取りインジケータ付のものだったのでしょうが、戦後に副カーソル線付きの四角カーソル(made in occupied Japanでした)に付け替えられたのでしょう、中身がNo.81/1転じてNo.80/3相当になってしまっています(笑)それでもNo.80一族としてはかなり古いものであることは確かで、戦前のNo.80でも今回の物は目盛が疎なボックスタイプ。滑尺の溝の中にあるE尺F尺のインジケータは┤型ですが、固定尺と滑尺の両端はリベット止めになっているタイプです。この戦前初期タイプは平板なセルロイドを竹に張っている構造のため、剥がれ止めのためにリベットによる固定が必要だったのでしょう、後の計算尺は接着法が変わった為か省略されてしまっています。また裏側はセルロイドを張っているわけではなく白い塗装を掛けているため、端の方が擦れて竹の地が見えてました。四角い副カーソル線付きカーソルは真ん中のカーソル線が青、左右の副カーソル線が赤で目盛られているようです。裏側の副カーソル窓は目安線のみでまだセルロイドが嵌っていない時代の物です。上部には27センチのメトリックスケール、下部側面には10インチのインチスケールが付きます。CI尺の数字のみ赤というシンプルな色使いの計算尺です。A尺B尺に2.87の定数が刻まれていますが、これは電線の電圧降下を計算するときの銅線の伝導率Cの定数ですが、7.36の定数は何かな?
 Hemmi80
HEMMI No.80 表面拡大画像はこちら
HEMMI No.80 裏面拡大画像はこちら
HEMMI No.80 中面拡大画像はこちら
HEMMI No.80 滑尺裏面拡大画像はこちら

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Comments

cyno_yさん、こん○○は、

 考えてみれば右端にkWとPSの刻印が打たれているんですから当然その関係の定数ですよね。
287はうろ覚えながら、以前電力系の教本で見たような数値だったもんで。
 ちなみに良くはわかりませんが736と746の違いは欧系と米系の仕向け先の違いでHPとPSを
区別したのでは?

Posted by: じぇいかん | April 14, 2007 10:04 PM

定数736は、馬力(PS)⇔kwの換算ですね。
同じNo.80系でも、HP⇔kw用に定数746となっている仕様の物もあるようです。
自分は電気系の知識がないため、定数287の方が何かわからなかったのですが、今回の記事でわかって、スッキリしました。

Posted by: cyno_y | April 14, 2007 10:09 AM

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