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April 20, 2007

HEMMI No.P270 大気汚染用

 昭和45年の7月に杉並区の高校で体育の授業中に目や頭の痛みを訴えた生徒が次々に倒れて40数人が救急車で病院に運ばれた事件は、翌日に早くも都の公害研究所が光化学オキシダントによる光化学スモッグが原因と発表し、子供心にも「いよいよ日本も公害で人間の住めない国になる」なんて思いました。その月末には旅行で始めて北海道から上京したのですが、都会の夏でも靄が掛かったような空に浮かぶオレンジ色の太陽を見て、いつ光化学スモッグにやられるかと思って、居心地が悪い気がしました。その後、車の排ガス規制や工場の排出規制などの法令整備が功を奏して「光化学スモッグ警報」が出ることも珍しくなりましたが、2002年の7月に全国では18年ぶり、千葉では28年ぶりとなる光化学スモッグ警報が千葉県西部の船橋・市川・浦安界隈に出されています。
 その公害被害の一番激しかった昭和45年、公害問題を根本的に克服するために、国会で公害対策基本法の改正や、大気汚染防止法、水質汚濁防止法などの14法案が一夜にして改正、成立し、翌年の昭和46年6月、工場内に公害防止に関係する専門知識を有する人的組織の設置を義務付けた特定工場における公害防止組織の整備に関する法律が施行されます。この時に各工場に公害防止管理者としての有資格者を置くことを義務づけましたが、それに先立ち昭和46年に第1回目の公害防止管理者の国家試験が行われました。実は我が父親も社命でこの第一回目の試験を何かの部門で受験させられ、No.2634を持参して道庁の赤煉瓦の一室で受験したようなんですが、帰宅後、一杯飲んでからの勉強ではさすがに歯が立たなかったらしくて1回のみの受験でそのままになりました。
 そのような時代背景の昭和46年に生まれたのがこのHEMMIのNo.P270 大気汚染用計算尺です。計算尺の時代がもっと続いたのであれば大気汚染関係だけではなく、水質汚染関係、騒音振動関係、粉塵関係、ダイオキシン関係の各資格部門専用公害計算尺が開発されたかもしれませんが、残念ながら発売に至ったのは大気汚染関係のP270 POLLUTION Aだけのようです。水質汚染用はPOLLUTION W (WATER)、騒音振動関係はPOLLUTION NV (NOISE & VIBLATION) ダイオキシン関係はPOLLUTION Dなんていう名称がついていたかもしれませんが(笑)形態的にはP253系統のプラ尺で、おそらく山梨の技研系でOEMされた計算尺でしょう。新しい発売のプラ尺のため、滑尺が薄いブルーに着色され、固定尺を留めるブリッジとカーソルバーもブルーの成型品で構成された、見た目も近代的なセンスの計算尺です。
 このHEMMI No.P270は当ブログにもコメントを下さるnさんからの落札品で、開封はしてありますが外箱も説明書もすべて揃ったものです。刻印は「ヘVE」ですから昭和46年の5月。公害防止管理者設置のための法律施行1ヶ月前の製造ですから正に公害防止管理者とともに誕生した計算尺であることがわかるというもの。そういえばこの公害関係の法律強化によって地元の製紙工場でも火力発電の煙突が70mと100mから一気に200mの高さの煙突が追加され、新たなランドマークとなったのもこの頃です。計算尺の製造刻印は46年の5月でしたが取り説の発行は昭和47年5月と一年ほど後の物で、各工業都市における硫黄酸化物の排出基準(K値)が47年1月と48年1月の新基準まで一覧が載ってました。説明書によると、このP270は通産省工業技術院公害資源研究所の理学博士横山長之氏の指導により設計された物らしく、可能な計算は「大気汚染防止法に規定する有効煙突高度の式(Bosanquetの第一式)」「Suttonの拡散式・最大着地濃度とその出現距離」「Hollandの上昇式」「硫黄酸化物の排出基準」「シグマ式(排煙拡散の一般式)」「排ガス量の任意温度への換算」「固体、液体燃料の高発熱量の計算」「排ガスの分析計算」および一般の計算として「乗除・比例・反比例・平方・平方根・常用対数・自然対数・べき計算」となっています。\5,500のプライスが外箱に印刷されていますが、どんどんと製造コストが上がっていた時期だったため、すぐに\6,000への価格改定シールが貼られたようです。計算尺末期に差し掛かった頃に発売された計算尺であり、更に使用対象者がごくごく限られていますが、特殊計算尺の400番台ではなく両面計算尺250番台で土木用 No.269の次の番号を与えられています。しかし、No.266やNo.269 などの専門系計算尺と比べると圧倒的に数が少なく、文房具店系デッドストックでも見つからない計算尺の一つです。ケースは角の丸い青蓋の塩ビブローケース入りでした。このNo.P270は外箱のデザインも秀逸なので、もし入手するのであれば、外箱まで揃っているほうが断然いいでしょう。しかし「大気汚染用計算尺」なんて、考えてみれば当方みたいな下級汽罐士(ボイラー技士の旧名)には関連はあれども必要ない分野ばかりだなぁ(笑)
Hemmip270
HEMMI No.P270 表面の画像
HEMMI No.P270 裏面の画像

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