HEMMI No.2664 後期型
前回に戦前から戦後にかけて発売されていたHEMMIのNo.2664のことを取り上げましたが、今回のNo.2664は最初期型のNo.2664Sと比較検討を加えるために入手したNo.2664としては最末期に属する製品です。初期型のNo.2664がA尺とL尺が一本の尺の半分ずつを共用したハーフレングスの尺を持っていたり、滑尺裏に6度以下のSIN/TANの微小角を計算する尺がそれぞれ独立していたりして、少々個性が感じられたのですが、後期型のNo.2664は「No.2664SからCIF尺を取っただけ」などと口の悪いマニアに言われるように、No.2664Sを見慣れた目からするとCIF尺が無いことと滑尺裏の三角関数尺に赤文字の逆数は入っていない事くらいでしょうか。ゲージマークなどにも最初期型のNo.2664Sと差異は認められません。製造刻印はGDで昭和31年の4月です。翌年のH刻印まで製造刻印は裏側固定尺のセンターSUN HEMMI JAPANの後に黒で入れられていました。形式のNO.2664はオフセットされた右側に打刻されています。片面計算尺用の換算表はこの時代はNo.64やNo.130用の長さや重量換算がメインのものと、学生尺のように図形が入ったこのNo.2664用のものがありましたが、40年代にはいると10インチ片面計算尺は練習用を除きNo.64やNo.130と同じ換算表に統一されています。ケースはNo.2664Sの最初期型同様にSUN HEMMI BAMBOO SLIDE RULEと小さくロゴの入った緑の貼箱入りで、No.2664がこの箱が最終のタイプとなります。もはや戦後ではないと言われた時期の製品だけに品質・加工などもその後の時代のHEMMI計算尺と遜色は無く、正にHEMMIの最盛期を迎えるにふさわしい品質の計算尺でした。
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