HEMMI No.P253 SPECIAL
高校生用として多く使われたVECTLOGの愛称で知られるHEMMIのNo.P253の発売は昭和37年の新学期からのようで、生産は山梨の技研系で行われたようなフシがあり、ケースも30年代HEMMI両面計算尺の物とまったく異なるうす緑色の貼箱に入れられた物とプラスチックの筆箱のようなハードケース入りの物が知られています。コスト的に有利なプラスチックのP253は、竹の計算尺に比べると2/3程度の価格で提供されたために瞬く間に普及し、今でも数多くのP253を見かけます。その後ケースは他のプラ尺同様に角の丸い青蓋ケースで提供され、最終型は青蓋の角ケースが付属していたようです。しかしケースのバリエーションに比べると本体の変更点はわずかで、よく知られているのは40年代に入って三角関数関係の目盛がNo.251などと同様に細かくなったことと、昭和44年末頃からCIF尺がグリーンに目盛られ、VECTLOGのマークがデザインされたロゴマークから活字体に変わったことぐらいでしょうか。そんななかで、唯一型式に特別な付番がなされたものがこのNo.P253SPECIALになります。おそらくCIF尺を緑に変えたことで従来の物と区別化してSPECIALの名称を加えたものの、後のロットはすべてCIF尺を緑に変えたため、意味のないSPECIALだろうと言われていましたが、実際はどうなんでしょうか。それにしてもSPECIAL付きのP253は、長きに渡ったP253の生産時期にあってはほんの一瞬の生産であったことは間違いないようです。
入手もう3本目となる川崎から届いたNo.P253SPECIALは、当初の予想通り昭和45年1月生産分の「UA」刻印でした。VECTLOGのロゴマークはまだ活字体にはなっていなく、デザイン化されたロゴマークです。やはり30年代生産のP253と並べてみると三角関数尺の目盛が細密化しているのは40年代のP253に同じです。30年代のP253は表面に仕上げ加工の工程があったのか、割に光沢のある表面仕上げですが、P253SPECIALは表面のフライス加工の目が判るようなコストダウンがなされた表面です。ケースは角の丸い青蓋ブローケースで型式名をあしらったシールは通常と同じ物が貼られていました。
このSPECIAL付きのP253は当方では今のところ昭和45年1月から11月の生産のものを把握していますが、この両面計算尺におけるCIF尺のグリーン着色はリコーの両面計算尺のグリーンCIF化の流れに影響を受けたのかも知れません。しかしCIF尺のグリーン化でSPECIALを名乗るのは余りにもおこがましかったため、朝令暮改で新たにSPECIALの文字を削除してVECTLOGのロゴが活字体に変わったグリーンCIFのNo.P253に変わったのではないでしょうか。No.P253は学生用として多用されましたので、SPECIAL刻印付きのものもさほど珍しい存在ではありませんが、No.P253の生産の歴史の中では、全体数に対してやはり1/10以下の存在のようです。
HEMMI No.P253 SPECIALの表面拡大画像はこちら
HEMMI No.P253 SPECIALの裏面拡大画像はこちら
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Comments
しばらくでしたmyukiです
へー珍品の部類だったんですね
小生所有の253SPECIALはVEの71年5月ものです。
Posted by: myuki | November 03, 2007 07:32 PM