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September 19, 2007

ダルムスタッドの電気尺 RELAY No.107

 日本における片面電気用計算尺のそもそもが独製 A.W.FABERの電気尺の代用として欧米からの要求に従い、丸コピされて輸出された経緯は以前に書きましたが、基本的にそのコピーのコピーである存在であるのにも係わらず、かなりの独自性を発揮してけっこうがんばったのが三愛計器時代のRELAY No.107電気用計算尺です。この計算尺は「ダブルスター印」時代の型式がRELAY No.E-1001で、当方が以前見たものは昭和29年製でしたから、それ以前から輸出を主眼に製造されていたものなのでしょう。新形式となり10インチ片面尺の100番台の型式を与えられてNo.107と改名されたようです。
 尺種類は表面がE,V,A,[B,K,CI,C,]D,S,Tで滑尺裏がLL2,LL1,LL,Lと14尺を持つ豪華版ですが、表面に三角関数尺、滑尺裏にべき乗尺を持ついわゆる「システム・ダスムスタッド尺」ということになるのでしょう。この辺りはFUJIのNo.108電気用リッツ尺より個性的ですが、おそらく昭和20年代後半から存在する特殊用途のRELAY計算尺同様にアメリカのバイヤーの要求そのままに作られた計算尺であり、三愛計器独自の設計思想により作られた計算尺ではなさそうです。他の電気用片面計算尺同様にE,V尺はA,B尺と併用されるモーター及び発電機の効率を求める尺。またA,B尺には電線の断面積と長さによっての電圧降下を計算する目盛を備えます。滑尺にK尺を持ってきたのはHEMMIのNo.80Kのように下固定尺側面にK尺を持ってくるには特殊なカーソルが必要なため、使い勝手を無視して無理矢理滑尺にK尺を持ってきたのでしょう。このあたりはDF尺がD尺のすぐ下にあるRELAYの電気用両面尺 No.157 のような違和感がありますが、初期のリレー計算尺にはこのような妙な設計がたまに見受けられます。
 入手先は東広島からで、当時のリレー計算尺の紙箱は薄くてヘンミのものより華奢な作りなためかすでに失われ、本体だけの入手です。届いたNo.107は30年代半ばのものにしては、わりに酷使されたあともなくきれいな計算尺で、製造刻印は「J.S-3」ですから昭和36年3月の佐賀製。なぜか当方のRELAY計算尺は昭和36年の製造の物が多く集まってきます。RICOH時代のNo.107は黒いカーソル線のものが付属していたという話も聞きますが、昭和36年生産物はオーソドックスな赤いカーソル線のものでした。赤い色は逆尺の数字だけに使われたシンプルな色合いの計算尺です。面白いゲージマークとして銅線の電圧降下の定数2.87にΩの逆さまになったマーク(モー:オームの逆数)が用いられており、kWとPSの換算用ゲージマークがWで刻まれています。このWマークには何と7.36と7.46の両方の目盛が刻まれていますが、賢明なる計算尺ヲタの方々は当然その理由はお解りですよね?(^_^;) 下固定尺に配置されたSINとTAN尺は6°以下と84°以上の微小角はラジアンに換算して計算するタイプです。上部にはメトリックで25センチのスケールが、下固定尺側面には10インチのスケールが刻まれています。それにしてもRELAY/RICOHの片面計算尺には副カーソル線付きのものが見当らず、このNo.107も普通カーソル付きですが、それだけがちょっと残念な点でしょうか。しかし、このNo.107が舞い込んできたことでHEMMI,FUJI,RELAYの10インチ片面電気用計算尺が3種揃い踏みとなりました(笑)
Relay107

RELAY No.107 10"電気用計算尺表面拡大画像はこちら
RELAY No.107 10"電気用計算尺裏面拡大画像はこちら


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